ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
---|---|
管理番号 | 1294813 |
審判番号 | 不服2014-4456 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-03-07 |
確定日 | 2014-11-25 |
意匠に係る物品 | 自動車用タイヤホイール |
事件の表示 | 意願2012- 24537「自動車用タイヤホイール」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成24年(2012年)10月9日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「自動車用タイヤホイール」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 当審における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠,すなわち,特許庁意匠課が平成21年(2009年)8月7日に受け入れた,電気通信回線の種類:インターネット,掲載確認日(公知日):平成21年(2009年)8月4日,掲載者:マツダ株式会社,表題:【MAZDA】アクセラ|カーラインナップ,掲載ページのアドレス:http://www.axela.mazda.co.jp/?bt=sportに掲載された「自動車用ホイール」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ21019484号)であって,その形態は,同ページに掲載された写真に現されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠の意匠に係る物品は,「自動車用タイヤホイール」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「自動車用ホイール」であるが,いずれも自動車用タイヤのホイールであるので,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共通する。 次に,両意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 なお,対比のため,引用意匠の写真を引用意匠の「正面やや左方向から見た斜視図」とし,ホイールのアウター側を前方側とし,インナー側を後方側とする。 まず,共通点として, (A)全体は,略短円筒状のリム部(以下,「リム部」という。)の前側端部内側部分に,ディスク部(以下,「ディスク部」という。)を形成したスポークタイプのホイールの構成としている点, (B)リム部は,リム部の前後両端部に,リムフランジ(以下,「フランジ部」という。)を形成し,ディスク部形成部分の後方側に段差部(以下,「バンプ部」という。)を一段設けている点, (C)ディスク部は,その中心部分に正面視略円板状のハブ(以下,「ハブ部」という。)を設け,スポークのなす角度を狭角度とした2本一組の略V字形状のスポーク(以下,「略V字状スポーク部」という。)を,ハブ部前面部からフランジ部内周面に向かって等間隔となるように放射線状に5組形成し,この略V字状スポーク部の2つのスポークの内側には正面視略砲弾状の開口部(以下,「略砲弾状開口部」という。)が表れ,隣り合う略V字状スポーク部同士の間には正面視略二等辺三角形状の開口部(以下,「略三角形状開口部」という。)が表れている点, (D)略V字状スポーク部は,スポーク部中間部付近において捻りを加え,略三角形状開口部のハブ部側端部からスポーク正面部のリム側端部まで連続面に形成し,スポーク正面リム部寄りの部分に,正面視略直角三角形状の緩やかな傾斜面(以下,「略直角三角形状面部」という。)が表れている点, (E)ハブ部は,略V字状スポーク部のハブ側先端内側付近に,円孔状のホイールナット用の穴(以下,「ナットホール部」という。)を1つずつ計5つ配設し,隣り合う略V字状スポーク部間の隙間部分を外に向かって傾斜する断面視略U字状の凹溝部(以下,「略U字状溝部」という。)としている点, が認められる。 他方,相違点として, (ア)略V字状スポーク部を構成するスポーク外側及び略直角三角形状面部の態様について,本願意匠は,ハブ部側面部の略垂直面部分からスポーク正面部の僅かに傾斜した平面状の略直角三角形状面部まで連続する,スポーク部中間部分で付近において捻られた形状のやや幅広な略帯状面と,その略帯状面上部に,略U字状溝部から立ち上がり,略帯状面上辺とスポーク中央部の稜線及びその稜線が消滅する部分のスポーク内側の傾斜面に回り込む曲面部分とで挟まれる略帯状傾斜面,並びに,略帯状面下部のリブ部側端部に形成した側面視略三角形状の略垂直面からなる構成としているのに対して,引用意匠は,略U字状溝部からほぼ垂直に立ち上がり,スポーク部中間部付近においてハブ部側の略垂直面からスポークのリム側正面にかけて巻き込むように形成した,スポーク外側面部のハブ部側端部からスポーク正面部のリブ部側端部にかけて連続する,略直角三角形状面部を含む断面視略円弧状の曲面からなる構成としている点, (イ)略V字状スポーク部を構成するスポーク内側面部の態様について,本願意匠は,ハブ部側面部の略垂直面部分からスポーク内側面を通りバンプ部前面部分及びリム部前端部内周部分までつながる幅広の略垂直帯状面と,その略垂直帯状面上部に,ナットホール部付近の略水平面