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審決分類 |
審判 査定不服 意48条1項3号非創作者無承継登録意匠 取り消して登録 D3 |
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管理番号 | 1306433 |
審判番号 | 不服2015-5598 |
総通号数 | 191 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-03-25 |
確定日 | 2015-10-06 |
意匠に係る物品 | 天井埋め込み灯 |
事件の表示 | 意願2014- 9055「天井埋め込み灯」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする平成26年(2014年)4月25日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,本願の願書の記載によれば,意匠に係る物品を「天井埋め込み灯」とし,形態を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたもので,願書の記載によれば,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注:以下「本願部分」ともいう。)である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第1参照)。 第2 原査定における拒絶の理由及び引用部分 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が本願出願の日前の他の意匠登録出願であって本願出願後に意匠法第20条第3項の規定により意匠公報に掲載された意匠登録出願の願書の記載及び願書に添付した図面に記載された意匠の一部に類似するものと認められるので,意匠法第3条の2の規定により意匠登録を受けることができないとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願の日前の平成25年(2013年)7月5日に意匠登録出願され,本願出願後の平成26年(2014年)6月9日に日本国特許庁発行の意匠公報に掲載された,意匠登録第1499109号(意匠に係る物品「天井埋込み灯」)の意匠(以下「引用意匠」という。)であり,引用意匠の形態は,同意匠公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。なお,本願意匠が類似するとした引用意匠の一部は,引用意匠における本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)である。 第3 本願意匠と引用意匠の一部の対比 1 意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「天井埋め込み灯」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「天井埋込み灯」である。 2 用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 本願部分の用途及び機能は,天井埋め込み灯の一部として使用されて,投光するカバー部とその周囲の反射板により光を拡散させるというものであり,横長の天井埋め込み灯の一方の端部寄りに位置し,全幅の約1/6の大きさ及び範囲を占めるものである。また,引用部分の用途及び機能も,天井埋込み灯の一部として使用されて,投光するカバー部とその周囲の反射板により光を拡散させるというものであり,横長の天井埋め込み灯の一方の端部寄りに位置し,全幅の約1/6の大きさ及び範囲を占めるものである。 3 形態 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の形態を対比すると,主として,以下の共通点と差異点が認められる。(以下,対比のため,本願部分の図面における正面,平面などの向きを,引用部分にも当てはめることとする。) (1)共通点 両部分には,基本的構成態様として,以下の共通点が認められる。 (A)基本的構成態様について 全体が,中央のカバー部の上下に反射板が設けられて,反射板の後方左端寄りに縦長の側板が突設されたものである。 また,具体的態様として,以下の共通点が認められる。 (B)カバー部の態様について (B-1)カバー部の正面の態様 正面から見て,横長長方形状に表されており,左端部に縦長二重線状の区画が形成されている。 (B-2)カバー部の断面の態様 断面図において,カバー部は上下対称状であって,正面側が略凸弧状に膨らんでいる。 (C)反射板及びその周囲の態様について (C-1)反射板の断面の態様 断面図において,上側の反射板と下側の反射板は上下対称状に表されており,それぞれが略クランク状に折れ曲がって,カバー部寄りは垂直状の面(以下「カバー部寄り垂直状面」という。)であり,端部寄りも垂直状の面(以下「端部寄り垂直状面」という。)であって,両者の中間部分は,その中央付近から端部寄り垂直状面までがカバー部前面よりも前方に出るように傾斜した面(以下「傾斜面」という。)になっている。また,反射板の端部は後方に折れ曲がり,その折れ曲がり部は水平状に表されている。 (C-2)反射板左方の態様 正面から見て,反射板の左方には,縦長帯状の部材が嵌め合わされており,その嵌合部材とカバー部との間には僅かな隙間がある。 (C-3)反射板の正面の態様 正面から見て,カバー部の上下に,カバー部寄り垂直状面,傾斜面及び端部寄り垂直状面が表されており,両垂直状面が横長帯状に表されている。その両垂直状面の幅は,嵌合部材の幅とほぼ同じである。 (D)背面側の態様について 断面図において,カバー部の後方に,背面方向に突出した略縦長長方形状部(以下「背面突出部」という。)が形成されている。左側面から見ると,その背面突出部は側板に隠れて見えなくなっている。 (E)側板の態様について 側面から見て,側板の最大縦幅は,嵌合部材の縦幅よりもやや小さい。なお,側板の中央やや後方寄りの略縦長長円形状部は,両部分には含まれない。 (2)差異点 一方,両部分には,具体的態様として,以下の差異点が認められる。 (ア)カバー部の形状について 断面図において,本願部分のカバー部は略蒲鉾形状であって,その上下の部分が,内側に略弧状に括れて形成されている。これに対して,引用部分の同部分は,後方に向けて漸次傾斜しており,カバー部の左右端が尖っている。 (イ)側板の形状について 側面から見て,本願部分の側板は,略長方形状であって後方の角部が斜めに切り欠かれている。これに対して,引用部分の側板は,倒扁平台形状である。 (ウ)カバー部と反射板傾斜面の縦幅比について 正面から見て,本願部分のカバー部の縦幅と反射板傾斜面の縦幅の比は,約5:4であるが,引用部分のその比は約4:5である。 (エ)反射板の形状について 断面図において,本願部分の反射板の端部後方は,フック状に前方に折り返されているのに対して,引用部分にはそのような折り返しはない。 第4 類否判断 1 意匠に係る物品 本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)は,共に天井埋め込み灯であるから,両意匠の意匠に係る物品は同一である。 2 両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 両部分の用途は,共に天井埋め込み灯の一部として使用されることから共通する。また,両部分の機能についても,共に投光するカバー部とその周囲の反射板により光を拡散させることから共通する。そして,両部分は,共に横長の天井埋め込み灯の一方の端部寄りに位置し,全幅の約1/6の大きさ及び範囲を占めるものであるから,両部分の位置,大きさ及び範囲は共通する。 3 両部分の形態の共通点の評価 両部分の共通点で指摘した,(A)基本的構成態様,並びに(B-2)正面側が略凸弧状に膨らんだカバー部,及び(C-1)略クランク状に折れ曲がった反射板を有する具体的態様については,照明器具の物品分野の意匠において,本願の出願前に普通に見受けられることから,看者の注意を惹くものとはいえない。また,(D)背面突出部の共通点は,側板に隠れて見えなくなることから,看者の注意を強く惹くとはいい難い。さらに,(B-1)カバー部正面左端部の縦長二重線状区画,(C-1)反射板端部の水平状折り曲がり部,及び(C-2)嵌合部材とカバー部との間の僅かな隙間についての共通点は,それらがいずれも狭い範囲に関するものであって,その共通点に対して看者は特に注視せず,(C-3)反射板の両垂直状面の幅が嵌合部材の幅とほぼ同じである共通点も,看者に格別の視覚的印象を与えるほどのものではない。したがって,共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。 4 両部分の形態の差異点の評価 一方,両部分の形態の差異点については,以下のとおり評価され,差異点を総合すると,両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすといわざるを得ない。 まず,差異点(ア)で指摘した,カバー部の形状についての差異は,本願部分に見られる略弧状の括れが本願意匠の設置時において正面斜め方向から看取されるものであって,看者に一定の視覚的印象を与えるところ,引用部分にはそのような括れはなく,左右の端部が尖っていて,カバー部全体が略レンズ形状を呈するように表されているので,両部分のカバー部を比較した際には,カバー部を別異のものと印象付けるものであるというべきであるから,差異点(ア)が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。 次に,差異点(イ)は,側面方向から看取される,側板の形状についての差異であって,略長方形状であるか倒扁平台形状であるかの差異は,後方の角部の切り欠きの有無の差異とあいまって,看者の視覚的印象に変化を与えているというべきであるから,引用部分の側板は,差異点(イ)が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。 他方,差異点(ウ)で指摘した,カバー部と反射板傾斜面の縦幅比についての差異は,約5:4である本願部分と約4:5である引用部分との間に大きな差はなく,照明器具の物品分野の意匠において,カバー部と反射板の構成(縦幅比を含む)には様々な種類があることを踏まえると,両部分の縦幅比の差異に対して看者が特段注視するとはいい難く,また,差異点(エ)の反射板端部後方の折り返しの有無の差異も,通常の設置時において看取され難い部位についての差異であるから,差異点(ウ)及び(エ)が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。 そうすると,(ア)及び(イ)の差異点は,いずれも両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすものであり,差異点(ウ)及び(エ)の影響が小さいものであるとしても,両部分の差異点を総合して両部分を全体として比較した際には,両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。 5 小括 したがって,両意匠の意匠に係る物品が共通し,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲も共通するものの,両部分の形態については,共通点は,両部分の類否判断に及ぼす影響が小さいものであるのに対して,差異点は,いずれも両部分の類否判断に及ぼす影響が大きく,両部分を全体として比較した際には両部分を別異のものと印象付けるものであるから,本願部分は,引用部分に類似するということはできない。すなわち,本願意匠における部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は,引用意匠の一部に類似しない。 第5 むすび 以上のとおり,本願意匠は原査定の引用意匠の一部に類似しないから,意匠法第3条の2の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-09-24 |
出願番号 | 意願2014-9055(D2014-9055) |
審決分類 |
D
1
8・
16-
WY
(D3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 佐々木 朝康 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
小林 裕和 正田 毅 |
登録日 | 2015-10-16 |
登録番号 | 意匠登録第1538062号(D1538062) |
代理人 | 倉谷 泰孝 |
代理人 | 倉谷 泰孝 |
代理人 | 稲葉 忠彦 |
代理人 | 松井 重明 |
代理人 | 松井 重明 |
代理人 | 村上 加奈子 |
代理人 | 村上 加奈子 |
代理人 | 稲葉 忠彦 |