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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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無効2013880010 | 審決 | 意匠 |
無効2013880017 | 審決 | 意匠 |
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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 B2 |
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管理番号 | 1298265 |
審判番号 | 不服2014-16465 |
総通号数 | 184 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-08-20 |
確定日 | 2015-03-03 |
意匠に係る物品 | レッグカバー |
事件の表示 | 意願2013- 15515「レッグカバー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする,平成25年(2013年)7月8日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「レッグカバー」とし,その形態は,願書の記載及び願書添付の写真に現されたとおりのものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由 本願に対する原査定の拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,以下のとおりである。 レッグカバーの分野では,カバーの長さを脚のほぼ全体を覆う程度の長尺状としたものは従来から普通にみられる(例えば公知意匠1)。 本願意匠は,公知意匠2のレッグカバーに対して,単にその長さを,普通にみられる程度の長尺状としたまでの創作に過ぎない。 公知意匠1(別紙第2参照) 特許庁特許情報課が2006年6月8日に受け入れた 2006年4月3日発行の大韓民国意匠商標公報(CD-ROM番号:2006-16)に記載された意匠登録 第30-0410560号のレッグカバーの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH18513735号) 公知意匠2(別紙第3参照) 特許庁普及支援課が2009年10月8日に受け入れた 米国特許商標公報 2009年9月15日09W37号 レッグカバー(登録番号US D599981S)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH21316411号) 3.請求人の主張の要旨 (1)公知意匠1は,足の甲部分から太ももあたりまで覆うという点においてその形状が本願意匠と共通するが,公知意匠1のいずれの箇所においても,ジッパーの存在は確認されない。 また,公知意匠1のレッグカバーは臀部及び股部も覆う構造となっており,二本の筒状のカバー上部がつながった形状をなす一方,本願意匠のレッグカバーは,一脚ずつ独立した形状からなる。 (2)公知意匠2は,踵及びつま先部を切り抜いた形状で下脚を覆うカバーという点において本願意匠と共通するが,公知意匠2のいずれの箇所においても,ジッパーの存在は確認されない。 また,公知意匠2は,丈が甲部から脹脛部までの長さしかなく,本願意匠よりも長さが相当短い。 (3)本願意匠は,その正面中央において,その下端から一定程度の高さにまでジッパーが設けられている。一方,公知意匠1及び2は,いずれの箇所にもジッパーが設けられていない。また,そもそも公知意匠1は,臀部及び股部も覆う構造で,二本の筒状のカバー上部がつながっており,一脚ずつ独立した形状の本願意匠とはその形状が明らかに異なる。さらに,公知意匠2は,足の甲から脹脛部分までを覆うものであるが,本願意匠は足の甲から太ももまでを覆うものであり,この点で公知意匠2は具体的態様が本願意匠とは異なる。 よって,公知意匠1及び2を寄せ集めても,また,寸法等を適宜変更し得たとしても,本願意匠のジッパー部分の態様を導き出すことはできないと思料する。すなわち,1脚タイプのレッグカバーについて,足の甲から太ももまでを覆うデザインとした上で,その正面中央にジッパーを設けるという手法は当業者にとって何らありふれた手法ではなく,当業者が公知意匠1及び2に基づいて本願意匠を容易に創作することができたとは到底言えないものと思料する。 4.当審の判断 本願意匠が,当業者であれば,容易にその意匠の創作をすることができたものか否かについて,以下検討する。 (1)本願意匠 本願意匠は,意匠に係る物品を「レッグカバー」とし,左右一対のもののうちの片側であり,その形態は,足の甲部から太ももあたりまでを覆う筒状のカバーであって,踵及びつま先部をくり抜いたもので,正面において上下中央の横方向に,左から全体の約4割程度の長さまで達するジッパーを設けたものである。 (2)原査定の拒絶の理由の引用意匠 1)原査定の拒絶の理由に引用した公知意匠1は,意匠に係る物品を「タイツ」(拒絶理由においては「レッグカバー」としていたが,原文を確認すると韓国語では「タイツ」であった。)とし,足の甲から腰までのニット状のもので,上部が一体となり,左右に筒状のカバーが伸び,踵及びつま先部をくり抜いたものである。 2)公知意匠2は,意匠に係る物品を「レッグカバー」(英語では「FOOTWEAR ACCESSORY」)とし,左右一対のもののうちの片側であって,足の甲からふくらはぎまでの筒状のカバーであって,踵及びつま先部をくり抜いたものである。 (3)創作容易性の判断 まず,この種のレッグカバーの分野においては,レッグカバーを略筒状とすることは公知意匠2に見られるように,本願出願前より既に行われていることである。また,レッグカバーの踵及びつま先部をくり抜いたものも,公知意匠1及び公知意匠2に見られるように,本願出願前より既に公然知られた態様といえるものである。そして,足の甲から太ももあたりまでを覆う筒状のレッグカバーも本願出願前より既に見られるもので,本願意匠のみに見られる独自の態様とも言うことができないものである。 しかしながら,レッグカバーの踵及びつま先部をくり抜いたものは,公知意匠1及び公知意匠2に見られるとおりであるが,公知意匠1は,上部がつながったタイツであって本願意匠とは異なり,公知意匠2は,足の甲からふくらはぎまでの長さのものであって,どちらも本願意匠とは異なり,また,どちらもジッパーは有していない。よって,足の甲から太ももあたりまでを覆う筒状のレッグカバーに,公知意匠1及び公知意匠2の踵及びつま先部をくり抜いた態様を組み合わせたとしても,本願意匠の態様を容易に導き出すことはできない。 確かに本願出願前よりジッパーを脚の側面やふくらはぎ側に設けたレッグカバーは既に認められるものではあるが,本願意匠のように正面において上下中央の横方向に,左から全体の約4割程度の高さまで達するジッパーを設けたものは,他には見当たらないものである。本願意匠の外形状は,公知意匠1及び公知意匠2のいずれとも異なり,また,本願意匠の具体的なジッパーの態様は,先行する意匠には見当たらないし,公知の意匠からは導き出すこともできないのであるから,本願意匠に係る具体的な態様がこれらの意匠から容易に創出し得るものということはできない。 そうすると,本願意匠は,足の甲部から太ももあたりまでを覆う筒状のカバーであって,踵及びつま先部をくり抜いたもので,正面において上下中央の横方向に,左から全体の約4割程度の高さまで達するジッパーを設けたものであり,特に正面である脚のすね側にジッパーを設けた態様は,本願意匠の独特の態様といえるもので,当業者であれば容易に創作することができたものとはいうことができないものである。 よって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠ということはできない。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないものであり,原査定の拒絶の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-02-19 |
出願番号 | 意願2013-15515(D2013-15515) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(B2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 市村 節子 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
斉藤 孝恵 江塚 尚弘 |
登録日 | 2015-03-13 |
登録番号 | 意匠登録第1521452号(D1521452) |
代理人 | 田中 克郎 |