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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 E0
管理番号 1299404 
審判番号 不服2014-16676
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-08-22 
確定日 2015-03-20 
意匠に係る物品 ペットフード 
事件の表示 意願2012- 31929「ペットフード」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,2012年6月29日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成24年(2012年)12月27日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「ペットフード」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「各図に表された細線は,立体形状を表す線である。」としたものである。(別紙第1参照)


第2 原審における拒絶の理由

原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,この意匠登録出願に係るペットフードの分野において,全体を略しゃもじ状とすることは,例えば意匠1に示すように,本願出願前より公然知られたものであり,また,外周面を平らにすることは,例えば意匠2又は意匠3に示すように,本願出願前より極普通に見られるのでありふれた手法であるところ,この意匠登録出願の意匠は,本願出願前に公然知られた意匠1のペットフードの意匠について,この分野において従来より極普通に行われているように,その外周面を平らにしたに過ぎないため,容易に意匠の創作をすることができたものと認められる,というものである。

意匠1(別紙第2参照)
特許庁総合情報館が2000年2月2日に受け入れた
1999年12月31日発行の国際事務局意匠公報
(CD-ROM番号:No10/1999)に記載された
国際意匠登録 第 DM/049 373号の
犬用ビスケットの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH14507677号)

意匠2(別紙第3参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1419841号の意匠

意匠3(別紙第4参照)
特許庁意匠課が2000年1月26日に受け入れた
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第1頁所載(マスターフーズ リミテッドが発行した内国カタログ)
ペットフードの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC12002540号)


第3 請求人の主張の要旨

原審の拒絶査定において,「引用意匠1において,出願人主張の『細幅の先端部は1つの小円弧状から成る』点については,引用意匠1の斜視図には,平面が薄墨,周側面が濃墨といった明度差を有する中で,当該図の左方に周側面の端部が手前側と後方側に二段となって平面よりもやや濃く表されていることから,両意匠共に,細幅の先端部は2つの小円弧状の交差する凸凹部から成る態様が共通し,」と認定するが,拒絶理由の説示においては,引用意匠1を「全体を略しゃもじ状」と認定しており,その部分(持ち手の先端部)は小円弧状若しくは略直状と解せられる。この部分について,客観的に「細幅の先端部は2つの小円弧状の交差する凸凹部から成る態様」と認定するには無理がある。「しゃもじ」とは,特に,「飯をよそう道具(広辞苑5版)」をいい,普通その持ち手の先端は,小円弧状若しくは略直線状であり,到底「2つの小円弧状の交差する凸凹部から成る態様」とは想定できない。そして,審査手続上も,当初の認定と異なる認定で査定したとすれば,出願人には訴訟手続上の「不意打ち」で違法と言わざるを得ない。
次に,「また,細幅の先端部と広幅の他端(両端)とは『細幅の端部付近寄りの略同様の凹弧状部(括れ部)で繋がれている』点についても,引用意匠1の斜視図には,凹弧状部の曲率半径が手前側は大きく,後方側は小さく表されていることから,両意匠共に,両端は相異なる凹弧状部(括れ部)で繋がれている態様が共通し,」と認定するが,拒絶理由の説示においては,引用意匠1について「全体を略しゃもじ状」と認定しており,その部分(持ち手の曲状握り部)は略対象と解せられる(出願人は「栓抜き具」)。したがって,「両端は相異なる凹弧状部(括れ部)で繋がれている態様」と認定するのには無理がある。
そして,「さらに,平面及び底面と周側面との角部が直角か隅丸かといった点は,子細に見れば具体的形状の相違点として視覚観察されるものの,局所的に加えられた部分的な改変にとどまる程度のものであることに加え,」の説示については,本件意匠出願の斜視図及び正面図背面図により明らかなように,その周辺の長手方向周側全体が上方に向かって内側に傾斜(台状)されており,常態では台盤状に載置される態様で,「平面及び底面と周側面との角部が直角か隅丸かといった点」の差異に帰するものではない。
さらに,「本願意匠のようにほぼ直交する面同士の角部を面取りせずに直角のままとすることは,例えば引用意匠2に見られるとおり,本願意匠のみに見られる独自の態様とはいえないため,その態様には,当業者の視点から見て意匠的な創意工夫は認められません。」と認定するが,本件意匠の周側は,その位置により,角度を変えて構成し,その周側は,長手方向周側全体が上方に向かって内側に傾斜(台状)されており,常態では台盤状に載置される態様であり,また,長手方向両端部付近(特に細幅の足端部付近)は,垂直状の側壁と変化させて,ペットの食べる際の食いつきの平易の程度を工夫している。したがって,子細に見るまでもなく,引用意匠2の周側の構成態様とは,造形思想の異なるものである。
本件意匠は,意匠に係る物品「ペットフード」の製品形態について一の体系的な表現に基づく態様であって,その造形価値は,引用意匠1を単に平坦面にしたとして得られるものではなく,その独自の特色を有すると認めないわけにはいかないものであって,本件意匠は,提示された証拠によっては,その創作性非容易性の要件を否定されるものではなく,意匠登録の要件を具備するものである。


