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審決分類 審判 査定不服  意7条一意匠一出願 取り消して登録 H7
管理番号 1304024 
審判番号 不服2014-22431
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-04 
確定日 2015-07-14 
意匠に係る物品 携帯情報端末 
事件の表示 意願2013- 13052「携帯情報端末」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)6月10日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,【意匠に係る物品】を「携帯情報端末」とし,その物品に表示される,物品の操作の用に供される画像の部分について意匠登録を受けようとするものであって,その形態を願書及び願書に添付した図面(以下,「添付図面」という。)に記載されたとおりとするものである。(別紙参照)

第2 原審の拒絶の理由
原審において,本願は,願書及び添付図面の記載から総合的に判断すると,タブレットコンピュータ,携帯情報端末等複数の物品に係る創作であり,また,複数の異なる画像を含むものであるから,経済産業省令で定める物品の区分又はそれと同程度の区分により意匠ごとにされているものとは認められないため,意匠法第7条に規定する要件を満たしてないとして,平成25年12月18日付けで拒絶の理由を通知し,この理由により拒絶の査定がなされた。

第3 本願の手続の経緯
1.出願当初
平成25年(2013年)6月10日の本願の出願当初の願書には,【意匠に係る物品】の欄に「表示画面用グラフィカルユーザーインターフェース」,【意匠に係る物品の説明】の欄に「本物品は,タブレットコンピュータ等の携帯情報端末で使用する表示画面のグラフィカルユーザーインターフェースである。」,【意匠の説明】の欄に「実線で表した部分が,意匠登録を受けようとする部分である。」と記載され,添付図面には,【正面図1】ないし【正面図13】の図が記載されており,これらの13の図は,破線による隅丸横長長方形とその内側のやはり破線による横長長方形とが,細幅帯状のベゼル部をなし,そのベゼル部の内側の領域が実線で表された本願の意匠登録を受けようとする部分,すなわち表示画面の部分で,この部分には,【正面図1】ないし【正面図13】において,それぞれ異なる画像が表されていた。

2.審判請求時
前記の平成25年12月18日付け拒絶理由通知に対する平成26年(2014年)4月18日付け意見書では,拒絶理由通知書への対応を検討中である旨述べられるに止まり,その後も補正書の提出等はなかったため,同年7月31付けで拒絶査定がなされた。
本件審判請求は,この拒絶査定を不服として平成26年11月4日になされ,同年12月25日に請求人(出願人)から手続補正書が提出された。
この手続補正によって,本願について,【意匠に係る物品】の欄は「携帯情報端末」に変更され,【意匠に係る物品の説明】の欄は,「本物品は,携帯情報端末に係るものである。[参考正面図]に表示されるように,本物品に係る携帯情報端末は,ベゼルと,その内側に配置されたタッチパネル式の表示部と,を有している。また,本物品は,インターネット接続機能,音楽や映像,写真の再生機能,その他の各種情報処理機能を備えている。正面図は,通電時の表示部を表したものである。[正面図],[参考正面図]に示す様に,本物品に係る携帯情報端末の表示部に表示される操作画面には,大きさの異なる複数のボタン配置用領域が配置され,各ボタン配置用領域内には本物品に係る携帯情報端末で実現可能な上記情報処理機能を発揮できるようにするための(実行するための)操作を行うためのボタンが配置されている。これらのボタンを操作することにより本物品に係る携帯情報端末で実行されるべき機能を選択する。さらに表示部の最下部にも,本物品に係る携帯情報端末で実現可能な機能を実行する操作を行うためのボタンが配置されている。」と,変更された。また,添付図面には,【参考正面図】が追加され,【正面図2】ないし【正面図13】は削除された。
同時に,請求人は,上記手続補正によって,本願は経済産業省令で定める物品の区分又はそれと同程度の区分により意匠ごとになされており,かつ,【意匠に係る物品の説明】の欄は,本願に係る物品の表示部に表示された画像が,物品のどのような機能を果たすために必要な表示か,または物品のどのような機能を発揮できる状態にするためのものであって,どのような操作を行うものか特定できる記載となったから,本願は意匠法第7条に規定する要件を満たしている旨主張した。

