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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1300592 |
審判番号 | 不服2014-22053 |
総通号数 | 186 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-10-30 |
確定日 | 2015-04-23 |
意匠に係る物品 | トラクター |
事件の表示 | 意願2013- 17131「トラクター」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成25年(2013年)7月26日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した写真によれば,意匠に係る物品を「トラクター」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した写真に現されたとおりとしたものであり,「各参考図以外の各図において,黄土色で着色した部分及び通気孔を通して見える内部構成部分以外が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成18年(2006年)4月4日)に記載された,意匠登録第1266894号(意匠に係る物品,農業用トラクタのエンジンボンネット)の意匠に現された部分意匠の態様(以下,本願部分に相当する引用意匠の部分を「引用部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,トラクターであり,引用意匠の意匠に係る物品は,農業用トラクターの部品であるエンジンボンネットであるから,本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は共通するものではない。 2.本願部分と引用部分の対比 (1)用途及び機能 本願部分と引用部分(以下,「両意匠部分」という。)は,いずれもトラクターのエンジンボンネットに設けられた,無数の微小な通気孔を備えた空気流入用フロントメッシュグリル(両意匠部分において黒色に着色された部分。以下,「メッシュグリル」という。)及びその周囲の部分であるから,両意匠部分の用途及び機能については共通する。 (2)位置,大きさ及び範囲 両意匠部分は,いずれもトラクターのエンジンボンネット前面部から側面部前方寄りにかけて配設されたメッシュグリルの部分,及び,このメッシュグリルの側面側左右辺の上から略1/3の位置から前面側下辺部までの縁部分と接する,エンジンボンネットのエッジライン(以下,「メッシュグリル側エッジライン」という。)の部分である点は一致するものの,本願部分のみメッシュグリル側エッジラインから分離し,エンジンボンネット左右側面部のライン上にまで形成されたエッジライン(以下,「ボンネット側エッジライン」という。)の部分も部分意匠に含むものであるため,両意匠部分の位置については共通するものの,その大きさ及び範囲については共通するものではない。 (3)具体的形態 両意匠部分の形態について対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 まず,共通点として,両意匠部分全体は,無数の微小な通気孔を備えた,上方左右端部に略三角形状の突起部を有する正面視略横長隅丸長方形状の空気流入用のメッシュグリルを,ボンネット前面部から左右側面部前方側に回り込む態様で配設したものであって,このメッシュグリル上方寄りの前面から側面に至るコーナーの部分に,正面視変形隅丸台形状のヘッドランプを左右一対設け,フロントグリル側面部の縁部分を,下から後方に向かって斜めに立ち上がり,そのほぼ中間部で略クランク状に折曲し(以下,「略クランク状折曲部」という。),再び後方に向かって斜めに立ち上がる態様としている点が認められる。 他方,相違点として,(ア)エッジラインの態様について,本願部分は,メッシュグリルの前面側下辺部からエンジンボンネット左右側面下方部に連続して形成された,後方に向かってやや上向きの僅かな段差部に,左右先端部が尖った形状のエッジラインを形成し,メッシュグリルの左右側面側下端部から略クランク状折曲部をとおり,エンジンボンネットの左右側面部中央部分に形成された後方に向かってやや上向きのキャラクターライン上に,先端部が尖った形状のエッジラインを形成しているのに対して,引用部分は,メッシュグリル周囲のフロントグリル側エッジラインのみでエッジラインを構成している点,(イ)フロントグリル側面縁部の態様について,本願部分は,下から斜め後方に立ち上がる部分と,略クランク状折曲部で後方に折れ曲がる部分のなす角度が約130°であり,折れ曲がった後の部分が横幅の狭い略台形状であるのに対して,引用部分は,同角度が約160°であり,折れ曲がった後の部分が横幅の広い略五角形状である点,が認められる。 3.両意匠部分の形態の評価 共通点の態様は,この種物品分野において,本願意匠の出願前に既に存在するものであるので,この共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱なものであって,全体として見ても,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対し,相違点(ア)エッジラインの態様について,及び(イ)フロントグリル側面縁部の態様については,いずれも非常に目に付き易い部位に係るものであるから,これらの相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響はそれぞれあるという他ない。とりわけ,相違点(ア)エッジラインの態様については,本願部分にのみ特徴的なボンネット側エッジラインが存在し,それらが全く見られない引用部分の態様とは異なる印象を与えるものであるから,この相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は非常に大きいものであり,この相違点のみによっても両意匠部分の類似判断を左右する程のものと言える。 4.両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品について,そもそも共通するものではなく,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。 参考までに,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲について検討しても,用途及び機能並びに位置については共通するものの,大きさ及び範囲については共通するものではなく,上記の通り両意匠部分の形態については,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,両意匠部分を全体として見た場合,上記共通点の影響を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものである。 したがって,この点からも本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-04-13 |
出願番号 | 意願2013-17131(D2013-17131) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 温品 博康、市村 節子 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2015-05-15 |
登録番号 | 意匠登録第1526509号(D1526509) |
代理人 | 特許業務法人R&C |