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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B1 |
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管理番号 | 1300581 |
審判番号 | 不服2014-12210 |
総通号数 | 186 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-06-25 |
確定日 | 2015-04-03 |
意匠に係る物品 | シャツ |
事件の表示 | 意願2013- 4808「シャツ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,部分意匠として意匠登録を受けようとする,本意匠を意願2013-4807号とする関連意匠の意匠登録出願としたもので,平成25年(2013年)3月5日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「シャツ」とし,その形態は,願書の記載及び願書添付の図面に記載されたとおりのもので,「実線であらわした部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由および引用意匠 原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は, 電気通信回線の種類 インターネット 掲載確認日(公知日) 2007年3月17日 受入日 特許庁意匠課受入2007年4月13日 掲載者 株式会社セシール 表題 「あったか長袖シャツ-カタログ通販のセシール(cecile)」 掲載ページのアドレス http://www.cecile.co.jp/Page/CmdtyInfo/GenreSearch/Detail.aspx?a=667&b=4437047&c=0&h=1095 に掲載されたアンダーシャツの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ18024683号)における, 本願の意匠登録を受けようとする部分である本願実線部分に対応する部分(以下,この部分を「引用対応部分」という。)であって,その形態は,同ページに掲載された写真に現されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「シャツ」で,引用意匠は,「アンダーシャツ」であるが,両意匠は,いずれも肌着等として用いられるシャツであり,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 (2)用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲 本願実線部分と引用対応部分(以下,「両部分」という。)は,ともにシャツの左右一対の袖部と,左右の肩の合わせ部(以下,「肩部」という。)及び,身頃と袖部を繋ぐ部分である左右一対の袖ぐり部(以下,「袖ぐり部」という。)に係るものであり,引用対応部分も同様であるから,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。 (3)形態 両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。 なお,両部分を同じ方向から対比するため,引用意匠を本願意匠の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定・対比する。 (3-1)共通点 全体を,左右の袖部,肩部,袖ぐり部で構成し,袖部は筒状の長袖部であって,肩部から袖ぐり部にかけての身頃の袖周囲との接続部である合わせ目と,袖自体の接続部である袖の合わせ目に縫い目が表れていない点において主に共通する。 (3-2)差異点 (ア)身頃の正面側と背面側の襟周囲について,本願実線部分は,襟周囲が切り離し状であるのに対して,引用対応部分は,襟周囲にはステッチと縁飾りが認められ,背面側の襟周囲は視認できない点, (イ)袖口について,本願実線部分は,袖口端部が切り離し状であるのに対して,引用対応部分は,袖口周囲にはステッチが認められる点, (ウ)袖ぐり部周囲について,本願実線部分は,身頃が内側で袖部が外側になって重なった状態で,仔細に見れば袖の肩部寄りの生地端部が外側から視認できるのに対して,引用対応部分は,袖の肩部寄りの生地端部が外側からは視認できない点, (エ)肩部の合わせ目について,本願実線部分は,正面側寄りの位置で重なった状態で形成されており,仔細に見れば後身頃の肩部側の生地端部が外側から視認できるのに対して,引用対応部分は,肩部の合わせ目が視認できない点, (オ)袖部の合わせ目について,本願実線部分は,袖部の合わせ目が袖の上側の位置で重なった状態で形成されており,仔細に見れば袖の合わせ目の生地端部が視認できるのに対して,引用意匠は,袖の合わせ目が外側からは視認できない点, において主な差異が認められる。 4.類否判断 (1)両意匠の意匠に係る物品及び両部分の意匠の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。 (2)両部分の形態について 共通点全体として両部分の意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両部分の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両部分の類否判断を決定付けるものである。 (2-1)共通点 そこで検討するに,共通点については,全体の基本構成であるが,全体を,左右の袖部,肩部及び袖ぐり部で構成し,袖部は筒状の長袖部であって,肩部から袖ぐり部にかけての身頃の袖周囲との接続部である合わせ目と,袖自体の接続部である袖の合わせ目に縫い目が表れていないものとした態様は,この種の物品分野においては他にも多数見られるありふれた態様といえるもので,特徴のないもので,両部分のみに共通する態様とはいえず,両部分の類否判断に及ぼす影響は微弱なものに過ぎないものである。 そうして,共通点全体として両部分の意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両部分の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 (2-2)差異点 これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両部分の類否判断を決定付けるものである。 すなわち,差異点(ア)について,襟周囲の態様については,需要者が使用する際には,実際に肌に触れる需要者の注意を惹く部分に係るもので,切り離し状のものも,ステッチや縁飾りを有するものも,いずれも本願の出願前から既に見られる態様ではあるが,切り離し状の本願実線部分と,ステッチと縁飾りを有する引用対応部分とでは,外側から見た需要者に与える印象を異ならせるものであり,その差異は,両部分の類否判断に影響を与えるものといえる。 次に,差異点(イ)についても,袖口の態様の差異について,袖口は着用時にも手の近くにあって目に付く部分であり,差異点(ア)と同様に,実際に肌に触れる部分に係るもので,使用時に見る者の注意を惹く部分といえるもので,切り離し状か否かは外側から見た印象も明らかに異なるものであるから,差異点(ア)と相俟って需要者に与える印象を異ならせるものであり,その差異は,両部分の類否判断に影響を与えるものといえる。 また,差異点(ウ)についても,袖ぐり部周囲について,一見するとステッチがないことで共通しているように見えなくもないが,身頃が内側で袖部が外側になって重なった状態で,袖の肩部寄りの生地端部が外側から視認できる本願実線部分の意匠の態様は,この種のシャツの分野において,他にはあまり見られない態様であり,使用時に需要者が注意を払う部位に係るものでもあるため,両部分に異なる印象を与えるものであり,その差異は,両部分の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。 そして,差異点(エ)及び差異点(オ)についても,肩部や袖の合わせ目について,合わせ目の態様については,使用時に需要者が大きな関心を持つ部位に係るもので,この種のシャツの購買者は,合わせ目の強さや肌触りに強い関心を寄せていることも考慮すれば,両部分の差異は,需要者に別異な印象を与えるものであり,両部分の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。 (3)小括 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が共通するものであるが,両部分の形態において,差異点が共通点を凌駕し,それらが両部分の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-03-23 |
出願番号 | 意願2013-4808(D2013-4808) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 市村 節子 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
斉藤 孝恵 江塚 尚弘 |
登録日 | 2015-05-01 |
登録番号 | 意匠登録第1525841号(D1525841) |
代理人 | 藤本 昇 |
代理人 | 野村 慎一 |