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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D3
管理番号 1302947 
審判番号 不服2014-17242
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-08-29 
確定日 2015-06-18 
意匠に係る物品 照明器具 
事件の表示 意願2013- 16076「照明器具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成25年(2013年)7月13日の意匠登録出願であり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「照明器具」とし,形態を,願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第2 当審の拒絶の理由及び引用意匠
当審における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,同条同項の規定により意匠登録を受けることができない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は,下記の意匠である。

引用意匠(別紙2参照)
著者の氏名 株式会社 ダーレン・ジャパン
資料名 DA-C059LDの仕様図
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 平成25年 6月12日
検索日 [平成27年 2月23日検索]
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス URL: http://www.dalen.jp/
download/dl.php?file=./DA-C0/DA-
C059LD.pdf
(なお,このPDFデータのURLは,下記の株式会社 ダーレン・
ジャパンのウェブページ第2頁下の仕様図[PDF]からアクセス
可能です。)
に掲載された,照明器具の意匠(型番:「DA-C059LD」)

○株式会社 ダーレン・ジャパンのウェブページ(別紙第3参照)
表題「LEDシーリングライト エルランテ ラウンドタイプ DA-
C059LD | ダーレン」
URL: http://www.dalen.jp/product_
detail/DA-C059LD.html

なお,上記引用意匠の掲載年月日(公知日)は,米国の第三者機関であるInternet Archiveが運営するWayback Machineにより,以下のURLで記録,提供されている情報に基づくものです。
URL: https://web.archive.org/web/20130101000000*/http://www.dalen.jp/product_detail/DA-C059LD.html(別紙第4参照)

第3 請求人の主張の要旨
請求人は,平成27年(2015年)4月6日に意見書を提出して,要旨以下のとおり主張し,併せて,同年4月9日の手続補足書により,第1号証を提出した。

1 両意匠の同一性
両意匠を対比すると,意匠に係る物品が共通し,形態についても共通しているので,本願意匠は,引用意匠と同一若しくは限りなく同一であると思料する。
その理由は,後述するように,引用意匠は,その公開時において意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して,公開意匠となったからである。

2 意に反する公知について
手続補足書にて提出する証明書(第1号証)により,本願意匠は,意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して公開意匠となったため,意匠法第4条第1項により,当該公開意匠を公知の意匠ではないものとみなされると思料する。
(1)公開時における公開意匠についての意匠登録を受ける権利を有する者
公開時における公開意匠が本願意匠と同一或いは限りなく同一であるのは,公開時における公開意匠についての意匠登録を受ける権利を有する者が本願意匠の意匠登録を受ける権利を有する者(創作者)の川本秀昭と一致するからである。川本秀昭は,意匠登録出願人である株式会社GPROの代表者である。
公開意匠の公開者である株式会社ダーレン・ジャパンは,意匠登録出願人の株式会社GPROの業務提携会社であり,日本国内における意匠登録出願人のLED照明器具の営業について全権を持って営業を行っている。
出願人が,本願意匠の意匠登録出願の準備をしている際に,事前の打ち合わせ資料にて公開者のみに開示し,公開者は,本願意匠と同一或いは限りなく同一である公開意匠の営業の準備を行った。
しかしながら,公開者は,営業の準備において,出願人と十分に連絡を取らず,出願人が本願意匠を意匠登録出願する準備をしていることを知らずに,事前の打ち合わせ資料に基づいて,先に,公開意匠をHPに掲載した。
したがって,公開時における公知意匠についての意匠登録を受ける権利を有する者は,本願意匠の意匠登録を受ける権利を有する者と一致する。
(2)公開時における公開意匠についての意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して公開された事実
上述のように,公開者は,出願人が本願意匠を意匠登録出願する準備をしていることを知らずに,事前の打ち合わせ資料に基づいて,先に,公開意匠をHPに掲載した。
一方,意匠登録を受ける権利を有する者は,公開者が公開意匠をHPに掲載して営業の準備をしていることを知らずに,本願意匠の意匠登録出願の準備をし,出願をした。
したがって,公開時における公知意匠についての意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して公開された。
(3)公開時における公開意匠についての意匠登録を受ける権利を有する者が,意匠登録出願をしていること
上述のように,意匠登録を受ける権利を有する者(創作者)の川本秀昭は,意匠登録出願をしている。
したがって,公開時における公開意匠についての意匠登録を受ける権利を有する者が,意匠登録出願をしている。
(4)当該意匠登録出願が,公開意匠が最初に公開された日から6か月以内に出願されていること
拒絶理由通知に記載の通り,掲載年月日は平成25年6月12日であり,当該意匠登録出願日は平成25年7月13日である。
したがって,当該意匠登録出願が,公開意匠が最初に公開された日から6か月以内に出願されている。
以上のように,本願意匠は,意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して公開意匠となったため,意匠法第4条第1項により,当該公開意匠を公知の意匠ではないものとみなされると思料する。

