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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 E1
管理番号 1298250 
審判番号 不服2014-13216
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-08 
確定日 2015-02-10 
意匠に係る物品 人形用頭 
事件の表示 意願2013- 16981「人形用頭」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,2013年1月25日の域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成25年(2013年)7月25日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「人形用頭」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとするものであり,本願意匠が類似するとして引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠,すなわち,2012年3月30日に表題を「Mail Online」とするウェブページの「It’s bald Barbie」(アドレスURL:http://www.dailymail.co.uk/news/article-2122589/Its-Bald-Barbie-Mattel-produce-hairless-doll-cancer-victims-inspirational-campaign.html )に掲載された「Beautiful and Bald Barbie」の「人形」の意匠の頭部分であって,その形態は,同ウェブページの写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比

本願意匠の意匠に係る物品は「人形用頭」であり,一方の引用意匠は「人形」の意匠の頭部分であるから,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共通する。
次に,両意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

まず,共通点としては,正面の略長円形状からなる顔面部において,人間の顔と同じように,上から順に,2つの眉,各眉の下方に2つの目,顔面部の略中央に1つの鼻,鼻の下方に口及び唇が設けられ,左右両側面には1つずつ耳を設けている点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)輪郭について,本願意匠は緩やかな弧状の頭頂部に対して顎部は先窄まりな略五角形からなり,頭部全体の縦方向における上から約1/3にあたるこめかみ付近が左右に一番張り出しているのに対して,引用意匠は略半球状の頭頂部と略円弧状の顎部からなり,頭部全体の縦方向における上から約1/2にあたる目尻付近が左右に一番張り出している点,
(イ)眉の形態について,本願意匠の眉は頭部全体の縦方向における上から約1/3よりも僅かに下側に位置し,眉頭から直線的に斜め上方に延び,眉全体の横方向における眉頭から約2/3に位置する眉山から略直角状に折れ曲がって眉尻に到達しているのに対して,引用意匠の眉は縦方向における頭部全体の縦方向における上から約1/2よりも僅かに上側に位置し,眉頭から眉尻まで緩やかな上向き弧状に形成している点,
(ウ)目の形態について,本願意匠の目は頭部全体の縦方向における上から約1/2付近に位置し,目頭から目尻までの長さは頭部全体の横方向における約1/6程であり,下まぶた側よりも上まぶた側のまつげの方が若干長く形成されているのに対して,引用意匠の目は頭部全体の縦方向における上から約1/2よりも僅かに下側に位置し,目頭から目尻までの長さは頭部全体の横方向における約1/3程となっており,下まぶた側よりも上まぶた側のまつげの方が圧倒的に長く形成されている点,
(エ)鼻の形態について,本願意匠の鼻は頭部全体の縦方向における上から約2/3付近に位置し,略縦長長方形状の鼻筋の稜線が表れているのに対して,引用意匠の鼻は頭部全体の縦方向における上から約2/3よりも僅か下方に位置し,鼻筋を含めて全体が略縦長三角形となっている点,
(オ)口の形態について,本願意匠の口は完全に閉じた状態であるのに対して,引用意匠の口は上下の唇が僅かに開き,その間から前歯が見える状態である点,
が認められる。

2.両意匠の形態の評価

以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。
まず,共通点としてあげた内容は,本願意匠の出願前より人形の顔として一般的に見られる態様であるため,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものであるから,全体としてみても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対して,人間が他人の顔を認識する際に,本能的に細部の違いまでも見落とさずに認識するのと同じように,人間の顔と同じ構成からなる人形用の顔の場合であっても,僅かな違いをはっきりとした違いとして認識するものであるから,たとえ僅かな違いであったとしても,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
まず,相違点(ア)の輪郭の違い及び相違点(イ)の眉の形態の違いについては,本願意匠はシャープな印象の輪郭及び眉になっており,キリッとした面持ちになっているのに対して,引用意匠は略卵形の輪郭及び緩やかな弧状の眉から穏やかな面持ちとなっていることから,この違いは看者に別異な印象を与えるものであって,この相違点(ア)及び相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
次に,相違点(ウ)の目の形態の違いについては,本願意匠の目よりも横方向に倍近くも長い,引用意匠の切れ上がった大きな目は,引用意匠を構成する中で最も目立つ部位であって,大きさも位置も異なり,つぶらな印象の本願意匠の目とは別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きいものである。
そして,相違点(エ)の鼻の形態の違いについては,鼻筋の違いは僅かな違いであるものの,顔を構成する重要な部位の違いであるため,この相違点(エ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度はある。
さらに,相違点(オ)の口の形態の違いについては,本願意匠は口を閉じており無表情に見えるものであるのに対して,引用意匠は僅かに口を開けた笑顔の表情であって,全く別異な印象を与えるものであるから,この相違点(オ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きいものである。

3.両意匠の類否判断

上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については共通するものの,形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,相違点(ア)ないし(ウ)及び相違点(オ)が類否判断に及ぼす影響は大きく,また相違点(エ)が相違点(ア)ないし(ウ)及び相違点(オ)と相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配しているものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。


第4 むすび

以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。


よって,審決のとおり結審する。
別掲
審決日 2015-01-26 
出願番号 意願2013-16981(D2013-16981) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (E1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 久保田 麻理 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 綿貫 浩一
江塚 尚弘
登録日 2015-03-13 
登録番号 意匠登録第1521512号(D1521512) 
代理人 石橋 佳之夫 
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