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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 F5 |
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管理番号 | 1300584 |
審判番号 | 不服2014-21910 |
総通号数 | 186 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-10-29 |
確定日 | 2015-03-31 |
意匠に係る物品 | 機械式駐車場用情報表示器 |
事件の表示 | 意願2013- 29896「機械式駐車場用情報表示器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)12月19日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「機械式駐車場用情報表示器」とし,その物品に表示される画像について意匠登録を受けようとするものであって,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとするものであり,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界を示す線である。」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。)。(別紙第1参照) すなわち,本願意匠部分を含む全体は,略横長長方形板状体の「機械式駐車場用情報表示器」であり,その正面の横長長方形表示画面(以下,単に「表示画面」という。)には,機械式駐車場用情報表示器の有する情報表示機能を果たすために必要な表示が上中下の3段に表されるもので,上段には,表示画面の上方位置に,現在入庫又は出庫している車両の利用者の識別番号の表示部(実線で「0055」という数字が表された領域。以下,「現在進行中車両表示部」という。)及びその進行状態を示すステータスバー部を左右横並びに配置し,中段には,表示画面の上下中央位置に,上記現在進行中車両表示部と左端位置を概ね揃えて,案内事項の表示部(破線で「しばらくおまちください」という文字が表された領域。以下「案内事項表示部」という。)を左右中央揃えに配置し,下段には,表示画面の左端寄り下方から,「次」を表す表示部(実線で「NEXT」という文字が表された領域。以下「NEXT表示部」という。)及び現在入庫又は出庫している車両の次以降に入庫又は出庫が行われる予定の車両の利用者の識別番号の表示部(実線で「0268」,破線で「0530」という数字が表された領域。以下,「待機車両表示部」という。)を左右横並びで配置した態様である。 そして,本願意匠部分は,そのうちの現在進行中車両表示部,ステータスバー部,案内事項表示部,NEXT表示部及び待機車両表示部を含む一点鎖線で囲まれた横長長方形の領域(破線で表された案内事項表示部及び破線で「0530」という数字が表された領域の待機車両表示部は除く。)で,表示画面の周縁を除く画面の大半を占める部分である。 本願意匠部分の態様は, (A)全体を,表示画面の上方に,上段の現在進行中車両表示部及び右のステータスバー部の区画領域を最も大きくして,表示画面の横幅を約左2:右3の比で分割する位置に,両者の上下中央を揃えて配置し,表示画面の下方に,下段のNEXT表示部と待機車両表示部の区画領域を,それぞれ現在進行中車両表示部より一回り小さくして,各区画領域間に間隔をおいて表示画面の横幅を略4等分する領域内に画面の左寄せの位置から順に配置した態様とし, 各部の具体的態様を (B)現在進行中車両表示部は,略横長長方形状の区画領域であって,横の長さを表示画面の横幅の4分の1強,縦の長さを表示画面の縦幅の約6分の1とし, (C)ステータスバー部は,横長細帯形状枠であって,横の長さを表示画面の横幅の約2分の1,その幅を表示画面の縦幅の約20分の1とし,その左側を暗調子部とするもので,この暗調子部は現在入庫又は出庫している車両の入出庫の進行状況に応じて,その横の長さが漸次増加(伸長)するものとし, (D)NEXT表示部及び待機車両表示部は,略横長長方形状の区画領域であって,横の長さを,NEXT表示部は表示画面の横幅の約5分の1,待機車両表示部は同約6分の1,縦の長さをいずれも表示画面の縦幅の約10分の1としたものである。 なお,正面図に実線及び破線で表された文字,数字そのものは,いずれも専ら情報伝達のために使用されるものであって,意匠法上の意匠を構成するものではない。 第2 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,本願意匠の意匠に係る物品は「機械式駐車場用情報表示器」であり,意匠登録を受けようとする部分は,表示画像の大半を占める横長矩形状部分であって,その形態は,上段の左寄りに数字を横に複数個並べ,その右方に帯状のステータスバーを水平に配し,その下方に大きく間隔を開け,下段の左端寄りに上段より小さなアルファベットと数字を横にそれぞれ複数個ずつ並べたものと認められるが,本願意匠が属する物品分野に限らず,広く画像を利用する物品分野において,画像部分に種々の文字を段分けして複数個並べて表すことや,文字を適宜の大きさで表すことは,本願出願前からごく普通に行われている手法であり,また,上段の右方に表されたステータスバーも,本願出願前から用いられているごくありふれた態様のものに過ぎず(例をあげるまでもないが,下記引用意匠参照下。),本願意匠は,上下の2段に分けて,アルファベットと数字を読むための普通の態様でそれぞれ横に複数個並べ,上段の数字列の右方に,これと関連づけるようにありふれたステータスバーを配したに過ぎないので,この程度では当業者であれば容易に創作出来たものと認められる,というものである。 