• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1298256 
審判番号 不服2014-13213
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-08 
確定日 2015-02-24 
意匠に係る物品 乗用自動車 
事件の表示 意願2013- 12558「乗用自動車」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,2012年(平成24年)12月6日のドイツへの出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成25年(2013年)6月5日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「乗用自動車」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成24年(2012年)9月10日)に記載された,意匠登録第1450809号(意匠に係る物品,乗用自動車)の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠との対比

本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも「乗用自動車」であるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

次に,両意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお,両意匠の対比にあたっては,車体前方を前側又はフロント側(本願意匠の図面では,「正面図」として表れる。),車体後方を後ろ側又はリア側(本願意匠の図面では,「背面図」として表れる。),車体側面を側面側とする。

まず,共通点として,
(A)全体は,3ボックスタイプの乗用自動車であって,
(B)車体側面側について,ホイールアーチは,フロントフェンダー及びリアクォータパネルを側面視略倒U字状に切り欠き,その切り欠き部の周囲を車体外側に向かって僅かに膨出させ,その切り欠き部のアーチ状縁部分を細幅の垂直な略円弧状帯状面となるように形成した形態とし,ウエストラインは,フロントコンビネーションランプの上端部外側部分からボンネットに沿ってそのやや外側を通り,ドア上端部やや下側に沿ってリアピラーの前方側付け根付近までほぼ一直線状に続く形態とし,キャラクターラインは,フロントホイールアーチリア側上端部からリアコンビネーションランプ側面部フロント側端部付近まで,及びフロントホイールアーチリア側下方部からドア下端部やや上側に沿ってリアホイールアーチフロント側下方部付近まで,いずれもリア側に向かって僅かに上向きの直線状に形成した形態とし,ドアミラーは,フロントドアガラス前方下端部付近に配設し,ドアハンドルは,ドアパネルに形成された楕円状の窪みの上部に渡って略横長隅丸矩形状の把手を配している点,
(C)車体フロント側について,ボンネットは,フロントピラー外側根元部分からボンネット前端部にかけて前端部近傍が内側に湾曲した左右プレスラインに沿って内側が1段盛り上がり,この左右プレスラインのやや内側に形成した平面視略直線状の左右プレスラインの間を更に僅かに膨出した形態とし,フロントグリルは,略横長D字状の枠体を左右対称に対向させて,車体前面の正面中央部分に並設し,各グリルの枠内に縦桟を複数配した形態とし,フロントコンビネーションランプは,正面視略軸付きサヤエンドウ形状のものを,その軸部分をフロントグリル枠体外側上方部分に接して左右対称となるように配し,各ランプの内部に略円形状のヘッドランプを2つ並設した形態とし,フロントバンパーは,ボンネット前方部分,左右フロントグリル中間部分,並びにフロントグリル及びフロントコンビネーションランプ下方部分を一体的に形成して構成し,フロントグリル下方部分に正面視略倒立台形状の僅かな窪み部分を形成し,バンパーの下端部付近に正面視の形状がカヤック用のダブルブレードパドル状の開口部(以下,「パドル状開口部」という。)を水平方向に設けた形態としている点,
(D)車体リア側について,トランクは,リアウインドウ後ろに位置するほぼ水平な面のトランク上面部,及び下に向かって僅かに前側に傾斜した背面視略横長U字状のトランク垂直面部からなり,この垂直面部中央部分に上に向かって僅かに前側に傾斜した背面視略横長長方形状のライセンスプレート取り付け部を形成し,トランク垂直面上辺部を僅かに後ろに突出させて水平な突条部を1条形成した形態とし,リアコンビネーションランプは,車体リア側左右上端部のテールランプと,トランク垂直面部左右辺中央部分のトランクリッドランプとを,その底辺を一直線状になるよう配し,リアコンビネーションランプ内下半分の部分に2条のブレーキランプを,リアコンビネーションランプ内上端部付近にウインカーランプを,トランクリッドランプ内上端部付近にバックランプをそれぞれ組み込んだ形態とし,リアバンパーは,下に向かって僅かにリア側に傾斜し,トランクリッド垂直面下辺部分の形状に合わせてその中央部分を切り欠いた背面視略横長U字状のバンパー上面部,及びその下側の垂直な面からなるバンパー垂直面部からなり,バンパー下方左右端部付近に背面視略横長長方形状のリフレクターを一ずつ配設し,バンパー下端部左端付近を略倒U字状に切り欠き,該部位に略円筒形状のテールエンドパイプを1つ設けている点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)車体側面側について
(ア-1)ドアの態様について,本願意匠は,フロントドアのみの2ドアからなり,車体全長に占めるフロントドアのキャラクターラインでの横幅の割合が約32%であるのに対して,引用意匠は,フロントドア及びリアドアの4ドアからなり,車体全長に占めるフロントドアのキャラクターラインでの横幅の割合が約28%,リアドアのキャラクターラインでの横幅の割合が約20%である点,
(ア-2)サイドウインドウの態様について,本願意匠は,側面視略台形状の枠部のないフロントドアガラス及びその前端部に細幅の縦枠部を設けた側面視略横長D字状の嵌め殺しのリア側ガラスの2枚の構成であるのに対して,引用意匠は,その後端部に幅広の縦枠部を設けた側面視略台形状のフロントドアガラスと,その前端部に幅広の縦枠部を設けた側面視略長方形状のガラス及びその前端部に細幅の縦枠部を設けた側面視略D字状のガラスからなる全体が側面視略横長D字状のリアドアガラスとの3枚の構成である点,
(ア-3)ドアパネル及びサイドシルの縦幅とサイドウインドウ及びルーフの縦幅の比率について,本願意匠は,ドアパネル上端部からサイドシル下端部までの縦幅とサイドウインドウ下端部からルーフ上端部までの縦幅の比を約2:1としているのに対して,引用意匠は,同比を約1.7:1としている点,
(ア-4)センターピラーの配置態様について,本願意匠は,フロントピラーとリアピラーの中間部よりやや後方の位置から斜め後方に立設しているのに対して,引用意匠は,フロントピラーとリアピラーのほぼ中間部の位置から斜め後方に立設している点,
(ア-5)リアピラーの態様について,本願意匠は,リアピラーとウエストラインのなす角度を約20度とし,リアピラーの下端部付近から下方に向けて拡がるよう形成しているのに対して,引用意匠は,リアピラーとウエストラインのなす角度を約28度とし,リアピラーの中間部分から下方に向けて拡がるよう形成している点,
(ア-6)トランク上面部分の位置について,本願意匠は,ウエストラインとほぼ同じ高さであるのに対して,引用意匠は,ウエストラインより一段高い位置としている点,
(ア-7)フロントホイールアーチ後方のスリットの有無について,本願意匠は,フロントホイールアーチ後方に,やや斜め方向の縦スリットを形成し,その開口部に略ブーメラン形状のモールを左右に1つずつ配設しているのに対して,引用意匠には,そのようなスリット及びモールを設けていない点,
(イ)車体フロント側について
(イ-1)フロントグリルの態様について,本願意匠は,左右各グリルの縦横比が約1:2.4であり,車体全幅に占める左右フロントグリル全体の横幅の割合が約47%であるのに対して,引用意匠は,左右各グリルの縦横比が約1:2であり,車体全幅に占める左右フロントグリル全体の横幅の割合が約40%である点,
(イ-2)フロントバンパーの態様について,本願意匠は,フロントコンビネーションランプとパドル状開口部との間のバンパー垂直面部分を正面視が外側に向かって上に傾斜する略円弧状の帯状に形成しているのに対して,引用意匠は,フロントコンビネーションランプとパドル状開口部との間のバンパー垂直面部分をほぼ水平な帯状に形成している点,
(イ-3)パドル状開口部の態様について,本願意匠は,パドル状開口部の中央部分に格子状部材を設け,その開口部の左右端部に板状部材を配してフォグランプを取り付けているのに対して,引用意匠は,パドル状開口部全体に格子状部材を配し,その開口部の左右端部に略円形状枠部を設けてフォグランプを取り付けている点,
(ウ)車体リア側について
(ウ-1)車体全高に占めるトランク上面部までの高さの割合について,本願意匠は,車体全高に占めるトランク上面部までの高さの割合が約75%であるのに対して,引用意匠は,同割合が約70%である点,
(ウ-2)リアバンパーの態様について,本願意匠は,バンパー上面部の左右立ち上がり傾斜面部分を,上辺縁部をフロント側に折り曲げた背面視略平行四辺形状に形成しているのに対して,引用意匠は,バンパー上面部の左右立ち上がり部分を,背面視略扇形状に形成している点,
(ウ-3)リアコンビネーションランプの態様について,本願意匠は,背面視略隅丸変形五角形状のテールランプ上辺と背面視略倒立台形状のトランクリッドランプ上辺とを傾斜したなだらかな曲線で段差なくつなげて並設しているのに対して,引用意匠は,背面視略D字状のテールランプ内側の縦辺と背面視略隅丸横長長方形状のトランクリッドランプ上辺とを略L字状になるよう段を設けて並設している点,
が認められる。

