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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D4 |
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管理番号 | 1298273 |
審判番号 | 不服2014-17627 |
総通号数 | 184 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-09-04 |
確定日 | 2015-03-17 |
意匠に係る物品 | エアーコンディショナー |
事件の表示 | 意願2013- 15739「エアーコンディショナー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)7月10日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「エアーコンディショナー」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり,「実線であらわされた部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたもの(以下,本願において,意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)である。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成23年(2011年)12月26日)に掲載された,意匠登録第1430490号(意匠に係る物品,エアーコンディショナー)の意匠における本願の「意匠登録を受けようとする部分」に相当する部分(以下,引用意匠における本願の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分を「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品 本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれもエアーコンディショナーであるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。 2.本願実線部分と引用相当部分の対比 (1)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 本願実線部分と引用相当部分(以下,「両意匠部分」という。)は,いずれもエアコン前面パネルの下辺部近傍部分及びエアコン本体の吹出口に配された上下風向板の左右に配設された幅の異なる2つの板状体の部分であるから,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲については共通する。 (2)具体的形態 両意匠部分の形態を対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 まず,共通点として, (A)両意匠部分全体は,エアコン本体の前面パネル下辺部からパネルの約1/10の高さまでの範囲の前面パネルの正面部及び左右側面部の部分(以下,「前面パネル部分」という。),エアコン本体の吹出口に配された上下風向板の左側に上下風向板とほぼ面一になるよう配設された略縦長長方形板状体の正面部及び左側面部の部分(以下,「左側パネル部分」という。),及び上下風向板の右側に上下風向板とほぼ面一になるよう配設された正面視略横長長方形板状体の正面部及び右側面部の部分(以下,「右側パネル部分」という。)であって,正面視略逆凹字状になるよう構成している点, (B)前面パネル部分は,前面パネルの下辺部を斜めに切り欠いたように形成して細幅の傾斜面としている点, (C)左側パネル部分は,前面パネル下辺部からエアコン本体底面部前方側までの範囲とし,湾曲した曲面としている点, (D)右側パネル部分は,左側パネル部分の約2倍の横幅をもち,前面パネル下辺部からエアコン本体底面部前方側までの範囲を左側パネル部分と同じ湾曲した曲面としている点, が認められる。 他方,相違点として, (ア)前面パネル部分,左側及び右側パネル部分の背面視の態様について,本願実線部分は,エアコン本体部より各パネルの横幅が長いため,左右にはみ出して各パネル部分が表れているのに対して,引用相当部分は,エアコン本体部と各パネルは同じ横幅であって,左右のはみ出し部がない点, (イ)前面パネル部分下方の傾斜面の態様について,本願実線部分は,側面視略直線状で,僅かに傾斜しているのに対して,引用相当部分は,側面視略凹弧状で,急勾配で傾斜している点, (ウ)前面パネル部分の左右側面の態様について,本願実線部分は,左側及び右側パネル部分とほぼ同じ厚みで形成しているのに対して,引用相当部分は,左側及び右側パネル部分の約4倍の厚みで形成している点, が認められる。 3.両意匠部分の形態の評価 共通点(A)ないし(D)の態様は,この種物品分野において,本願意匠の出願前に既に多数存在するものであって,本願実線部分と引用相当部分のみがもつ共通点であるとは言えず,これらの共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱なものであるから,これらを全体として見たとしても,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対し,相違点(ア)前面パネル部分,左側及び右側パネル部分の背面視の態様については,各パネル部分がエアコン本体部から左右にはみ出して表れている本願実線部分の態様は,本願意匠のみがもつ特徴点であるから,従来から極普通に見られる態様にすぎない引用相当部分のものとは,看者に与える印象が全く異なるものであって,この相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は非常に大きいものである。 次に,相違点(イ)前面パネル部分下方の傾斜面の態様,及び(ウ)前面パネル部分の左右側面の態様については,各部の態様ではあるが,エアコンを正面下方から見た場合に比較的目に付く部位であるから,前面パネル部分の傾斜が緩やかで左右側面の幅が狭い本願実線部分の態様と,前面パネル部分が急傾斜で傾斜面が明確に表れ,左右側面が幅広の引用相当部分のものとは,看者に与える印象が大きく異なり,これらの相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きいものである。 そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,両意匠部分全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。 4.両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については一致し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても共通しているが,両意匠部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,両意匠部分を全体として見た場合,上記共通点の影響を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるということができる。 したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-02-23 |
出願番号 | 意願2013-15739(D2013-15739) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 上島 靖範 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2015-03-27 |
登録番号 | 意匠登録第1522738号(D1522738) |
代理人 | 松井 重明 |
代理人 | 稲葉 忠彦 |
代理人 | 倉谷 泰孝 |
代理人 | 村上 加奈子 |