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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 D5
管理番号 1300579 
審判番号 不服2014-19008
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-24 
確定日 2015-03-10 
意匠に係る物品 流し台用カウンター 
事件の表示 意願2013- 8838「流し台用カウンター」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)4月19日の意匠登録出願であり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「流し台用カウンター」とし,形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」ともいう。)を,願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたもので,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注:以下「本願実線部分」という。)である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とそれ以外の部分との境界のみを表す線である。」としたものである。(別紙第1参照)

第2 原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には以下のとおりである。
「本願の意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願に係り,意匠に係る物品を『流し台用カウンター』とし,実線で表された部分及び一点鎖線で囲われた部分が意匠登録を受けようとする部分であり,その部分は,流しの左側奥のデッキ部の表面の大部分とそれと一体状に形成する左側の天板部の一部分と後端の垂直縁部の一部分であって,その形状は,全体を上面視略長方形状とし,デッキ部を左側の天板部より一段低い位置に形成し,その奥側を直接垂直縁部に至るように形成したものです。
そして,この種流し台用カウンターにおいて,全体を上面視横長長方形状とし,その左側にこんろ取付用の矩形状の開口部,中央に調理スペース,及び右側に流しを設けたものが,下記の【公知意匠1】,【公知意匠2】に見られるように本願の出願前に広く知られています。
また,本願の意匠のように,デッキ部を左側の天板部より一段低い位置に形成し,その奥側を直接垂直縁部に至るように形成したものが,この種物品において,下記の【公知意匠3】に見られるように,本願の出願前より公然知られています。
そうすると,本願の意匠は,意匠登録を受けようとする部分の位置,大きさ及び範囲に格別の創意は認められないものであり,また,その形状は,本願の出願前より公然知られた【公知意匠3】の当該部分をほとんどそのまま表した程度にすぎませんので,当業者であれば容易に創作をすることができたものと認められます。

【公知意匠1】(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1148109号の意匠
(意匠に係る物品:流し台用流し付き天板)

【公知意匠2】(別紙第3参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1406192号の意匠
(意匠に係る物品:流し台用カウンター)

【公知意匠3】(別紙第4参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1314486号の意匠
(意匠に係る物品:取付用洗面器) 」

第3 請求人の主張の要点
これに対し,請求人は,審判を請求し,要旨以下のとおり主張した。

審査官は,平成26年7月1日付けで発送した拒絶査定において,「本願意匠のように段差部がアールを介してバックガードに結合した態様は,本願の出願前に,例えば,意匠登録第1406192号の意匠(拒絶理由に示した公知意匠2)に見られるように,公然知られていることから,本願意匠のこの点に格別の創意を認めることができません。」と付記している。
そこで,公知意匠2の具体的な態様について見ると,天板部と流しのデッキ間の直線状の段差部が,大きなアールを介してバックガードと平行に伸びており,本願意匠のように,天板部と流しのデッキ間の直線状の段差部が大きなアールを介して直接バックガードに結合している(バックガードと平行に伸びる段差部が存在しない)ものではない。このことは,公知意匠2の斜視図等に示される図面から明らかである。
そして,段差部とバックガードとの取り合いを,本願意匠に示すように,天板部と流しのデッキ間の直線状の段差部が,大きなアールを介して直接バックガードに結合している態様とした場合には,公知意匠2に示す,天板部と流しのデッキ間の直線状の段差部が,大きなアールを介してバックガードと平行に伸びている場合に比べて,表面の凸凹領域が小さくなることから,バックガード近傍の表面の汚れ等をふき取り易いという外観形状に起因する効果をも奏し得るものである。
すなわち,公知意匠1,公知意匠2及び公知意匠3には,本願意匠の,天板部と流しのデッキ間の直線状の段差部が,大きなアールを介して直接バックガードに結合している態様は存在せず,このような態様は新規な態様であると考えられ,前述の外観に起因する効果も併せて考慮すると,本願意匠の態様は,当業者が容易になす変形の域を超えており,容易でない創作がなされたものというべきと思料する。
以上に示したように,本願意匠を意匠法第3条第2項の規定により意匠登録することができないものであるとした原査定は不当であり,本願意匠は登録されるべきものであると考える。