第4 当審の判断
上記手続の経緯によれば,出願当初,本願は,【意匠に係る物品】の欄に「表示画面用グラフィカルユーザーインターフェース」と記載し,【意匠に係る物品の説明】の欄に,「本物品は,タブレットコンピュータ等の携帯情報端末で使用する表示画面のグラフィカルユーザーインターフェースである。」と記載し,また,添付図面には,物品全体の正面図として,破線による隅丸横長長方形とその内側の破線による横長長方形とにより,携帯情報端末のベゼル部をなす態様で表されており,そのベゼル部の内側の領域が実線で表された本願の意匠登録を受けようとする部分,すなわち表示画面の部分について,出願当初の添付図面には【正面図1】ないし【正面図13】のそれぞれ異なる画像が表されていた。

しかし,これら出願当初の願書の記載及び添付図面の記載を総合的に判断すると,本願には,タブレットコンピュータ,携帯情報端末等の複数の物品に係る,それぞれの物品に表示される画像を含む意匠が複数表されているものであって,その画像部分についてのみ意匠登録を受けようとしたものであると認められ,その画像についてのみ意匠登録を受けようとすることから,【意匠に係る物品】について,意匠登録を受けようとする画像部分である「表示画面用グラフィカルユーザーインターフェース」と記載して出願したものであると推認される。
そうすると,審判請求後の手続補正によって,【意匠に係る物品】を「携帯情報端末」とし,【意匠に係る物品の説明】において,その物品である「携帯情報端末」についての用途及び機能を「インターネット接続機能,音楽や映像,写真の再生機能,その他の各種情報処理機能を備えている」旨説明し,また,添付図面の【正面図2】ないし【正面図13】を削除して,物品に表示される画像を1つに限定するとともに,【意匠に係る物品の説明】において,その【正面図1】の画像に表れた操作ボタン等が「本物品に係る携帯情報端末の表示部に表示される操作画面には,大きさの異なる複数のボタン配置用領域が配置され,各ボタン配置用領域内には本物品に係る携帯情報端末で実現可能な上記情報処理機能を発揮できるようにするための(実行するための)操作を行うためのボタンが配置されている。これらのボタンを操作することにより本物品に係る携帯情報端末で実行されるべき機能を選択する。さらに表示部の最下部にも,本物品に係る携帯情報端末で実現可能な機能を実行する操作を行うためのボタンが配置されている」旨,図に表れている画像についてそのまま説明をしたものであるから,本願に表されたものは,携帯情報端末の部分である画像であって,携帯情報端末としての物品の機能を発揮できる状態にするための操作の用に供する画像であることは,出願当初に開示されていたものであると認められる。
したがって,【意匠に係る物品】について,出願当初に,画像についてのみ意匠登録を受けようとすることから,誤って,意匠登録を受けようとする画像部分である「表示画面用グラフィカルユーザーインターフェース」としたものを,出願当初から【意匠に係る物品の説明】の欄に記載のあった「携帯情報端末」とし,それに合わせて【意匠に係る物品の説明】の内容を変更した審判請求後の補正は要旨を変更するものではない。

すると,出願当初,意匠法第7条に規定する要件を満たしていなかった本願は,審判請求後になされた手続補正に基づく願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば,一の意匠に係り,経済産業省令に定める物品の区分と同程度の区分により意匠ごとにされた出願と認められるから,意匠法第7条に規定する要件を満たすものとなったと判断される。

第5 むすび
以上のとおりであって,原審の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審においてさらに審理した結果,本願について,他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-06-26 
出願番号 意願2013-13052(D2013-13052) 
審決分類 D 1 8・ 52- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 智加 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 本多 誠一
正田 毅
登録日 2015-08-07 
登録番号 意匠登録第1532856号(D1532856) 
代理人 石川 徹 

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