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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201511339 審決 意匠

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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H6
管理番号 1307393 
審判番号 不服2014-26812
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-26 
確定日 2015-11-05 
意匠に係る物品 音声映像記録再生機 
事件の表示 意願2014- 3168「音声映像記録再生機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとし,平成25年(2013年)8月14日に出願された意願2013-18706号を原出願として,意匠法第10条の2第1項の規定により平成26年(2014年)2月17日に,物品の部分について意匠登録を受けようとして,意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「音声映像記録再生機」とし,当該物品の操作の用に供される画像であって,当該物品と一体として用いられる物品に表示されるものについて意匠登録を受けようとするものであり,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとするものであって,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(以下,本願の意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。)(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,本願意匠に係る「音声映像記録再生機」の分野に限らず,広く操作画像を利用した物品分野または操作画像の創作において,画面下端付近に横一列に略矩形の操作ボタンを並べることは,例えば,画像1,意匠1,意匠2,意匠3,意匠4,意匠5に見られるように,本願出願前よりごく一般的に行われており,また,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分のように,左端,右端の操作ボタンを一部のみ表れるように配置することも,意匠3,意匠4,意匠5に見られるように,コンテンツ再生機能を有する物品においては,常套的手法であるところ,本願意匠は,矩形の操作ボタンを画像下端に横一列に並べ,左右の操作ボタンを一部のみ表れるように配置したものを,音声映像記録再生機のメニュー画面における操作ボタンとして表したに過ぎず,容易に創作することができた,というものである。

画像1:
特許庁普及支援課が2009年 8月20日に受け入れた
『米国特許商標公報 2009年 7月28日09W30号』所載,
データ表示機用ユーザーインターフェース(登録番号US D597099S)の画像(特許庁意匠課公知資料番号第HH21313271号)
(以下「引例画像1」という。) (別紙第2参照)

意匠1:
特許庁意匠課が2006年 5月26日に受け入れた
ジャパンマシナリー株式会社発行のカタログ
『CI-450 気体用パーティクルカウンター』第1頁所載
気体用パーティクルカウンターの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC18019605号)
(平成18年度内国カタログNo.96)
(以下「引例意匠1」という。) (別紙第3参照)

意匠2:
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1292107号の意匠
(意匠に係る物品,建設車両用表示機付きコントローラ)
(以下「引例意匠2」という。) (別紙第4参照)

意匠3:
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1456441号の意匠
(意匠に係る物品,携帯情報端末機)
(以下「引例意匠3」という。) (別紙第5参照)

意匠4:
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1472232号の意匠
(意匠に係る物品,携帯情報端末)
(以下「引例意匠4」という。) (別紙第6参照)

意匠5:
特許庁普及支援課が2009年12月17日に受け入れた
『大韓民国意匠商標公報 2009年10月21日09-20号』
テレビ受像機(登録番号30-0542821)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH21430662号)
(以下「引例意匠5」という。) (別紙第7参照)

第3 請求人の主張
これに対し,請求人は,審判を請求し,概要以下のとおり主張した。

1.本願意匠の認定について
本願意匠では,画面下端に,略矩形状のコンテンツアイコンが横一列に配置されている。これらのコンテンツアイコンの内部には,参考図に示されるように,コンテンツの上側の一部が表示されるようになっている。また,横一列に並んだコンテンツアイコンのうち,左右両端のコンテンツアイコンのそれぞれ左側及び右側の一部が欠けて表されるようになっている。
また,本願意匠は,意匠に係る物品の説明に記載されるように,音声映像記録再生機が有する様々な機能を発揮できる状態にするためのメインメニュー画面であり,また,操作部等を説明する参考図に示されるように,メインメニューボタンが矩形状のコンテンツアイコンの上方に配置されている。
本願意匠は,使用者が,本願意匠の画面においてコンテンツを選択する操作を行うのではなく,本願意匠の画面において操作した後,他の画面に遷移したときに全体が表示されるであろうコンテンツアイコンが待機していると認識する画像である