3 結語
以上の通り,拒絶理由は解消されるものと思料する。

第4 当審の判断
請求人の主張を踏まえ,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するか否か,すなわち,先行の公知意匠に類似するため,同条同項の規定により意匠登録を受けることができない意匠に該当するか否かについて検討し,併せて,意匠法第3条第1項第2号に該当するかについて検討する。

1 本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するかについて
(1)本願意匠と引用意匠の対比
ア 意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,屋内の天井に取り付けて使用される「照明器具」であり,引用意匠の意匠に係る物品も同様の「照明器具」であるから,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は同一である。
イ 両意匠の形態
両意匠の形態を対比すると,主として,以下の共通点と差異点が認められる。なお,本願意匠の各図の向きに合わせて,引用意匠の向きを認定する。
(ア)共通点
両意匠には,基本的構成態様として,以下の共通点が認められる。
(A)基本的構成態様について
全体が,基台部と透光性を有するグローブ部から成る略円盤形状であって,グローブ部は,正面下方に膨らむ緩やかな凸球面状であり,底面から見て,外形は略円形である。
また,具体的態様として,以下の共通点が認められる。
(B)グローブ部の構成態様について
正面から見て,グローブ部の径は下端から上方にいくにつれて径が緩やかに拡大する部分と,最大径箇所から径が縮小する部分から成り,前者と後者の高さの比が約7:2である。
(C)基台部の態様について
正面から見て,基台部は,高さの低い横長長方形状であり,基台部の中央上方に,基台部よりも横幅の小さい横長長方形状の突出部(以下「中央突出部」という。)が形成されている。
(イ)差異点
一方,両意匠には,具体的態様として,以下の差異点が認められる。
(a)中央突出部の形状について
正面から見て,本願意匠では,中央突出部の高さが基台部の高さの約2倍であり,中央突出部の横幅が基台部の横幅の約1/2弱であるのに対して,引用意匠では,中央突出部の高さが基台部の高さとほぼ同じであり,中央突出部の横幅が基台部の横幅の約1/3である。
(b)正面から見て,引用意匠には,基台部上面の左端寄り及び右端寄りにに,中央突出部と同じ高さでそれよりも横幅の小さい突出部(以下「端部寄り突出部」という。)が形成されているが,本願意匠には,そのような端部寄り突出部はない。
(2)両意匠の類否判断
ア 意匠に係る物品
前記認定したとおり,両意匠の意匠に係る物品は同一である。
イ 照明器具の物品分野の意匠の類否判断
屋内の天井に取り付けて使用される照明器具を看者が観察するに当たっては,主として底面及び底面斜め方向からその照明器具を眺めるので,看者は底面と側面の態様を特に観察することになる。したがって,屋内の天井に取り付けて使用される照明器具の意匠の類否判断においては,上記の項目を特に評価し,かつそれ以外の項目も併せて,各項目を総合して意匠全体として形態を評価する。
ウ 形態の共通点の評価
両意匠の形態の共通点(A)で指摘した基本的構成態様,具体的には,全体を基台部と透光性を有するグローブ部から成る略円盤形状とし,グローブ部を正面下方に膨らむ緩やかな凸球面状として,底面から見た外形が略円形である構成態様については,天井取り付け照明器具の物品分野の意匠において,本願の出願前に普通に見受けられることから,看者の注意を惹くものとはいえない。したがって,共通点(A)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
しかし,共通点(B)で指摘した,グローブ部の径が緩やかに拡大する部分と,最大径箇所から径が縮小する部分の高さの比を約7:2とした態様は,看者に共通の視覚的印象を与えるものであり,共通点(C)で指摘した,高さが低い横長長方形状である基台部の態様とあいまって,看者に対して視覚を通じてまとまった一つの美感を与えるものである。したがって,共通点(B)及び(C)は,看者の注意を惹くというべきであり,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものである。
このように,共通点(A)については両意匠の類否判断に及ぼす影響が小さいものの,両意匠の形態の共通点を総合すると,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいといえる。
エ 形態の差異点の評価
一方,前記認定した差異点(a)ないし(c)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,以下のとおり評価され,上記共通点が看者に与える美感を覆すほどのものではない。
まず,差異点(a)は,中央突出部の形状についての差異であって,両意匠を平面方向及び正面方向から比較した際に特に看取できるものであり,両意匠を天井に取り付けて全体的に眺めた時には,グローブ部の正面外周端部に隠れて目に付き難く,平面方向及び側面方向から見た基台部の態様についてはっきりと確認することは難しいので,意匠全体から見れば目立たない部位に関する,部分的な差異であるといえる。したがって,差異点(a)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
次に,差異点(b)は,端部寄り突出部の有無に関する差異であって,引用意匠に見られる端部寄り突出部は中央突出部よりも横幅が小さく,目立つものではないから,両意匠の共通点がもたらす視覚的印象を損ねる程のものとはいい難く,両意匠を意匠全体として見たときには,両意匠の美感を異にする程の差異であるとはいえない。また,本願意匠にはその端部寄り突出部が無く,むしろありふれた形状であることを踏まえると,差異点(b)を本願意匠の引用意匠に対する差異として殊更評価することはできない。したがって,差異点(b)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
最後に,差異点(a)及び(b)があいまって生じる視覚的効果を考慮したとしても,共通点が看者に与える美感を覆して,両意匠を別異のものと印象付けるほどのものであるということはできない。
オ 小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品が同一であり,両意匠の形態においても,共通点は,総じて両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められるのに対して,差異点は,いずれも両意匠の類否判断に及ぼす影響が小さく,これらがあいまって生じる視覚的効果を考慮しても,共通点が看者に与える美感を覆して,両意匠を別異のものと印象付けるほどのものとはいえないから,本願意匠は,引用意匠に類似するものと認められる。

