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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1292720 |
審判番号 | 不服2014-3464 |
総通号数 | 179 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-11-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-02-25 |
確定日 | 2014-10-01 |
意匠に係る物品 | 自動車用タイヤ |
事件の表示 | 意願2012- 30084「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成24年(2012年)12月7日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり,「実線であらわされた部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁普及支援課が2012年2月28日に受け入れた,米国特許商標公報 2012年2月28日に所載の「タイヤ(登録番号US D654848S)」(特許庁意匠課公知資料番号第HH24303895号)の意匠(以下,本願実線部分に相当する引用意匠の実線部分を「引用実線部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)は,いずれもタイヤに係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。 2.本願実線部分と引用実線部分の対比 (1)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 本願実線部分と引用実線部分(以下,「両意匠の実線部分」という。)は,いずれも全体が環状体をなすタイヤの,接地面であるトレッド部及びショルダー部の表面部分であるから,両意匠の部分意匠としての用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は,共通する。 (2)両意匠の実線部分の具体的形態 両意匠の実線部分の形態を対比するにあたり,両意匠のトレッド部及びショルダー部を,周方向に施した4本の縦溝で5つの区画に分割し,この左右両端の区画を「左右ショルダー区画」,その内側の区画を「左右内側区画」,中央の区画を「中央区画」として表記する。 また,引用意匠の図面について図の表示を本願意匠の図面に合わせることとし,引用意匠の「FIGURE1」を「斜視図」とし,引用意匠の「FIGURE2」を「正面図」とし,その他の図面もこれに準じて表されているものとする。 以上を踏まえ,両意匠の実線部分の形態を対比すると,両意匠の実線部分の形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 まず,共通点として, (A)両意匠の実線部分全体は,ショルダー部を丸く形成したタイヤのトレッド部を,周方向に形成された断面視略U字状の4本の凹溝により5つの区画に分割した構成としたものであって, (B)左ショルダー区画は,下に凸の略円弧状の細溝部を,区画右辺のやや内側からショルダー部の外周部付近まで等間隔に形成している点, (C)左内側区画は,区画左辺に右上がりの傾斜の長細溝部と右上がりの傾斜の切り欠き状細溝部を,交互に並行して等間隔に形成している点, (D)中央区画は,右上がりの傾斜の切り欠き状細溝部を,区画左辺及び右辺に半ピッチずつずらして形成し,角張った連続略S字状のトレッドパターンを形成している点, (E)右内側区画は,上下辺及び切り欠き状細溝部が右上がりの傾斜となる略コの字状ブロック部を,僅かな隙間を空けて上下方向に一列形成している点, (F)右ショルダー区画は,上に凸の略円弧状の細溝部を区画左辺からショルダー部の外周部付近まで等間隔に形成している点, が認められる。 他方,相違点として, (ア)左ショルダー区画右辺における切り欠き状細溝部の有無について,本願実線部分は,区画右辺に切り欠き状細溝部を形成していないのに対して,引用実線部分は,区画右辺に略円弧状の細溝部の約1/3の長さで右上がりの傾斜の切り欠き状細溝部を,左内側区画左辺に形成された長細溝部及び切り欠き状細溝部と縦溝を挟んで相対する位置に等間隔に形成している点, (イ)左内側区画右側におけるフラットな凸条部の有無について,本願実線部分は,区画右側に凸条部はなく,上下辺及び切り欠き状細溝部が右上がりに傾斜し,切り欠き状細溝部右端部から区画右辺にかけてサイピングを施した略コの字状ブロック部を,僅かな隙間を空けて上下方向に一列形成しているのに対して,引用実線部分は,周方向に形成されたサイピングを挟んで区画右側を表面がフラットな凸条部とし,区画左側に,区画