2.本願意匠と引例意匠との対比について
本願意匠においては,画面下端に,略矩形状のコンテンツアイコンが横一列に配置されており,コンテンツアイコンの内部には,コンテンツの上側の一部が表示されるようになっている。
これに対して引例画像1では,画面下端の矩形内には何も表されておらず,したがって本願意匠のようにコンテンツアイコンの上側の一部のみが表示されるものであるとはいえない。また,引例意匠1及び2では,画面下端の矩形のボタン内部には文字または図形の全体が表されており,引例意匠3ないし5では,アイコンの上下端の枠線が画面内に表れている。このように,引例意匠1ないし5のいずれも,本願意匠のようにコンテンツアイコンの上側の一部のみが表示される態様を示すものではない。

本願意匠は,使用者が,本願意匠の画面においてコンテンツを選択する操作を行うのではなく,本願意匠の画面において操作した後,他の画面に遷移したときに全体が表示されるであろうコンテンツアイコンが待機していると認識する画像である。
これに対して,引例意匠3は,意匠に係る物品の説明及び各部名称を示す参考正面図から明らかなように,画像選択部を操作して画像表示部に選択した画像を表示させるものである。また,引例意匠4及び5は,アイコン列から選択された1つのアイコンが他よりも大きく表示されるもので,やはりアイコン列を操作して画像を選択するものである。つまり,これらの画像はいずれも,アイコンを直接操作することを目的としているものである。したがって,これらの引例意匠3ないし5は,本願意匠とは操作のコンセプトが全く異なる画像であり,これらの引例意匠3ないし5に基づいて本願意匠のように両端の操作ボタンを一部欠けて表すようにすることを当業者が容易に想到することはできない。

3.むすび
以上のように,引例画像1及び引例意匠1ないし5にはいずれも本願意匠のような態様が表れておらず,したがって,これらの画像及び意匠をどのように組み合わせたとしても,当業者が本願意匠を容易に想到することができたとは到底考えられない。
従って,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当し登録を受けることができないとする原査定を取り消し,これを登録すべきものとする,との審決を求める。

第4 当審の判断
請求人の主張を踏まえ,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,意匠の創作容易性について,本願意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様について,それらの基礎となる構成,具体的態様などが本願出願前に公知・周知であったか,それらの構成要素を,ほとんどそのままか,あるいは,当該分野においてよく見られるところの多少の改変を加えた程度で,周知の創作手法であるところの単なる組合せ,構成要素の全部又は一部の単なる置換えなどがされたに過ぎないものであるか否かを検討する。

1.本願意匠
本願意匠は,第1に述べたとおりのものである。
すなわち,本願意匠に係る物品は「音声映像記録再生機」で,例えば,ゲームや音楽(音声を含む。),映像(静止画,動画を含む。),電子書籍(電子版の新聞・雑誌および電子コミックを含む。),様々な機能を実行するアプリケーション等のコンテンツの記録や起動,再生等を行うために使用される物品である。
画像図に表された画像は,本願意匠に係る物品「音声映像記録再生機」が有する様々な機能を発揮できる状態にするためのメニュー画面であり,参考図において,メインメニューボタンの下方,画面下端に横一列に表されているのは,それぞれ待機中の四角形のコンテンツアイコンであり,メインメニューボタンの操作によって全部が表れるコンテンツアイコンの一部が表示された状態のものである。
(なお,ここ(第4の項)でいう「コンテンツアイコン」とは,コンピュータや音声映像記録再生機などの電子機器において表示画面上に表れる操作指示をして,再生するコンテンツを選択等するために,そのコンテンツの内容を象徴する,あるいは分かりやすく表した,記号化した図形や絵文字,図像,映像などを表したものを指すものとする。)