【引用意匠】 (別紙第2参照) 特許庁意匠課が2005年 5月27日に受け入れた『振動・音響コンパレータ VC-2100/3100シリーズ CF-4200Aシリーズ』第1頁所載,振動コンパレータの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HC17009137号) 第3 当審の判断 請求人の主張を踏まえ,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり意匠の創作容易性について,本願意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様について,それらの基礎となる構成,具体的態様などが本願出願前に公知又は周知であったか,それらの構成要素を,ほとんどそのままか,あるいは,当該分野においてよく見られるところの多少の改変を加えた程度で,周知の創作手法であるところの単なる組合せ,構成要素の全部又は一部の単なる置換えなどがされたに過ぎないものであるか否かを検討する。 本願意匠部分の(A)の,全体を,表示画面の上方に,上段の現在進行中車両表示部及び右のステータスバー部の区画領域を最も大きくして,表示画面の横幅を約左2:右3の比で分割する位置に,両者の上下中央を揃えて配置し,表示画面の下方に,下段のNEXT表示部と待機車両表示部の区画領域を,それぞれ現在進行中車両表示部より一回り小さくして,各区画領域間に間隔をおいて表示画面の横幅を略4等分する領域内に画面の左寄せの位置から順に配置した態様についてみると,この種表示器の分野において,異なる表示内容を持つ表示区画領域の大きさを,目立たせたいものを最も大きい区画領域とし,それ以外は順に小さい区画領域とすること自体は,ごく普通の手法であり,また,文字表示の際の表示区画レイアウトとして,文字表示区画領域を画面の中央揃え(センタリング),左寄せ,右寄せなどとしてレイアウトすることも,ごくありふれた配置方法である。しかしながら,本願意匠における,現在進行中車両表示部と進行状況を示すステータスバー部を対にして,表示画面の上方の表示画面の横幅を約左2:右3の比で分割する位置に,両者の上下中央を揃えて最大区画領域とした態様,NEXT表示部と待機車両表示部の区画領域を,表示画面の下方に,現在進行中車両表示部の区画領域より一回り小さくして,各区画領域間に間隔をおいて表示画面の横幅を略4等分する領域内に画面の左寄せの位置から順に配置した態様は,本願意匠のみに見られる特徴的な着想によるものと言うべきであり,本願意匠部分の(A)の態様を,容易に想起することはできない。 本願意匠部分の(B)の現在進行中車両表示部は,略横長長方形状の区画領域であって,横の長さは表示画面の横幅の4分の1強,縦の長さを表示画面の縦幅の約6分の1としたものであるが,この種の表示部を略横長長方形状の区画領域とすること自体はごく普通であり,その長方形状の区画の縦横比を変更することもごくありふれた手法であるから,本願意匠部分の(B)の態様は,容易に想起しうる。 本願意匠部分の(C)のステータスバー部は,横長細帯形状枠であって,横の長さは表示画面の横幅の約2分の1,縦の長さは表示画面の縦幅の約20分の1で,その左側を暗調子部とするもので,この暗調子部は表示対象となるものの進捗の状況(現在入庫又は出庫している車両の入出庫の進行状況)に応じて,その横の長さが漸次増加(伸長)する態様のものであるが,その枠形状を細帯形状とすることはごくありふれたことであり,その帯形状枠の縦横比を変更することもごくありふれた手法であり,また,この枠内の一端(左端)から他端(右端)に向けて暗調子部を表示対象の進捗の状況に応じて漸次増加する態様も,この種物品に限らず,本願出願前より広く知られた態様であるから,本願意匠部分の(C)の態様は,容易に想起しうる。 なお,原審がありふれた態様のステータスバーとして例示した引用意匠には,横長細帯形状枠の左側を暗調子部とした態様が表されているが,引用意匠に係る物品は「振動コンパレータ」であり,該部は,絶えず増減変化する振動値や振動状態を表示するための棒グラフであって,暗調子部の長さが測定されるものに応じて変わるものの,本願意匠の暗調子部のように,現在進行中車両の入出庫の進行状況にしたがって漸次増加(伸長)し,入出庫が完了すると暗調子部が一旦無くなり,また次の入出庫が開始すると暗調子部が徐々に増加するという変化の態様のものではないから,引用意匠は,本願意匠におけるステータスバーの態様がありふれたものであるという例としては必ずしも妥当なものとは言えない。 本願意匠部分の(D)のNEXT表示部及び待機車両表示部は,それぞれ略横長長方形状の区画領域であって,横の長さを,NEXT表示部が表示画面の横幅の約5分の1,待機車両表示部は同約6分の1,縦の長さをいずれも表示画面の縦幅の約10分の1としたものであるが,この種の表示部を略横長長方形状の区画領域とすること自体はごく普通であり,その長方形状の区画の縦横比を変更することもごくありふれた手法であるから,本願意匠部分の(D)の態様は,容易に想起しうる。 以上のとおり,本願意匠部分の各部の具体的態様に係る(B)ないし(D)の態様は,容易に想起しうるものの,本願意匠部分の全体の構成に係る(A)の態様は,存在する公知の態様に多少の改変を加えた程度のものであるとまでは言えず,(A)ないし(D)からなる本願意匠部分の態様は,全体として,本願意匠の特徴的な着想によるものと言うべきであるから,本願意匠について,当業者であれば容易に創作することができたと言うことはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができた意匠に該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-03-13 |
出願番号 | 意願2013-29896(D2013-29896) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(F5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木本 直美 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 清野 貴雄 |
登録日 | 2015-05-01 |
登録番号 | 意匠登録第1525449号(D1525449) |
代理人 | 上田 邦生 |
代理人 | 藤田 考晴 |