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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1306411 
審判番号 不服2015-7910
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-28 
確定日 2015-09-10 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2014- 9534「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成26年(2014年)5月1日に意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願の出願前の1990年5月25日に特許庁総合情報館が受け入れた外国雑誌「SoapCosmeticsChemicalSpecialties」(4号66巻)の第84頁に所載の「包装用瓶」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号HB03003189)であり,その形態は,同雑誌に掲載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。

第3 当審の判断
以下,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当するか否かについて,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が引用意匠に類似するか否かを検討し,判断する。

1.両意匠の共通点及び相違点の認定
(1)両意匠の共通点の認定
意匠に係る物品については,本願意匠が「包装用容器」であり,引用意匠が「包装用瓶」であるが,いずれも包装用の容器であるから,共通する。
形態については,両意匠ともに本体部と蓋部からなり,全体を立体的に捉えると,概略卵形状を横に倒し,底面側(接地部側)を平面状としたものであって,平面方向から見ると正面(引用意匠においては左下方に向かって表れている面)を背面よりも先細りさせた略楕円形状とし,また,側面方向から見れば高さより横幅の方が長く,周側面は本体部から蓋部へ側面視凸弧状に表れており,本体部と蓋部との境界に目立つ段差はなく,境界が側面視上下方向の中間にほぼ水平に表れたものである点が,主に共通する。

(2)両意匠の相違点の認定
形態について,主に,以下の(ア)ないし(ウ)の点が相違する。
(ア)略楕円形状とする平面視形状について,本願意匠は,上下左右ともに非対称としたものであるのに対して,引用意匠は,その点を明確に認識することはできないが,斜め上方からの観察によれば上下左右ともに対称に表れるものと認められる。
(イ)蓋部の形状について,本願意匠は,側面視において上面中央をほぼ水平な平坦面とし,その左右(正面及び背面)の弧状部は同程度の大きさとしているのに対して,引用意匠は,湾曲した上面の頂部が背面寄りに位置し,その前方は正面に向かって緩やかに傾斜する弧状面,後方は急に傾斜する弧状面となっており,水平な平坦面は存在しない。
(ウ)本体部の開口部の縁部の態様について,蓋部を係止する立ち上がり部の周囲に,本願意匠は,一定幅の狭い縁部が表れているのに対して,引用意匠は,広い縁部を備えており,縁部の幅は一定ではない。

2.両意匠の共通点及び相違点の評価
(1)両意匠の共通点の評価
形態の共通点は,全体を大まかに捉えたものであって,物品の上半部を占める蓋部に相違点(イ)が存在する両意匠において,未だ全体の形状を特徴付ける程の共通点には成り得ないから,当該共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きく評価することはできない。

(2)両意匠の相違点の評価
相違点(ア)は,本願意匠の平面視形状が上下左右ともに非対称としたものであるとはいっても,その程度は僅かなものであるから,平面視形状を一端が先細りした略楕円形状とする両意匠の共通点に埋没する程度の軽微な相違に過ぎず,相違点(ア)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいとは言えない。
相違点(イ)は,目に触れやすく,当該相違により,全体として,本願意匠は扁平さが強調され,引用意匠は丸味が強調されるものとなっており,全体の基本的な構成態様の認定に大きく影響を与えるものであるから,相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
相違点(ウ)は,蓋を閉じた状態においては認識することができない部位におけるものであり,また,引用意匠の開口部周囲の縁部が広くなっている部分があるとしても,開口部を細口に感じさせる程のものではないので,軽微な相違と言わざるを得ず,相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。

そうすると,両意匠の相違点は,特に相違点(イ)の与える印象に加えて,その余の相違点(ア)及び(ウ)が相俟って,両意匠に視覚的に異なる印象を与えるものと言える。

3.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については,共通するものの,その形態については,共通点は概括的なものであって,両意匠の類否判断を決するものとはならず,一方,相違点が相俟って生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕するものであって,両意匠に異なる美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するものではない。

第4 むすび
以上のとおり,本願意匠は,引用意匠に類似せず,引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当するということはできないから,同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-08-28 
出願番号 意願2014-9534(D2014-9534) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木本 直美 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 正田 毅
江塚 尚弘
登録日 2015-10-02 
登録番号 意匠登録第1536531号(D1536531) 
代理人 植村 貴昭 
代理人 植村 貴昭 

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