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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 C3
管理番号 1305040 
審判番号 不服2014-26633
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-26 
確定日 2015-08-04 
意匠に係る物品 便器清掃用具 
事件の表示 意願2013- 16418「便器清掃用具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする,平成25年(2013年)7月19日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付された図面代用写真によれば,意匠に係る物品を「便器清掃用具」とし,その形状,模様,色彩又はそれらの結合(以下,「形態」ともいう。)を願書及び願書に添付された図面代用写真に現されたとおりとしたものであって,「写真において緑色に着色された部分を除いた部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶の理由,及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には以下のとおりである。

「この種清掃用ブラシ(本願意匠の図面の方向性に合わせて比較する)において,正面及び背面側を弧面状に膨出させ,正面視において,左側に向かって上下辺をやや広がり状として先端部を略凸弧状片とし,左側面視形状において,上下の面の中央部を,柄の先端部で挟んで,それぞれ略V字形状に形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠1】。
同様に,スポンジの側面形状について,内側寄りの目を粗く形成し,外側寄りの目を細かく形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠2】。
本願意匠の意匠登録を受けようとする部分の意匠は,その出願前公然知られた【意匠1】の意匠のスポンジの左側面形状を,当業者にとってありふれた手法を用いて,【意匠2】の意匠のように,内側寄りの目を粗く形成し,外側寄りの目を細かく形成したまでのものにすぎませんから,きわめて容易に意匠の創作をすることができたものと認められます。

【意匠1】 (別紙第2参照)
昭和39年8月7日特許庁において発行された意匠公報記載の登録第236154号(意匠に係る物品:ブラシ)の本願意匠が意匠登録を受けようとする部分の意匠

【意匠2】 (別紙第3参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2012年5月17日に受け入れた
オレンジページ 2012年6月2日11号
第46頁所載 たわしの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HA24003391号)」


第3 当審の判断

以下,本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か,すなわち,本願意匠が,この意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に創作することができたものであるか否かについて検討する。
なお,意匠公報に表された意匠1の形態については,原査定と同様に,本願意匠の図面の方向性に合わせて記載する。

1 本願意匠の認定
本願意匠の認定にあたっては,正面図,平面図及び底面図における左側を「先端側」,右側を「柄側」とも記載する。

(1) 意匠に係る物品,並びに本願部分の用途及び機能
本願意匠の意匠に係る物品は,「便器清掃用具」であり,本願部分は,主として男性用小便器の排水溝及びその周辺部分の汚れ等を拭き落とすために用いられる。

(2) 本願部分の位置,大きさ及び範囲
本願部分は,本願意匠の先端側約1/3を占める部分であり,清掃用スポンジ(以下,「スポンジ部」という。),及び当該スポンジ部を柄に固定するための柄の先端側部分(以下,「スポンジ固定部」という。)から成るものである。

(3) 形態の基本的構成態様
本願部分のスポンジ部とスポンジ固定部との固定方法は,願書及び願書に添付された図面代用写真には明確な記載がないものの,便器清掃用具の分野においては,スポンジ部を略棒状体の柄の先端部分に挟んで固定することが一般的であることから,本願部分のスポンジ部についても,スポンジ部がスポンジ固定部に挟持されて固定されているものと推認することができる。
そうすると,本願部分の形態の基本的構成態様は,略柱状のスポンジ部と,当該スポンジ部の平面及び底面の上下方向中央部分を挟持するスポンジ固定部から成るものであり,スポンジ部は,正面及び背面が前後に弧面状に膨らみ,平面及び底面が側面視横方向中央に向かって陥没し,側面視略蝶形状となっているものである。

(4) 形態の具体的態様
(ア) スポンジ部の挟持された部分における平面及び底面の形態を,断面視略γ字状としていて,スポンジ固定部がスポンジ部によって部分的に隠され,その全体形状が顕現せず,
(イ) スポンジ部の挟持された部分よりも先端側の部分における正面及び背面の形態を,正面視上下に僅かに膨出させた略凸面状とし,当該部分の平面,左側面,及び底面を連続する曲面となるように形成しており,
(ウ) スポンジ部における左側面及び右側面視形態を,スポンジ部全体の略表面に現れた濃灰色の目の細かいスポンジ(以下,「密スポンジ」という。)が端部に,淡灰色の目の粗いスポンジ(以下,「粗スポンジ」という。)がその内側に現れるように形成し,左側面視では粗スポンジの形態が平面及び底面の先端まで連続し,平面視及び底面視では,スポンジ固定部の先端が頂点の位置となるような略倒三角形状となるように形成しており,
(エ) 黒色のスポンジ固定部の柄側端部を,柄部よりも拡径させた右側面視円板状としたものである。

