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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 C4 |
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管理番号 | 1306418 |
審判番号 | 不服2015-8645 |
総通号数 | 191 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-05-11 |
確定日 | 2015-09-29 |
意匠に係る物品 | 衛生マスク |
事件の表示 | 意願2013- 24622「衛生マスク」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成25年(2013年)10月22日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付された図面によれば,意匠に係る物品を「衛生マスク」とし,その形状,模様若しくは色彩又はそれらの結合(以下,「形態」ともいう。)を願書及び願書に添付された図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由,及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には以下のとおりである。 「この種衛生用マスクにおいて,横長矩形状の不織布から成るマスク本体部と該本体部左右に一対の耳掛け紐を弧状に形成し,マスク本体部は,上下水平方向に二対のプリーツを形成し,左右端部寄りに上下を直線上とし,中間部を外に膨出する凸弧状とした二本の溶着ドット模様を形成し,上縁部に鼻元バー(ノーズワイヤー)を形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠1】。 同様に,マスク本体部の背面側(顔面に接する側)の外周縁部にスポンジ等の縁枠材(クッション材)を形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠2】。 また,マスク本体部と顔面を密着させる上縁部及び左右縁部の部材を,それぞれ分離した態様のものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠3】。 本願意匠の意匠登録を受けようとする部分は,その出願前公然知られた【意匠1】の意匠に基づき,当業者にとってありふれた手法を用いて,【意匠2】のようにクッション材を上縁部及び左右縁部に形成し,【意匠3】のようにそれぞれを分離した態様としたまでのものにすぎませんから,容易に意匠の創作をすることができたものと認められます。 【意匠1】 (別紙第2参照) 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2011-024942 【図1】ないし【図4】に表された衛生マスクの意匠 【意匠2】 (別紙第3参照) 特許庁発行の公開実用新案公報記載 昭和52年実用新案出願公開第034187号 第2図の9として縁部材を表した衛生防塵マスクの意匠 【意匠3】 (別紙第4参照) 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2006-230962 主として【図1】の4ノーズフィッター,5チークフィッターを表した衛生マスクの意匠」 第3 当審の判断 以下,本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か,すなわち,本願意匠が,この意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に創作することができたものであるか否かについて検討する。 1 本願意匠の認定 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「衛生マスク」である。 (2)形態の基本的構成態様 本願意匠の形態の基本的構成態様は,横長矩形状のマスク本体部(以下,「本体部」という。)の上縁部付近の左右方向中央の位置にノーズワイヤーを埋め込み,本体部背面側の上縁部,及び左右縁部にクッション材(以下,「クッション部」という。)を配設して,本体部の左右縁部から外側に向かって耳掛け紐を設けたものである。 (3)形態の具体的態様 (ア)本体部は,縦横比を約1:2とし,上下に二対のプリーツを形成して,正面視左右縁部寄りに上下を直線状として中間部を外に膨出する凸弧状とした二本の溶着ドット模様,正面視上縁部寄りに水平な二本の溶着ドット模様,及び正面視下縁部寄りに水平な一本の溶着ドット模様が表れ,背面側の上縁部寄り及び下縁部寄りの位置にも正面側の溶着ドット模様に対応するように溶着ドット模様が表れており,背面側上縁部寄りの二本の溶着ドット模様のうち,上側の溶着ドット模様は,上縁部にクッション部が配設されていることによって中央約2/3の部分が隠れて見えなくなっているものであり, (イ)クッション部は,装着時に顔面に接する側(背面側)の長辺稜線部分をやや隅丸とした断面視略縦長矩形状の棒状体としたものであって,上縁部には本体部の横幅の約2/3の長さのクッション部(以下,「上クッション部」という。)を左右中央の位置に,左右縁部には上クッション部の縦幅と同幅の横幅としたクッション部(以下,背面視左側のクッション部を「左クッション部」,背面視右側のクッション部を「右クッション部」という。)を本体部の縦幅の約3/4の長さで上下中央の位置に配設し, (ウ)耳掛け紐は,略半円弧状とし,本体部に固定する略へら状板体部分を,左クッション部及び右クッション部の上下縁部に接する位置に設けたものである。 2 創作非容易性の判断 原査定は,本願意匠のクッション部の形態について,当業者にとってありふれた手法を用いて,【意匠2】のようにクッション材を上縁部及び左右縁部に形成し,【意匠3】のようにそれぞれを分離した態様としたまでのものにすぎない,と判断している。 しかし,【意匠2】は,【意匠2】が掲載された公開実用新案公報の記載によれば,スポンジ等よりなる柔軟な部材を本体部背面の周縁に額縁状に取り付けたものであるから,本願意匠のように上縁部の左右に余地部を残し,左右縁部の上下に余地部を残してクッション部を配設した形態とは全く異なるものであり,本願意匠が容易に創作することができた意匠であるとする根拠として【意匠2】の提示は適切ではない。 また,【意匠3】は,【意匠3】が掲載された公開特許公報の記載によれば,【意匠3】の本体部上縁部及び左右縁部付近に表された破線が,形状記憶金属等の形状記憶部材が外部から見えないように縫い込みによって取り付けられていることを示すものであるから,クッション部を本体部背面の表面に見えるように取り付けた本願意匠の形態とは全く異なるものであり,本願意匠が容易に創作することができた意匠であるとする根拠として【意匠3】の提示は適切ではない。 そうすると,原査定において示された【意匠1】ないし【意匠3】によって,本願意匠が容易に創作することができたということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-09-09 |
出願番号 | 意願2013-24622(D2013-24622) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(C4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 内藤 弘樹 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
久保田 大輔 江塚 尚弘 |
登録日 | 2015-10-23 |
登録番号 | 意匠登録第1538581号(D1538581) |
代理人 | 松尾 憲一郎 |