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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1299406 
審判番号 不服2014-20781
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-14 
確定日 2015-03-25 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2013- 24353「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,平成25年(2013年)10月18日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,本願意匠が類似するとして引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成21年(2009年)11月24日)に掲載された,意匠登録第1374289号(意匠に係る物品,化粧料用容器)の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第3 当審の判断

1.原査定の適否

まず,原査定における拒絶の理由と,その際に引用された意匠について検討し,原査定の適否を判断する。

(1)本願意匠と引用意匠の対比

本願意匠の意匠に係る物品は包装用容器であり,一方,引用意匠の意匠に係る物品は化粧料用容器であるが,本願意匠はマニキュアなどを入れて販売時に包装用容器として使用されるものであるから,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は共通する。

次に,両意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

まず,共通点として,

全体を,上から,略円筒形状のブラシの柄(以下,「ブラシ部」という。),円筒形の上に緩やかに拡がった略円錐形が組み合わされたキャップ(以下,「キャップ部」という。)及び上方が雄ねじ状となった透明部材からなるブラシ部の約3倍の直径の略円筒形状の容器(以下,「容器部」という。)で構成し,ブラシ部の根本の円筒部とキャップ部上方の円孔部とは嵌合した状態であり,キャップ部下方と容器部とは締め付けにより固定した状態となっている点,

が認められる。

他方,相違点として,

(ア)全体の構成比率について,高さ方向における本願意匠のブラシ部,キャップ部及び容器部の構成比率は約3:3:1であるのに対して,引用意匠のそれは約2:3:1となっている点,
(イ)全体の高さについて,底辺の横幅が同じ場合における両意匠の高さの比率は約10:9であり,本願意匠の方が引用意匠よりも約1割ほど長い全高となっている点,
(ウ)ブラシ部の態様について,本願意匠は透明材質であり,その内部は空洞になっており,上部には不透明材質からなる略円盤状の蓋が締め付けされているのに対して,引用意匠は不透明材質であり,上部には反転してキャップ部と嵌合できるように略凸状円筒嵌合部を設けている点,
(エ)キャップ部の態様について,本願意匠のキャップ部の円筒形部分の周側面には段差等がないのに対して,引用意匠のキャップ部の円筒形部分の周側面には側面視略幅細縦長長方形となる弧状面が計4つ表れている点,

が認められる。

(2)両意匠の形態の評価

以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。
まず,共通点としてあげた全体の態様は,本願意匠の出願前より化粧品用の包装用容器として一般的に見られるものであり,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものであるから,全体としてみても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
これに対し,相違点(ア)の全体の構成比率の違いによって,両意匠におけるブラシ部は縦方向の長さが大きく異なっており,また,相違点(イ)の全体の高さの違いは相違点(ア)と相まって,本願意匠は重心の低いどっしりとした印象となっているのに対して,引用意匠は全体的に縦長でスマートな印象となっており,これら見た目の違いは看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ア)及び相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
次に,相違点(ウ)のブラシ部の態様の違いについては,本願意匠のブラシ部は透明材質のブラシ部内部に宝石等を入れることが可能であり,また,マニキュア塗布時はブラシ部単体で使用し,キャップ部をブラシ部ホルダーとしては用いないような端部形状となっているのに対して,引用意匠のブラシ部は内部に宝石等は入れられないものであり,マニキュア塗布時には嵌合したキャップ部をブラシ部ホルダーとして使用可能な端部形状となっており,設置状態において装飾的な機能を持たせた本願意匠のブラシ部と,使用時に塗りやすさを考慮した引用意匠のブラシ部とは看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
さらに,相違点(エ)のキャップ部の態様の違いについては,引用意匠のキャップ部円筒部分中央に設けられた側面視略幅細縦長長方形の弧状面が引用意匠全体においても特徴的な部分であり,このような弧状面がない本願意匠とは大きく異なるものであるため,この違いも看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(エ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。

(3)両意匠の類否判断

上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は共通するものの,形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,相違点(ア)ないし(エ)が類否判断に及ぼす影響は大きく,これら相違点によって生じる視覚的効果は,共通点のそれらを凌駕して,類否判断を支配しているものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

第4 むすび

以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。


よって,審決のとおり結審する。
別掲
審決日 2015-03-13 
出願番号 意願2013-24353(D2013-24353) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 正田 毅 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
綿貫 浩一
登録日 2015-04-10 
登録番号 意匠登録第1523771号(D1523771) 
代理人 貝塚 亮平 

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