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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L6 |
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管理番号 | 1296096 |
審判番号 | 不服2014-9194 |
総通号数 | 182 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-02-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-05-19 |
確定日 | 2014-12-22 |
意匠に係る物品 | 壁用見切り縁材 |
事件の表示 | 意願2013- 7965「壁用見切り縁材」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成25年(2013年)3月25日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,本願の願書の記載によれば,意匠に係る物品を「壁用見切り縁材」とし,形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前に,日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠,すなわち,日本国特許庁発行の意匠公報(意匠公報発行日:平成18年(2006年)7月24日)に記載された意匠登録第1277278号(意匠に係る物品,壁用水切り部材)の意匠であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「壁用見切り縁材」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「壁用水切り部材」であって,表記は異なるが,本願意匠の願書及び願書に添付した図面の記載,引用意匠に係る文献の記載をそれぞれ総合すると,いずれも建物の外壁ないし外装材の下端縁に取り付けて,雨水等の水を外部に排出するために用いられる水切り材に係るものであり,本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共通する。 (2)両意匠の形態 両意匠の形態を対比すると,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 (以下,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。) まず,共通点として,両意匠は,全体を,薄板を屈曲させて,略「L」字状とした長尺ものであって,その略「L」字状の「垂直部」の長さ(高さ)よりも,「水平部」の長さ(横幅)を細幅としたもので,前記水平部の先端部(屈曲部の反対側)において,薄板を二重に折り返した態様とした点が認められる。 他方,相違点として, (A)水平部の態様について, (A-1)本願意匠の水平部は,全体が,ごく僅かに先端下がりに傾斜した平坦面としているのに対し,引用意匠においては,全体は水平面であって,屈曲部側約3分の1の幅で僅かにくぼんだ溝を形成している点, (A-2)引用意匠において,前記溝の底部には,本願意匠には見られない,略小判形の貫通孔を,長手方向に沿って一定間隔で反復して設けている点, (A-3)水平部先端の折り返しにより二重になっている箇所が,本願意匠は,水平部の幅全体及び垂直部の下部にまで及ぶ範囲とするのに対し,引用意匠は,水平部の先端から屈曲部へ向かう途中に形成された溝の側壁に当接するまでの範囲にとどまり,垂直部には至っていない点, (B)垂直部の態様について, (B-1)本願意匠は,垂直部上端縁において,薄板を一定幅で二重に折り返した態様としているのに対し,引用意匠では,折り返しがなく,一枚板状となっている点, (B-2)引用意匠において,垂直部中央やや上寄りの部分に,本願意匠には見られない,水平に3つ連続した略小円形の貫通孔を,長手方向に沿って一定間隔で反復して設けている点, が認められる。 2 両意匠の形態の評価 両意匠の形態における共通点は,この種の物品分野において,水切り材としては,極一般的な,ありふれた形態にすぎないものであるから,この共通性のみをもって両部分の類否判断を決定することはできない。 これに対し,相違点(A-1)及び(A-2)の水平部の態様の相違は,当該部分が,意匠に係る物品である水切り材の機能に密接に関わるものであることから,その具体的形状について,注目を集めるものであるところ,本願意匠の,平坦で,ごく僅かに先端下がりの傾斜面とした態様により,屈曲部から先端方向へのスムーズな流れを印象づけるのに対し,引用意匠は,僅かにくぼんだ溝と貫通孔を有する態様により,先端方向への流れが妨げられる,本願意匠とは別異の印象を与えるものといえ,この相違点が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 次に,相違点(A-3)の折り返し態様の相違は,正面(端面)から見て目立つものであり,本願意匠の,水平部先端の折り返しにより二重になっている箇所が,水平部の幅全体及び垂直部の下部にまで及ぶ範囲とした態様は,これまでに見られなかったものであり,この相違点が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 また,相違点(B)の相違は,意匠全体からみれば部分的な相違であり,両意匠共にありふれた態様の中での相違であるか,むしろ本願意匠の方が特徴のない態様のものであるところ,両意匠の類否判断に与える影響は,小さい。 そうして,前記相違点(A-1)ないし(A-3)の各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものであるといえる。 3 両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については,共通しているが,両意匠の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,全体として別異の印象を与えるものである。 したがって,両意匠は類似しないものと認められる。 第4 結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-12-08 |
出願番号 | 意願2013-7965(D2013-7965) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 濱本 文子 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 清野 貴雄 |
登録日 | 2015-01-23 |
登録番号 | 意匠登録第1517869号(D1517869) |
代理人 | 川崎 仁 |
代理人 | 中里 浩一 |
代理人 | 三嶋 景治 |