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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5
管理番号 1307391 
審判番号 不服2015-13700
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-21 
確定日 2015-10-20 
意匠に係る物品 コーヒーメーカー 
事件の表示 意願2014-3780「コーヒーメーカー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,2013年8月29日の域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)の出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成26年(2014年)2月25日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「コーヒーメーカー」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁特許情報課が2006年7月6日に受け入れた,中華人民共和国意匠公報「2006年5月24日No.021号」に記載の「コーヒーメーカー(登録番号CN3529776)」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH18008279号)(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.当審の判断
(1)意匠に係る物品について
両意匠を対比すると,意匠に係る物品は,共に「コーヒーメーカー」で,一致している。

(2)形態について
両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。

(2-1)共通点
基本的構成態様において,(ア)略円盤状の基台部に立設した2本の脚部に挟んで,略円筒形のコーヒーメーカー本体部(以下,単に「本体部」という。)が取り付けてあるものであって,(イ)本体部下端と基台部の間には,本体部から滴下する抽出したコーヒーを受けるための容器であるコーヒーサーバー(以下,単に「サーバー」という。)を載置するための空間が用意されている態様であって,
具体的構成態様においては,(ウ)本体部は,上から順に水容器,本体基部及びフィルター部とする構成のものであって,(ウ-1)本体基部は,脚部と接して支えられており,(ウ-2)本体基部の上に,水容器を載せた状態であって,(ウ-3)本体基部の下には,脚部に接する部分で垂下される略倒立円錐台状のフィルター部が設けてあり,(エ)水容器については,やや扁平(へんぺい)な円筒形であって,上に薄い略円板状のふたが設けてあり,(オ)脚部は,正面側から見て薄く,側面から見て幅が広い板状のものであって,(カ)基台部は,縦横比(厚さに対する最大径の比率のこと。)が,約1:4の,略円錐台形状である点で,共通する。

(2-2)相違点
それに対して,基本的構成態様において,(a)脚部の態様について,本願意匠は,床面より本体部上端(水容器ふた上面)の位置より高さのある,1つの部材から成る逆U字状であって,本体部との間に空間があるのに対して,引用意匠は,本体部上端までの高さの垂直平行に並設した2本の直線状部材から成るものである点で相違する。
具体的構成態様において,(b)本体基部について,(b-1)本体基部と水容器の態様につき,本願意匠は,本体基部の径が,左右脚に接する寸法であって,その上に載る水容器は,本体基部より僅かに細いのに対して,引用意匠は,本体基部より太い水容器の径が,左右脚部間の間隔にはまる寸法であって,下端を僅かにすぼまらせて,僅かに細い本体基部と同じ径としている点,(b-2)本体基部と脚部との態様について,本願意匠は,左右脚間の寸法と同じ径の本体基部が接した部分で接続しているのに対して,引用意匠は,脚部間にはまる水容器より細い本体基部であるから,本体基部周面より接続部が2本突出して,脚部と接続している点,(b-3)本体基部の縦横比について,本願意匠は,約4:10であるのに対して,引用意匠は,約3:10である点,(c)フィルター部について,(c-1)本願意匠は,全体が漏斗状であるのに対して,引用意匠は,上縁を,本体基部と直径と高さが同寸で本体基部と同様の円筒状にした鉢巻部とし,この鉢巻部の下に漏斗状部を垂下して設けている点,(c-2)当該漏斗状部の周面につき,本願意匠は,上半部が凸曲面で,下半部が凹曲面として,S字状になっているのに対して,引用意匠は,本の僅かのへこみ曲面である点,(d)水容器について,(d-1)本願意匠は,上縁部が曲面状にすぼまっているのに対して,引用意匠は,すぼまっていない点,(d-2)水容器のふたにつき,本願意匠は,水容器の上縁部が曲面状にすぼまった寸法に合わせた直径の,凹凸の無い単純な円板状のふたとしているのに対して,引用意匠は,脚部に相対する部分が,脚部の上端面を覆うように脚部上端面の形状に合わせた略長方形状に突出しており(以下,この部分を「突出端部」という。),互いに対向した位置にある突出端部は,両突出端部にわたるように設けたふた上面のアーチ状突条部によって造形的につながっており,その結果,そのアーチ状突条部が,左右の脚部上端を結ぶブリッジ状に見える態様とし,この突出端部以外の円周部分を水容器上端に合わせた円弧状としている点,(e)基台部に接続する脚部下端の態様について,本願意匠は,少し内側に湾曲しているのに対して,引用意匠は,まっすぐに,基台部の円錐台周面に突き刺さるような態様である点,で相違する。

(3)類否判断
両意匠のように,フィルターを通してコーヒーを抽出するコーヒーメーカーにおいては,上から順にフィルター部,サーバー,基台部と並べる構成が多く,よって,両意匠のように,フィルター部と基台部の間にサーバーを載置するための空間を用意することは,ごく普通の構成であるから,この共通点が,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
しかし,フィルターを通してコーヒーを抽出するコーヒーメーカーにおいては,通常,水容器が,上下に重なるように並んだフィルター部及びサーバー載置場所の横に配置されていることがほとんどであるから,両意匠のように,上から水容器,本体基部及びフィルター部が中心軸を一つにして上下に位置する本体部の態様,及びその本体部を,全体で略円筒形とし,略円盤状の基台部に立設した2本の脚部に挟んでいるという態様は,両意匠の共通感を醸し出しており,(d-2)の相違ではあるものの,引用意匠の,ふたのアーチ状突条部によって,左右脚部がブリッジ状に一体的につながっているように見せる態様は,本願意匠の逆U字状の脚に対して,僅かながら共通感を生み出すものであるから,これらの態様が合わさって,両意匠の類否判断に多少なりとも影響を与えていると認められる。
しかし,これに対して,基本的構成態様における相違点(a)は,本願意匠は,本体部上端と脚部上辺部の間に空隙が生じ,その部分によって,脚部上辺がコーヒーメーカーの取っ手として用いられるものと想到する態様となっているものであるから,両意匠の類否判断に強く影響を与えるものである。
具体的構成態様の相違点(b-1)は,本願意匠は,一番太い本体基部の上に,水容器を載せ,フィルター部をつり下げている状態に見え,この態様は,相違点(b-3)の,より縦幅がある本願意匠の本体基部の態様と合わさって,本体基部が本体部における中心的存在と思わせる態様であるから,上から水容器,本体基部,フィルター部と順に細くなってゆく引用意匠とは,造形的思考が異なる態様といえるもので,各部の径の僅かな寸法の相違であっても,両意匠の類否判断に影響を与えるものである。
相違点(c)は,全体観察に与える形状の相違はもとより,フィルター交換時に開閉操作する部分であるから,意匠の要部における相違といえ,両意匠の類否判断に影響を与えるものと認められ,相違点(d-2)は,引用意匠のアーチ状突条部は,コーヒーメーカー最上端部であるから見えやすい部分で,ふたを開ける際のつまみ部と認識される形態であるから,両意匠の類否判断に影響を与えるものである。
よって,その他の相違点を挙げるまでもなく,上記相違点がもたらす印象で,共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである。
したがって,両意匠の意匠に係る物品は一致しているが,形態は類似しないから,両意匠は,類似しているとはいえない。

4.結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-10-07 
出願番号 意願2014-3780(D2014-3780) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C5)
最終処分 成立 
前審関与審査官 内藤 弘樹 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 刈間 宏信
橘 崇生
登録日 2015-11-20 
登録番号 意匠登録第1540575号(D1540575) 
代理人 津軽 進 
代理人 笛田 秀仙 
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