2 引用意匠が意匠法第3条第1項第2号に該当するかについて
意匠法第4条第1項の規定「意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して第3条第1項第1号又は第二号に該当するに至つた意匠は,その該当するに至つた日から六月以内にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条第一項及び第二項の規定の適用については,同条第一項第一号又は第二号に該当するに至らなかつたものとみなす。」により,引用意匠が,本願意匠についての意匠法第3条第1項の規定の適用について,意匠法第3条第1項第2号に該当するに至らなかったものとみなされるためには,以下の三つの要件:
(1)本願の意匠登録出願人が引用意匠の意匠登録を受ける権利を有する者であったこと,
(2)引用意匠が意匠登録出願人の意に反してインターネット上に公開されたこと(意匠法第3条第1項第2号に規定する意匠になったこと),
(3)本願がその公開から6月以内に出願されていること,
を満たす必要がある。
そこで,請求人による意見書の主張及び第1号証によれば,引用意匠についての意匠登録を受ける権利を有する者は川本秀昭であると認められ,川本秀昭は意匠登録出願人である株式会社GPROの代表者であるから,本願の意匠登録出願人が引用意匠の意匠登録を受ける権利を有する者であったということができる。
そして,意見書の主張「公開者は,出願人が本願意匠を意匠登録出願する準備をしていることを知らずに,事前の打ち合わせ資料に基づいて,先に,公開意匠をHPに掲載した。一方,意匠登録を受ける権利を有する者は,公開者が公開意匠をHPに掲載して営業の準備をしていることを知らずに,本願意匠の意匠登録出願の準備をし,出願をした。」から,引用意匠が意匠登録出願人の意に反してインターネット上に公開されたと認めることができる。
さらに,本願の出願日は平成25年(2013年)7月13日であり,引用意匠の公開日(掲載年月日)は同年6月12日であるから,本願がその公開から6月以内に出願されていることは明らかである。
そうすると,本願は,意匠登録出願人が引用意匠の意匠登録を受ける権利を有する者であって,引用意匠が意匠登録出願人の意に反してインターネット上に公開され,及び本願がその公開から6月以内に出願されていることから,上記三つの要件が満たされており,意匠法第4条第1項の規定により,引用意匠は,本願意匠についての意匠法第3条第1項の規定の適用について,意匠法第3条第1項第2号に該当するに至らなかったものとみなされる。
したがって,本願意匠については,引用意匠を引用して,意匠法第3条第1項の規定を適用することはできない。

第5 むすび
以上のとおり,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するから,同法同条同項の規定により,意匠登録を受けることができないものではあるが,意匠法第4条第1項の規定により,本願意匠については,引用意匠を引用して,意匠法第3条第1項の規定を適用することはできないので,原審の拒絶の理由によっては拒絶することができない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-06-03 
出願番号 意願2013-16076(D2013-16076) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 佐々木 朝康 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 正田 毅
小林 裕和
登録日 2015-07-03 
登録番号 意匠登録第1530065号(D1530065) 
代理人 福島 一 
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