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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1297211 |
審判番号 | 不服2014-8380 |
総通号数 | 183 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-05-07 |
確定日 | 2015-01-27 |
意匠に係る物品 | センサー電極フィルム |
事件の表示 | 意願2013- 6716「センサー電極フィルム」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,本意匠を意願2013-6715号(意匠登録第1488100号)(以下,「本意匠」という。)とする関連意匠の意匠登録出願として,平成25年(2013年)3月26日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「センサー電極フィルム」としたものであり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び本意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。 その理由として,本願意匠と本意匠を比較すると,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分であるセンサー電極フィルムの電極の十字状の線模様状の両側の余白部分の線の疎密に差異が認められ,両意匠の意匠登録を受けようとする部分から受ける美感に大きな印象差があると認められ,本願意匠は,本意匠に類似するとは認められない,としたものである。 本意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成25年(2013年)3月26日に出願されたものであって,平成25年(2013年)年12月13日に意匠権の設定の登録がなされた意願2013-6715号(意匠登録第1488100号)の意匠であって,その意匠は,意匠に係る物品が「センサー電極フィルム」であり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下,本意匠において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本意匠実線部分」という。)としたものである。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品 両意匠を対比すると,両意匠は,いずれも静電容量の変化に基づいて押下位置及び圧力が検出されるフレキシブルディスプレイに用いられる「センサー電極フィルム」に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品が一致する。 (2)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 本願実線部分と本意匠実線部分(以下,「両部分」という。)は,いずれもセンサー電極フィルムの線電極が交差するパターンの一部を部分意匠として登録を受けようとする部分としたものであり,部分意匠としての用途及び機能が一致し,また,共にセンサー電極フィルムの表面の一部であって複数の線電極が十字状に交差して表れた正方形状の一区画であり,両部分の大きさは共通する。 両部分の位置及び範囲については,本願実線部分は,センサー電極フィルムの正面側の表面の右下寄りの部分であるのに対して,本意匠実線部分は,センサー電極フィルムの正面側及び背面側の略中央の部分の,正面視すると僅かに左寄りの部分で,背面視すると僅かに右寄りの部分であって,両部分の位置及び範囲には,差異が認められる。 (3)形態 両部分の形態については,主として,以下の共通点及び差異点が認められる。 (3-1)共通点 (A)樹脂シート上に縦方向の線電極と横方向の線電極が複数配設され,互いに接触しないように重ね合わせた層によって形成され,縦方向と横方向の線電極が密に交差する部分と疎らな部分を設けている点, (B)縦方向と横方向の線電極が交差する部分は,中央が密で,四隅が疎となるように構成され,実線部分であるセンサーの一単位において,中央の密となった部分が中央寄りの5本の縦横の線電極によって十字状に形成され,その四隅の余白部分(以下,「余白部分」という。)にも間隔を拡げて線電極を配している点, において主に共通する。 (3-2)差異点 (ア)実線部分の具体的な態様について,本願実線部分は,縦横の線電極が7本ずつであるのに対して,本意匠実線部分は,11本ずつであり,また,中央寄りの5本の縦横の線電極を除いた四隅の余白部分において,本願実線部分は,外側寄りに縦横の線電極を1本ずつ配しているだけであるのに対して,本意匠実線部分は,中央寄りから外側寄りに縦横の線電極を更に2本ずつ加え,外側寄りの縦横の線電極と合わせて合計3本ずつ配している点, (イ)中央寄りの5本の縦横の線電極の間隔について,本願実線部分は,間隔を広めとした太幅の十字状であるのに対して,本意匠実線部分は,間隔を細めとした細幅の十字状である点, において主な差異が認められる。 4.類否判断 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は一致する。 (2)両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 両部分の用途及び機能が一致し,その大きさも共通する。 両部分の位置及び範囲には,差異が認められるが,この種の物品分野において,そのタッチパネルのセンサーは,通常シートの全体にわたって設けられることを加味すれば,全体の中のどの位置の一区画を選択するかは重要な点とはいえず,また,両部分の範囲についても,両部分は,重ね合わせた層によって形成されているものであるから,背面側に透明部を設けることによって,自然と同様の線電極のパターンを視認できるものであるため,正面側のみか背面側も含むかどうかの点に格別の差異を見出すことはできず,これらの点の差異が両部分の意匠の類否判断に与える影響は,微弱なものに過ぎないといえる。 (3)形態 そこで検討するに,前記共通点(A)については,この種物品において,両部分の意匠のように縦方向と横方向の線電極が密に交差する部分と疎らな部分を設けた態様は,両意匠出願前には見られなかった特徴的なものといえ,両部分の意匠の類否判断に大きな影響を与えるものであり,また,共通点(B)については,この種のセンサー電極フィルムの需要者にとって,中央の密となった部分が中央寄りの5本の縦横の線電極によって十字状に形成された態様が共通し,更にその四隅の余白部分にも間隔を拡げて線電極を配している点も共通する両部分の意匠は,需要者に強い共通感を抱かせるものであって,両部分の意匠の類否判断に大きな影響を与えるものである。そして,これらの共通点は,全体としてみても両部分の意匠の類否判断を決定付けているものというべきである。 これに対し,差異点(ア)の縦横の線電極の本数の差異や,四隅の余白部分に縦横の線電極を更に2本ずつ加えたか否かの差異については,線電極の本数自体や余白部分の線電極の数のみに着目した場合には,その差異は確かに認められるものではあるが,前記した共通点(A)及び(B)の顕著な共通性と両部分の意匠の一致する用途及び機能を考慮して比較した場合には,中央寄りの5本の縦横の線電極によって形成された両部分の強く共通する十字状の態様が醸成する印象に埋没してしまうものといえ,これらの差異点が両部分の意匠の類否判断に与える影響は微弱なものに過ぎず,また,差異点(イ)の十字状の線電極の間隔の差異についても,両部分を線模様として見た場合には,その間隔の差異は異なったものとして認識できるものではあるが,両部分は,重ね合わせた層によって形成されている線電極であり,疎密を設けたという特徴的な態様が共通するものであるから,その差異は,中央寄りの5本の縦横の線電極によって十字状に形成されたという共通する態様における,部分的で軽微な差異といえるものであるから,看者の注意を強く惹くものとはいえず,両部分の意匠の類否判断にあたって格別の評価をすることはできない。 そうすると,共通点は,両部分の意匠に独自で特徴的なものであり,需要者の注意を強く惹き,共通の美感を起こさせるものであるのに対し,差異点は,その視覚に訴える意匠的効果としては格別の評価ができないものであるから,共通点が差異点を凌駕し,両部分の意匠は,類似するものと認められる。 (4)小括 以上のとおり,本願意匠と本意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の部分意匠としての用途及び機能が一致し,その大きさについても共通し,両部分の位置及び範囲の差異については,それらが両部分の意匠の類否判断に与える影響は微弱なものに過ぎず,また,その形態についても,差異が認められるものではあるが,共通点が差異点を凌駕し,相互に類似するものであるから,本願意匠は,本意匠を意願2013-6715号(意匠登録第148100号)とする関連意匠として意匠登録を受けることができるものである。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するので,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-01-14 |
出願番号 | 意願2013-6716(D2013-6716) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 鐸木 芳実、木村 智加 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
斉藤 孝恵 江塚 尚弘 |
登録日 | 2015-02-20 |
登録番号 | 意匠登録第1520134号(D1520134) |
代理人 | 稲本 義雄 |
代理人 | 西川 孝 |