2.両意匠の形態の評価
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。

まず,共通点(A)ないし(D)の態様については,両意匠の具体的態様に係る共通点ではあるものの,この種物品分野においては,特に本願意匠の請求人の先行意匠において既に見られる態様であり,本願意匠と引用意匠のみがもつ共通点であるとは言えず,これら共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,これらの共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対し,相違点(ア-1)ないし(ア-5)については,車体を側面から見た場合に,いずれも非常に目に付き易い部位に係るものであるから,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響はそれぞれあるという他ない。とりわけ,ドア及びサイドウインドウの相違については,本願意匠は,キャビン部分が低い2ドアクーペボディであるとの印象を与えるものであり,引用意匠は,キャビン部分が突出した4ドアセダンボディであるとの印象を与えるものであるから,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
次に,相違点(ア-6),相違点(イ-1)及び相違点(ウ-1)の各相違点については,本願意匠は,車体フロント側及びリア側が与える印象に加え,車体側面側のリア側に向かってやや上向きの傾斜で一直線状にウエストラインが形成されていることにより,車体がキャビンから後方にかけてテールアップした視覚的印象を与えるものであり,引用意匠は,車体リア側にウエストラインより一段高い水平なトランクを設けたことにより,車体後方部分がウエストラインからフラットに一段突出したような視覚的印象を与えるものであるから,両意匠の形態全体の美感を大きく異ならせるものであって,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
また,相違点(ア-7),相違点(イ-2),相違点(イ-3),相違点(ウ-2)及び相違点(ウ-3)の各相違点については,装飾モール,フォグランプ,フロントバンパー及びリアバンパーなど,いわゆるパーツの細部に関する具体的態様に係るものであり,車体全体としてみた場合には,小さな部分における相違ではあるが,それぞれはパーツごとの特徴を表わすものであり,これらの相違点が両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼすものである。
そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。

3.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については,一致するものの,形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響はそれぞれ大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配しているものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

第4 むすび

以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-02-10 
出願番号 意願2013-12558(D2013-12558) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 神谷 由紀 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 江塚 尚弘
斉藤 孝恵
登録日 2015-03-27 
登録番号 意匠登録第1522736号(D1522736) 
代理人 藤田 アキラ 
代理人 今井 秀樹 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