からスポーク中央部の稜線及びその稜線が消滅する部分のスポーク外側の傾斜面に回り込む曲面部分内側の傾斜面を経て,フランジ部側端部で略垂直面となる略帯状面からなる構成とし,スポークの前面部分には分離した2つの稜線が表れているのに対して,引用意匠は,ハブ部側面部の略垂直面からスポーク内側面を通りバンプ部前面部分及びリム部前端部内周部分までつながる幅の狭い略垂直帯状面と,その略垂直帯状面上部に,ナットホール部からフランジ部内側にかけてスコップで深く抉られたかのような形状の湾曲面からなる構成とし,略V字状スポーク部の前面部分には,正面視略砲弾状の稜線が表れている点, (ウ)略直角三角形状面部とフランジ部との接合部の態様について,本願意匠は,略直角三角形状面部とフランジ部先端部分を一体的に面一となるように接合しているのに対して,引用意匠は,略直角三角形状面部の略三角形状開口部側が下方に湾曲し,略砲弾状開口部側の先端部分のみがフランジ部先端部と接合している点, (エ)ハブ部中央部分の態様について,本願意匠は,ハブ部中央部分に段差を1段有する円孔部を形成しているのに対して,引用意匠は,ハブ部中央部分を円板状に1段窪ませて形成し,その表面には企業のロゴマークが描かれている点, が認められる。 2.両意匠の形態の評価 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。 まず,共通点(A)の全体の態様,及び共通点(B)ないし(E)の各部の態様は,略V字状スポーク部からなるスポークタイプの自動車用ホイールの意匠の骨格的な構成態様にあたるものであり,また,各部の態様も本願意匠の出願前に既に数多く見られるものでもあるので,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であると言わざるを得ない。 そして,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠の類似性についての判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対し,相違点(ア)略V字状スポーク部を構成するスポーク外側及び略直角三角形状面部の態様,及び,相違点(イ)略V字状スポーク部を構成するスポーク内側面部の態様については,スポーク外側面とスポーク内側面とがスポーク前面部の稜線消失箇所で一体的に融合し,太さの均一なスポークが一体的に捻れ,内外側面部及び前面部が複雑な面形状となった印象を与える本願意匠の態様と,フランジ部側に向かってやや幅広となるスポークの外側面部のみが巻き込みながら単に捻れた印象を与える引用意匠のものとは,看者に別異な印象を与えるものであるから,これら相違点(ア)及び相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいと言える。 次に,相違点(ウ)略直角三角形状面部とフランジ部との接合部の態様については,正面視においては同様の略直角三角形状に見える部位であるとしても,斜め方向から見た場合においては,略直方体形状からなるスポークがフランジ部内周面に接合している本願意匠の態様と,略三角形状開口部側が断面視略円弧状の曲面からなるスポークが接合している引用意匠のものとは,別異な印象を与えるものであるから,上記の相違点(ア)及び相違点(イ)と相まって,この相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きい。 また,相違点(エ)ハブ部中央部分の態様については,使用時においては本願意匠においても円孔部を塞ぐため,取り立ててその違いを高く評価すべきものではないが,該部位の相違は看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(エ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も一定程度ある。 そして,これらの相違点(ア)ないし(エ)が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点の影響を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであると言うことができる。 3.両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については共通するものの,形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響はそれぞれ大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配しているものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 第4 むすび 以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2014-11-06 |
出願番号 | 意願2012-24537(D2012-24537) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 前畑 さおり |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2014-12-26 |
登録番号 | 意匠登録第1516547号(D1516547) |
代理人 | 川瀬 幹夫 |
代理人 | 小谷 悦司 |