第4 当審の判断
以下,本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か,すなわち,本願意匠が,この意匠の属する分野における通常の知識を有する者が容易に創作することができたものであるか否かについて検討する。

1 本願意匠
本願意匠の意匠に係る物品は「流し台用カウンター」であり,本願実線部分は,平面から見て,右側に配されたシンク部内の左上に設けられた水平面部のほとんどを含み,その水平面部の左端に連なった天板の一部と,水平面部と天板の上端に連なった背面板の一部を含んでいるが,水平面部の右下隅に表された円形破線状部分は除かれている。本願実線部分の形態は,次のとおりである。
基本的構成態様として,以下の点が認められる。
(A)基本的構成態様について
本願実線部分は,平面から見て,横長矩形状であって,上端が背面板と接しており,左端寄りには略縦方向の段差部が設けられている。
また,具体的構成態様として,以下の点が認められる。
(B)段差部及びその周囲の構成態様について
段差部は,平面から見て,本願実線部分の天板と水平面部の横幅を約1:24に分割する位置にあり,上端寄りの形状がアール状に形成されて,段差部垂直面がそのまま背面板の前面に連続して滑らかな弧状面を形成している。
(C)背面板の構成態様について
本願実線部分の背面板は細幅帯状に表されており,水平面部からの高さは段差部垂直面の高さの約4倍である。
(D)水平面部の構成態様について
本願実線部分の水平面部は,平面から見て,縦横比が約1:3.5であり,左上部分がアール状に切り欠かれている。

2 創作非容易性の判断
流し台用カウンターの物品分野において,シンク部内の左上に設けられた水平面部と,その左方の天板の間に段差部を設けて,段差部の上端寄りの形状をアール状に形成して,段差部垂直面をそのまま背面板の前面に連続させて滑らかな弧状面として,(A)の基本的構成態様並びに(B)ないし(D)の構成態様を形成することは,公知意匠1ないし公知意匠3には見られない本願意匠独自の創作であるから,これらの公然知られた意匠の形態に基づいて当業者が容易に本願意匠の創作することができたということはできない。
具体的には,公知意匠3において,シンク部内の左上に設けられた水平面部とその左方の天板の間には段差部が設けられているものの,その段差部は,上端寄りの形状がアール状に形成されておらず,段差部垂直面と背面板の前面が直交するように配されている。したがって,本願意匠の段差部の形状が,公知意匠3の段差部の形状をほとんどそのまま表したものであるということはできない。
また,公知意匠2においては,シンク部内の左上に設けられた水平面部とその左方の天板の間の段差部について,その上端寄りの形状がアール状に形成されているものの,シンク部上端と背面板との間に余地部があるために,段差部垂直面が背面板の前面にそのまま連続した形状にはなっていない。したがって,本願意匠の段差部の形状が,公知意匠2により公然知られているということもできない。
そして,公知意匠1は,原審の拒絶の理由において,流し台用カウンターの物品分野において,全体を上面視横長長方形状とし,その左側にこんろ取付用の矩形状の開口部,中央に調理スペース,及び右側に流しを設けた意匠が本願の出願前に広く知られている例として挙げられたものであるが,本願意匠に見られる段差部の形状は表されておらず,公知意匠1によっても本願意匠の段差部の形状が公然知られているということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-02-26 
出願番号 意願2013-8838(D2013-8838) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (D5)
最終処分 成立 
前審関与審査官 上島 靖範 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 綿貫 浩一
小林 裕和
登録日 2015-05-01 
登録番号 意匠登録第1525369号(D1525369) 
代理人 藤井 兼太郎 
代理人 鎌田 健司 
代理人 前田 浩夫 
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