2 創作非容易性の判断
[A]原査定の当否
原査定は,本願部分は意匠1のスポンジの左側面形状を当業者にとってありふれた手法を用いて,意匠2のように,内側寄りの目を粗く形成し,外側寄りの目を細かく形成したまでのものにすぎないから,本願部分が容易に創作することができた意匠であると判断しているが,以下の理由により,この判断は妥当でない。

まず,本願部分は,左側面形状のみならず,正面側,背面側,平面側,底面側,及び右側面側から見たときにも意匠登録を受けようとする部分が見えているから,意匠1のスポンジの左側面形状のみを根拠に,本願部分の密スポンジと粗スポンジの形態を除いたスポンジ部全体の形態が,公然知られた形状に基づいたものであると判断することはできない。
そして,本願部分の密スポンジと粗スポンジの形態を除いたスポンジ部全体の形態を,意匠1のスポンジ部全体の形態と比較したとすると,形態の基本的構成態様,及びいくつかの形態の具体的態様が共通しているものの,
(A) スポンジ部の挟持された部分の平面及び底面の形態について,意匠1の形態は,断面視略浅いV字状に現れていて,スポンジ固定部の全体形状が顕現している形態であるのに対し,本願部分の同部分の形態は,断面視略γ字状に現れていて,スポンジ固定部がスポンジ部によって部分的に隠れてその全体形状が顕現していない形態である点,
(B) スポンジ部の挟持された部分よりも先端側の部分の形態について,意匠1の形態は,左側面と,平面及び底面との境界を略直角に形成しているのに対し,本願部分は,同部分の形態は,平面,左側面,及び底面を連続する曲面とした正面視上下に僅かに膨出させた略凸面状に形成している点
等が相違しており,本願部分の密スポンジと粗スポンジの形態を除いたスポンジ部全体の形態が容易に創作することができた形態であるというための根拠として意匠1しか示されていないことは不十分である。
次に,意匠2は,原査定では,内側寄りの目を粗く形成し,外側寄りの目を細かく形成したものとして認定しているが,意匠2と同ページに記載された商品説明によれば,意匠2のスポンジの外側を構成しているのは,何本ものポリエステル繊維をより合わせて略波状に形成したという特殊加工を施したものであって,単なる目の細かいスポンジとは異なるものであるから,粗スポンジ及び密スポンジによって構成された本願部分の形態が容易に創作することができた形態であるというための根拠として意匠2を用いることは,不適切であるといわざるを得ない。

さらに,
(a) スポンジ部の左側面及び右側面視形態を,スポンジ部全体の略表面に現れた濃灰色の密スポンジが端部に,淡灰色の粗スポンジがその内側に現れるように形成している態様,すなわち,粗スポンジがスポンジ部の先端側及び柄側のみに現れる態様とした点,
(b) 左側面視において,粗スポンジが平面及び底面の先端まで連続し,平面視及び底面視では,スポンジ固定部の先端が頂点の位置となるような略倒三角形状となるように形成している点,
(c) 黒色のスポンジ固定部の柄側端部を,柄部よりも拡径させた右側面視円板状とした点
が,本願部分の具体的形態として認められるが,これらの形態が容易に創作することができた形態であるか否かについては原査定では言及が無く,この点においても,本願部分が容易に創作することができた意匠であると判断するには,根拠が不十分であったといえる。

[B]本願部分が容易に創作することができた意匠であるか否かについて
そこで,本願部分が容易に創作することができた意匠に該当する否かについて,当審において改めて検討する。

本願部分の上記(エ)の形態は,先端部分に取り付けた部材が柄側に滑らないようにするための形態として,とりたてて特徴的なものではないものの,上記(ア)ないし(ウ)の形態は,本願意匠の出願日前には見られない形態的特徴であって,これらの形態は容易に創作することができたものとは言えないことから,本願部分は,出願前に当業者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に創作することができた意匠に該当しない。

第4 むすび

以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-07-23 
出願番号 意願2013-16418(D2013-16418) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (C3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 木村 恭子内藤 弘樹 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 久保田 大輔
江塚 尚弘
登録日 2015-09-04 
登録番号 意匠登録第1534969号(D1534969) 
代理人 杉本 勝徳 
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