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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 M1
管理番号 1301624 
審判番号 不服2014-23935
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-25 
確定日 2015-06-02 
意匠に係る物品 不織布地 
事件の表示 意願2013- 1257「不織布地」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成25年(2013年)1月24日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真によれば,意匠に係る物品は,「不織布地」であり,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりのものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由と引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,本願意匠に対して示した理由と引用意匠は,以下のとおりである。
この種不織布地において,傾き方向の異なる斜め縞模様の区画を,該区画よりやや狭い幅の異なる模様の区画を挟んで対称となるように交互に形成して,全体を略縞状の模様に形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠1】。
同様に,斜め縞を基調とした杉綾模様の間に細かい縦縞模様を有する区画を形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠2】
本願意匠は,その出願前公然知られた【意匠1】の意匠に基づき,当業者にとってありふれた手法を用いて,斜め縞模様の間を,【意匠2】の意匠のように細かい縦縞模様を有する区画としたまでのものにすぎませんから,容易に意匠の創作をすることができたものと認められます。
なお,全体の縞状の模様を構成する区画の幅を同一幅ではなく,広狭交互に形成することは,【意匠1】にも見受けられるように,この種物品においては,普通に見受けられるものですから,この点についても格別の意匠の創作があったものとは認められません。

【意匠1】
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1335211号の意匠
(意匠に係る物品:不織布地) (別紙第2参照)

【意匠2】
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1330875号の意匠
(意匠に係る物品:不織布地) (別紙第3参照)

第3 請求人の主張の要点
これに対し,請求人は,審判を請求し,要旨以下のとおり主張した。

1.本願意匠と引用意匠との対比(本願意匠の創作性)
本願意匠と引用意匠1,2とを対比すると,異なる模様からなる区画を交互に配置した縞模様であるという基本的態様においてこれらは共通しているが,具体的態様においては明らかな相違点がある。
(a)原審(拒絶査定)において,「本願意匠は,その出願前公然知られた【意匠1】の意匠に基づいて,斜め縞模様の間の区画に,当業者にとってありふれた手法を用いて【意匠2】のように細かい縞模様を形成したまでのものに過ぎませんから,未だ容易に創作をすることができたものと認められます」と記述されている。
(b)しかしながら,引用意匠1,2はいずれも巾寸法の比がほぼ1対1.2であることを開示しているにすぎない。このため,仮に,当業者が,引用意匠1の斜め縞模様の区画と,引用意匠2の細かい連続する縦縞模様の区画とをありふれた手法を用いて組み合わせたとしても,縦縞模様の区画と斜め模様の区画とを,巾寸法の比率がほぼ1対1.2の割合で配置した縞模様を有する不織布地が得られるだけである。
(c)また,引用意匠1,2はいずれも全体が目の粗い生地であるので,引用意匠1,2をありふれた手法で組み合わせたとしても,向こう側が透けて見えやすい不織布地が得られるだけであり,本願意匠のように目の詰まった不織布地は得られない。特に,引用意匠2の細かい連続する縦縞模様は本願意匠のように断続する模様ではなく,向こう側が透けて見えやすい。このため,引用意匠1,2を組み合わせたとしても,不織布全体が目の粗い生地であり,斜め縞模様の間の区画においても細かい連続する縦縞模様の区画を有する不織布が得られるだけである。
(d)本願意匠は,不織布全体をより透けにくいものとするため,本願意匠が有する2つの模様の区画のうち,より目の詰まった略無地の区画が斜め縞模様の区画の約2倍の巾寸法を有している。それに加えて,本願意匠は,不織布全体を目の詰まった不織布とし,特に斜め縞模様の区画の間を,断続的な細かい縦縞模様という,より無地に近い模様の区画とするように設計したものである。
これに対し,引用意匠1,2を当業者がありふれた手法で組み合わせたとしても,細かい連続する縦縞模様の区画と傾き方向の異なる斜め縞模様の区画とを交互に配置し,縦縞模様の区画と斜め縞模様の区画との巾寸法がほぼ1対1.2であり,不織布全体において向こう側が透けて見える不織布地が得られるだけである。

2.結論
以上の説明から明らかなように,不織布地の具体的形態において,特に,本願意匠の略無地の区画と引用意匠2の縦縞模様の区画との形態の差異,本願意匠の略無地の区画と斜め縞模様の区画との巾寸法の比率における差異,および,全体が目の詰まった不織布地であるか否かの差異がある。これらの複数の差異は,求める機能を考慮して創作したものであり,当業者がありふれた手法で容易に創作できるものではない。
したがって,本願意匠は,引用意匠1,2に基づいて当業者が容易に創作できたものでないと思料する。

