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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1301622 |
審判番号 | 不服2014-24254 |
総通号数 | 187 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-11-28 |
確定日 | 2015-06-08 |
意匠に係る物品 | 自転車 |
事件の表示 | 意願2013- 26214「自転車」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成25年(2013年)10月22日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自転車」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,特許庁意匠課が,平成15年(2003年)1月31日に受け入れた,外国カタログ「MIRACLE」第8頁所載の「自転車」(特許庁意匠課公知資料番号第HD14033335号)の意匠であって,その形態は,同カタログに掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠との対比 本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも「自転車」であるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。 次に,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 なお,両意匠の対比にあたっては,引用意匠も本願意匠の図面の向きに合わせることとし,自転車の車体前方を前側又は前方側(本願意匠の図面では,「右側面図」として表れる。),自転車の車体後方を後ろ側又は後方側(本願意匠の図面では,「左側面図」として表れる。)として記載する。 まず,共通点として, (A)全体は,シティ車タイプの自転車であって,ヘッドチューブ,ダウンチューブ,シートチューブ,シートステー及びチェーンステーからなるフレーム(以下,「フレーム部」という。)を骨格として,このヘッドチューブに,上端部にグリップ部分が後方側に大きく折曲したハンドル(以下,「ハンドル部」という。)を,下端部に前輪を保持するフロントフォークを取り付けたステム(以下,「ステム部」という。)を挿着し,シートチューブの上端部に,サドルを設けたシートポストを嵌挿し,チェーンステー,チェーン,チェーンリング及びスプロケットを覆うチェーンケース(以下,「チェーンケース部」という。)を設け,チェーンステーの後方側端部に,ロードエンド(以下,「ロードエンド部」という。)を形成して後輪を取付け,前後の車輪を覆うように泥除け(以下,「泥除け部」という。)を設け,前輪上方にフロントバスケット(以下,「フロントバスケット部」という。),後輪上方にリアキャリア(以下,「リアキャリア部」という。),ロードエンド部の後輪ハブ両端部のボルト部分に両足スタンドを配設した構成としている点, (B)フレーム部は,ダウンチューブ下方部分とシートチューブ下方部分の向き合う部分に略水平に補強ブリッジ(以下,「補強ブリッジ部」という。)を横設した正面視略逆A字状のフレームのシートチューブ後方側に,シートステー及びチェーンステーを正面視略三角形状となるよう接合した形状としている点, (C)チェーンケース部は,チェーン,チェーンリング及びスプロケットを一体でカバーする全ケースとし,チェーンケース後半中央部分からチェーンステー後方部分を斜めに突き出して形成している点, (D)泥除け部は,前輪については,車輪外周の約3/10を覆い,後輪については,車輪外周の約1/2を覆っている点, が認められる。 他方,相違点として, (ア)ダウンチューブの態様について,本願意匠は,その断面形状を略長円形状とするほぼ均一な幅の直線状棒状体であるのに対して,引用意匠は,その前方端部の断面形状を略楕円形状とし,棒状体中央部分が前端部及び後端部より僅かに下方に膨出している湾曲した形態の棒状体である点, (イ)シートステーの態様について,本願意匠は,ほぼ均一な幅の直線状棒状体であるのに対して,引用意匠は,僅かに上方に膨出している湾曲した形態の棒状体である点, (ウ)チェーンケース部の態様について,本願意匠は,正面視において,前端部上端角部を突出させ,後端部を略半円形状とした略「へら」状に形成しているのに対して,引用意匠は,前端部を後端部よりやや大きな略半円形状とし,後端部を略半円形状とした略長円形状に形成している点, (エ)ドレスガード部の有無について,本願意匠には,ドレスガード部を設けていないのに対して,引用意匠は,略L字状の複数のワイヤーからなるドレスガード部を後輪左右側面の前方側上端部付近に配設している点, (オ)リアキャリアステー及び泥除けステーの取り付け態様について,本願意匠は,シートステー下方部分に,リアキャリアステー及び泥除けステーの下端部を取り付けているのに対して,引用意匠は,後輪ハブ両端部のボルト部分に同端部を取り付けている点, (カ)フロントバスケット部の態様について,本願意匠は,正面視における縦横の幅の比を