左辺から左ショルダー区画右辺の切り欠き状細溝部の傾斜と同じ右上がりの傾斜で,長細溝部と切り欠き状細溝部を交互に並行して等間隔に形成し,長細溝部右端部から周方向に形成されたサイピングにかけて右上がりの短いサイピングを形成している点, (ウ)左右内側区画左辺,中央区画左辺,及び右ショルダー区画左辺における傾斜の有無について,本願実線部分は,左内側区画に配設した略コの字状ブロック部の上部側左辺部分,中央区画のトレッドパターン左辺部分,右内側区画に配設した略コの字状ブロック部の左辺部分,及び右ショルダー区画のトレッドパターン左辺部分を,右下がりの急傾斜で切り欠き,右傾斜となるよう形成しているのに対して,引用実線部分は,該部位がすべて傾斜なく直線状に形成している点, (エ)左右ショルダー区画における細溝部外側部分の態様について,本願実線部分は,左ショルダー区画にほぼ水平に形成された略円弧状細溝部の左端部分を上方に跳ね上げた態様とし,右ショルダー区画にほぼ水平に形成された左端部分がやや細い略円弧状細溝部の右端部分を下方に折り曲げた態様とし,側面視鉤状の細溝部をタイヤ外周部に形成しているのに対して,引用実線部分は,左ショルダー区画左側を右上がりの傾斜の略円弧状細溝部で区切り,側面視が隣り合う辺が円弧状の略長方形状となるトレッドパターンをタイヤ外周部に形成し,右ショルダー区画を右上がりの傾斜の略円弧状細溝部で区切り,側面視が隣り合う辺が円弧状の略長方形状となるブロック部をタイヤ外周部に形成している点, が認められる。 3.両意匠の実線部分の形態の評価 両意匠の実線部分の形態における上記共通点は,トレッド部及びショルダー部分における各区画の態様を概略的に捉えたに過ぎないものであるから,この共通性のみをもって両意匠の実線部分の類否判断を決定することはできない。 これに対し,相違点(ア)左ショルダー区画右辺における切り欠き状細溝部の有無については,切り欠き状細溝部を持たない本願実線部分と,切り欠き状細溝部を左内側区画左辺に形成された右上がりの傾斜の長細溝部及び切り欠き状細溝部と縦溝を挟んで相対する位置にその傾斜も合わせて形成した引用実線部分とは,看者に与える印象が全く異なるものであるから,この相違点(ア)が両意匠の実線部分の類否判断に及ぼす影響は非常に大きい。 次に,相違点(イ)左内側区画右辺におけるフラットな凸条部の有無については,一定の幅をもつ凸条部溝によって,引用実線部分は本願実線部分にはない幅広の複雑なトレッドパターンの構成であるとの印象を与えており,この相違点(イ)が両意匠の実線部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。 また,相違点(ウ)左右内側区画左辺,中央区画左辺,及び右ショルダー区画左辺における傾斜の有無については,部分的な相違ではあるものの,当該区画の左辺部分を右傾斜により構成したことで本願実線部分の周方向に形成された4本の凹溝が単なる垂直な直線状ではなく複雑な形状の溝部であるとの印象を与えており,この相違点(ウ)が両意匠の実線部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。 さらに,(エ)左右ショルダー区画における細溝部外側部分の態様については,側面視において目に付く部位における差異であるから,この相違点(エ)が両意匠の実線部分の類否判断に一定の影響を及ぼす。 そして,これらの相違点(ア)ないし(エ)が相まって生じる視覚的効果は,両意匠の実線部分を全体として見た場合,上記共通点の影響を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであると言うことができる。 4.両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については,共通し,両意匠の実線部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても,共通しているが,両意匠の実線部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,全体として別異の印象を与えるものである。 したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。 第4 結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-09-18 |
出願番号 | 意願2012-30084(D2012-30084) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 玉虫 伸聡 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2014-10-24 |
登録番号 | 意匠登録第1512251号(D1512251) |
代理人 | 特許業務法人アテンダ国際特許事務所 |