第4 当審の判断
請求人の主張を踏まえ,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,すなわち,本願意匠が容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

1.本願意匠及び引用意匠
まず,改めて,本願意匠並びに引用意匠1及び引用意匠2の,意匠に係る物品及び形態について認定する。
意匠に係る物品については,これらの意匠はいずれも「不織布地」であり,主として自動車用内装材,医療用貼付材の他、紙おむつ等の衛生用品の表面材やフェイスマスク、ウェットティッシュなどとして使用できるものであって,共通する。
次に形態については,これらの意匠はいずれも,異なる模様の帯状区画を交互に配置した縞模様のものであって(これは請求人も認めるところである。),四方に連続するものである。そして,その縞模様等の具体的な態様については,以下のとおりである。

(1) 本願意匠
その基本的構成態様は,傾き方向が相互に逆になる2つの斜め縞模様の帯状区画の間に,略無地(連続する微細な縞等がほとんど見られない)の帯状区画を配置した,3種の帯状区画からなる縞模様のものであって,その略無地の帯状区画と,2つの斜め縞模様の帯状区画との幅の比率は約2対1のものである。
そして,斜め縞模様及び略無地の帯状区画はいずれも比較的目が詰まっており,向こう側が透けて見えにくいものである。

(2)引用意匠
(a)引用意匠1
その基本的構成態様は,傾き方向が相互に逆になる2つの斜め縞模様の帯状区画の間に,略楕円形の網目模様の帯状区画を配置した,3種の帯状区画からなる縞模様のものであって,その網目模様の帯状区画と,2つの斜め縞模様の帯状区画との幅の比率は約1対1.2のものである。
そして,斜め縞模様及び網目模様の帯状区画はいずれも目が粗く,向こう側が透けて見えるものである。
(b)引用意匠2
その基本的態様は,細かい連続する縦縞(願書に添付された表面図に現れた縞の向きは「横縞」であるが、出願人・請求人はこの種物品の製造方法における方向性から「縦縞」と称している。以下、「縦縞」とする。)模様の区画と,杉綾模様の区画とを交互に配置した縞模様のものであって,その縦縞模様の帯状区画と杉綾模様の帯状区画との幅の比率は約1対1.2のものである。
そして,縦縞模様の区画及び杉綾模様の区画はいずれも目が粗く,向こう側が透けて見えるものである。

2.本願意匠の創作容易
本願意匠は,傾き方向が相互に逆になる2つの斜め縞模様の帯状区画の間に,それとは異なる帯状区画を配した構成において,引用意匠1と共通する。したがって,引用意匠1に基づいて,傾き方向が相互に逆になる2つの斜め縞模様の帯状区画の間に,無地の帯状区画を設けると,概略としては本願意匠と同様の構成になるといえる。しかしながら,帯状区画の幅の構成は,本願意匠のものは略無地の帯状区画を斜め縞模様の帯状区画の約2倍の太さにした2対1の構成のものであるのに対して,引用意匠1は逆に斜め縞模様の帯状区画の方がその他の模様の帯状区画よりも僅かに太いものであって,帯状区画の幅の広狭を変更することは,この種物品を含めた平面的な地物の分野においては難しいことではないが,その広狭のバランスも創作の一要素といえ,単純に容易に創作できるとは言えない。
次に,各帯状区画の具体的な態様については,引用意匠2の縦縞模様は,
細かいが連続する縦縞が明確に見える模様であって,本願意匠の連続する微細な縞等がほとんど見られない略無地の態様のものとは大きく異なる。
そして,本願意匠は,その略無地と斜め縞模様の帯状区画を問わず全体が目の詰まった,向こう側がほとんど見えないものである点で、引用意匠1及び引用意匠2とは大きく異なるものである。
そうすると,本願意匠は元となる意匠から大きくかけ離れているといわざるを得ないから、引用意匠1に基づいて引用意匠の2の要素を組み合わせて,それにありふれた手法で僅かな改変を施した程度のものということはできない。
したがって,本願意匠は,引用意匠1,引用意匠2に基づいて当業者が容易に創作できたものではないと判断する。

第5.むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときに該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-05-15 
出願番号 意願2013-1257(D2013-1257) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (M1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 木村 恭子内藤 弘樹 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 本多 誠一
渡邉 久美
登録日 2015-06-19 
登録番号 意匠登録第1529337号(D1529337) 
代理人 中嶋 隆宣 
代理人 鮫島 睦 
代理人 中嶋 隆宣 
代理人 田村 恭生 
代理人 田村 恭生 
代理人 鮫島 睦 
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