,約1:1.7とする,ワイヤフレームで構成された浅めの籠であるのに対して,引用意匠は,縦横の幅の比を,約1.2:1とする,メッシュで構成された深めの籠である点, (キ)ステム部及びハンドル部の態様について,本願意匠は,ステムの突き出しが長く,ハンドルバーがステムから僅かにアップしたいわゆるライズが小さい,左側面視略弓形状のセミアップハンドルとしているのに対して,引用意匠は,ステムの突き出しが短く,ライズが非常に大きい,左側面視略U字状のアップハンドルとしている点, (ク)前照灯の態様について,本願意匠は,チェーンステーより上方にフロントバスケット部底面前方側中央部分に右側面視略横長長方形状のライトを配設しているのに対して,引用意匠は,右側のフロントバスケットステーに右側面視略円形状のライトを配設している点, (ケ)テールリフレクターの態様について,本願意匠は,左側面視略長円形状の薄い板体が泥よけに取り付けられているのに対して,引用意匠は,正面視三角形状の立体が泥よけから突出して取り付けられている点, が認められる。 2.両意匠の形態の評価 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。 まず,共通点(A)の全体の形態は,シティ車タイプの自転車の意匠の骨格的な構成態様にあたるものであり,また,共通点(B)ないし(D)の各部の形態も本願意匠の出願前に既に極普通に見られるものでもあるので,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,これらの共通点全体として見たとしても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対し,相違点(ア)ないし(カ)については,車体を側面側から見た場合に,いずれも非常に目に付き易い部位に係るものであるから,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響はそれぞれあるという他ない。とりわけ,相違点(ア)及び相違点(イ)におけるフレームの構成については,いずれも直線状の棒状体で構成した,断面形状が略長円形状のダウンチューブ及び断面形状が略円形状のシートステーを,平行となるよう斜めに配置したJIS規格H形フレームの本願意匠の形態と,いずれも僅かに湾曲した棒状体で構成した,断面形状が略楕円形状のダウンチューブ及び断面形状が略円形状のシートステーを,正面視逆「い」の字状に配置したJIS規格L形フレームの引用意匠のものとは,補強ブリッジ部を設けた点が共通するとしても看者に全く別異の印象を与えるものであるから,この相違点(ア)及び相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は特に大きい。 次に,相違点(キ)のステム部及びハンドル部の態様については,自転車の操舵に係る部分であって,使用時に需要者が注目する部分でもあるから,上体を起こしたごく自然の乗車ポジションが得られるセミアップハンドルを採用した本願意匠の形態と,ペダリングに力が入りにくいがゆったりと乗れる少し反り気味の乗車ポジションとなるアップハンドルを採用した引用意匠のものとは,看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(キ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きい。 また,相違点(ク)及び相違点(ケ)の各相違点については,前照灯及びテールリフレクターといったパーツの具体的態様に係る小さな部分における相違ではあるが,左右側面視においては目立つものであるので,これらの相違点が両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼすものである。 そして,これらの相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。 3.両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については一致するものの,形態においては,各共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,各相違点が類否判断に及ぼす影響はそれぞれ大きく,これらの相違点が相まって生じる視覚的効果は,各共通点が相まったことによるものを凌駕して,意匠全体として見た場合,両意匠は視覚的印象を異にするものであるから,本願意匠が,引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-05-25 |
出願番号 | 意願2013-26214(D2013-26214) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 前畑 さおり |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 久保田 大輔 |
登録日 | 2015-06-19 |
登録番号 | 意匠登録第1529277号(D1529277) |
代理人 | 野間 悠 |
代理人 | 布施 哲也 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |