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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F2 |
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管理番号 | 1296095 |
審判番号 | 不服2014-5158 |
総通号数 | 182 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-02-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-03-18 |
確定日 | 2015-01-05 |
意匠に係る物品 | フォルダ用袋部材 |
事件の表示 | 意願2013- 86「フォルダ用袋部材」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)1月8日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「フォルダ用袋部材」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり,「本物品は,図面中実線であらわされた部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。図面中1点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とそれ以外の部分との境界を示す。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとするものであり,本願意匠に類似するとして引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の公開実用新案公報(公開日:昭和62年(1987年)6月30日)に記載された,昭和62年実用新案出願公開第102676号(考案の名称:書類入れ)の,図1乃至図4及び関連する記載に表された書類入れの収容部及び仕切りシートの意匠(本願意匠の実線部に相当する部分)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(以下,引用意匠における本願意匠の実線部に相当する部分を「引用相当部分」という。)(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品について 本願意匠の意匠に係る物品は「フォルダ用袋部材」であり,上記公開実用新案公報の記載によれば引用意匠の意匠に係る物品は「書類入れ」であるが,いずれも書類を収納するために用いられるものであるから,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は共通する。 (2)本願実線部分と引用相当部分(以下,「両意匠部分」という。)の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲 まず,両意匠部分の用途及び機能について,本願実線部分の用途及び機能はフォルダ用袋部材にハガキやカード等を収納した際の仕切り部の役割をするものであり,引用相当部分の用途及び機能は書類入れに蛇腹状に形成した収容部(以下,「蛇腹状収容部」という。)を仕切るものであるため,両意匠部分の用途及び機能は一致する。 次に,両意匠部分の位置,大きさ及び範囲について,本願実線部分の位置,大きさ及び範囲は仕切り部のうち上部見出し部及び折り返し部を除いた部分であり,引用相当部分の位置,大きさ及び範囲は見出用突起及び左右鉤片を除いた部分であって,両意匠部分の位置及び大きさは一致するが,範囲は異なる。 (3)両意匠部分の形態について まず,両意匠部分の共通点として, (A)全体は,略横長直方体状をした略薄板状で形成した点, が認められる。 他方,相違点として, (ア)フォルダ用袋部材及び蛇腹状収容部との固定方法について,本願実線部分である仕切り部は,下部中央に設けた折り返し部をフォルダ用袋部材に挟み込むとともに,その挟み込んだ折り返し部を上方向に折り返し,側面方向から折り返したフォルダ用袋部材を折り返し部の切り込み部に差し込むことで,フォルダ用袋部材と仕切り部とを固定するのに対して,引用相当部分である仕切シートは,左右両辺のそれぞれ上下端部に略L字形状からなる鉤片を合計4つ備え,この部分を蛇腹状収容部の側辺に設けられた小孔部に引っ掛けて固定する点, (イ)フォルダ用袋部材及び蛇腹状収容部との固定位置について,本願実線部分である仕切り部は,フォルダ用袋部材の外方への折れ線部からフォルダ内を分割しているのに対して,引用相当部分である仕切シートは,蛇腹状収容部の内方への折れ線部から収容部を分割している点, が認められる。 2.両意匠部分の形態の評価 以上の共通点及び相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。 まず,共通点(A)の全体の態様は,仕切り部としては本願意匠の出願前に数多く見られる態様であり,これらの共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱なものであって,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対し,相違点(ア)のフォルダ用袋部材及び蛇腹状収容部との固定方法の違いについては,本願実線部分は下部中央に設けた折り返し部をフォルダ用袋部材に差し込み,折り返し,さらにフォルダ用袋部材を折り返して差し込むという手順で取り付けられるため,一度取り付けた本願実線部分は容易に取り外しできない態様であるのに対して,引用相当部分である仕切シートは,その左右両辺に設けられた鉤片を蛇腹状収容部に差し込むことで固定するため,必要に応じて仕切シートを容易に取り外したり移動させたりすることが可能な態様であることから,両意匠部分の異なる固定方法を担う部分の態様は看者に別異な印象を与えるものであり,この相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。 次に,相違点(イ)のフォルダ用袋部材及び蛇腹状収容部との固定位置の違いについても,外方への折れ線部で分割するか内方への折れ線で分割するかは,実際にハガキやカード等を収納する際の広さに影響を及ぼすため,両意匠部分の異なる固定位置は看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(イ)も両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。 3.類否判断 上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については共通し,両意匠部分の用途及び機能は一致し,位置及び大きさは一致するが,範囲は異なる。また,両意匠部分の形態については,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,相違点(ア)及び相違点(イ)が類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配しているものであるから,両意匠部分は類似しないものと認められる。 第4 むすび 以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,審決のとおり結審する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-12-15 |
出願番号 | 意願2013-86(D2013-86) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 中村 遥子 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 綿貫 浩一 |
登録日 | 2015-01-23 |
登録番号 | 意匠登録第1517891号(D1517891) |
代理人 | 岡田 全啓 |