第4 当審の判断

以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

(1)本願意匠の形態

本願意匠は,底面視において,全体の縦横比を約3:2とした左右方向及び上下方向が非線対称の略ひょうたん形状であって,二つの小さな円弧状の凸状部を備えたひょうたん上部の細幅側の端部よりいったん内側方向にくびれ,そこから細幅側の約3倍ほどに横幅を拡げたのち,略横長U字状の大きな円弧状からなる太幅側の端部に達する外形線とし,それらは全て曲線で構成されているものである。平面側及び底面側は略ひょうたん形状からなる平坦面であり,縦方向の長さはほぼ等しいものの,底面側よりも平面側の平坦面の横方向の長さが全体的にわずかに短いため,左右側面図に表れる側面形状は略長方形状となるのに対して,正面図及び背面図に表れる側面形状は略台形状となって表れるものである。

(2)本願意匠の創作の容易性について

原審の拒絶の理由において,ペットフードの分野で全体を略しゃもじ状とすることは本願出願前に公然知られたものであり,外周面を平らにすることも本願出願前よりごく普通に見られるものであるとして,それぞれ意匠1並びに意匠2及び3を示した上で,本願意匠は本願出願前に公然知られたペットフードの意匠の外周面を平らにしたに過ぎず,容易に創作できたものとしているが,それぞれ以下の理由により,成り立たない。
意匠1については,略しゃもじ形状のペットフード(犬用ビスケット)の例示であるが,斜視図しかない上に全体的に不鮮明であるために,正確な形態の認定はできないものの,全体の縦横の比率は本願意匠よりも縦長の印象であり,しかも外形線には曲線だけでなく直線も含まれ,さらに本願意匠にはない略三日月形状の3つの溝部や略楕円形状の溝部が存在しているため,意匠1は全体形状の例示としては適切なものではなく,本願意匠とは大きく異なるものである。また,意匠2及び意匠3については,平らな外周面を持つペットフードの例示であるが,本願意匠は外周面が平らであることに加え,正面視及び背面視からの側面形状が略台形状となって表れる点に特徴があり,意匠2の右側面図及び平面図のように略長方形からなる側面形状しか表れないものとは明らかに異なるものである。なお,意匠3については1図のみの開示であって,外周面が平らであるのかどうかが不明であって適切な引例とはいえない。
したがって,本願意匠の,縦横比を約3:2とし,左右方向及び上下方向が非線対称であり,全ての外形線が曲線で構成されている略ひょうたん形状で,平面側及び底面側の平坦面で挟まれた厚み部分の側面形状が略台形状となって表れる態様は,先行意匠からは容易に創作することができない本願意匠独自のものであるから,本願意匠は,公知の形態に基づいて容易に創作できたものということはできない。


第5 むすび

以上のとおりであるから,本願については,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-02-19 
出願番号 意願2012-31929(D2012-31929) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (E0)
最終処分 成立 
前審関与審査官 平田 哲也久保田 麻理 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
綿貫 浩一
登録日 2015-04-24 
登録番号 意匠登録第1524731号(D1524731) 
代理人 大川 晃 
代理人 田邉 隆 
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