本願意匠部分の形態は,
(A)横長長方形の表示画面の下端全幅に,待機中の9個のコンテンツアイコンの上方部を,相互にごく細い余地部を置き,全てを同高とした横一列の帯状に配列した構成で,
(B)コンテンツアイコンは,左右両端以外のものは,横の長さが縦の長さの約1.3倍の横長長方形として,左端の1個は横の長さが縦の長さの約1.1倍の横長長方形として,右端の1個は正方形として,それぞれ表示画面に表れている態様である。

2.引例画像及び引例意匠
引例画像1及び引例意匠1ないし同5は,表示画面下端付近に横一列に略矩形の操作区画(ボタン)を並べることが本願出願前よりごく一般的に行われていたことの例として原審が示したものであり,そのうち,引例意匠3ないし同5は,画面の左端,右端の操作区画(ボタン)を一部のみ表れるように配置することが本願出願前から行われていたことを示す例でもある。
各引例画像及び引例意匠における該部の構成,具体的態様等は,以下のとおりである。

(1)引例画像1
(ア)横長長方形の表示画面の下端全幅に,19個の操作区画を,全てを同高として横一列に連接して帯状に配置した構成で,
(イ)各操作区画は,同形同大の略正方形区画であり,中央の7区画を実線で,左右各6区画ずつを破線で,それぞれ表した態様である。

(2)引例意匠1
(カ)横長長方形の表示画面の下端略全幅に,6個の操作ボタンを,左右端及び相互にごく細い余地部を置き,全てを同高とする横一列の帯状に配列した構成であり,
(キ)操作ボタンは,全て同形同大で,横の長さが縦の長さの約1.6倍の横長長方形で,それぞれ中央部に,意匠の構成要素ではないが操作内容に関する文字が表された態様である。

(3)引例意匠2
(サ)横長長方形の表示画面の下端全幅に,6個の選択ボタンを,相互にごく細い余地部を置き,全てを同高とする横一列の帯状に配列した構成であり,
(シ)操作ボタンは,全て同形同大で,横の長さが縦の長さの約3.1倍で,上方は角丸とした略横長長方形であり,それぞれ中央部に操作内容を示す模様が表された態様である。

(4)引例意匠3
(タ)縦長長方形の表示画面の下端付近全幅に,6個の画像選択部を,左端部,下端部及び相互にごく細い余地部を置き等間隔に,全てを同高とする横一列の帯状に配列した構成で,
(チ)画像選択部のうち,右端以外のものは,画面に同形同大の正方形として表れており,右端のものは,画面の右端までの縦長長方形として,表れている態様である。

(5)引例意匠4
(ナ)横長長方形の表示画面の下端付近全幅に,7個の操作用図形を横一列に連接して帯状に配置した構成で,
(ニ)左右端を除く図形を,同形同大で横の長さが縦の長さの約1.4倍の横長長方形とし,左端は,前記横長長方形図形と相似形でひとまわり大きな横長長方形図形として横帯状部の上方向にやや突出させ,右端には,中央の横長長方形図形と同高で,その横の長さを縦の長さの約7分の1としたごく細幅の縦長長方形図形が表れている態様である。

(6)引例意匠5
(ハ)横長長方形の表示画面の下端付近全幅に,12個の操作区画を横一列に連接して略倒紡錘形状に配置した構成で,
(ヒ)右端以外の操作区画は,それぞれ略同形の横長長方形で,選択した区画を最大として,この最大区画の左右両脇から左右端にかけて次第に各区画の大きさを小さくし,右端の区画は略正方形に表れている態様である。

3.本願意匠の創作について
本願意匠の(A)の構成,すなわち,横長長方形の表示画面の下端全幅に,待機中の9個のコンテンツアイコンの上方部を,相互にごく細い余地部を置き,全てを同高とした横一列の帯状に配列した構成についてみると,引例画像1(ア)において,横長長方形の表示画面の下端全幅に,複数の操作区画を,全てを同高とした横一列の帯状に配列した構成が見られ,また,引例意匠1(カ)において,横長長方形の表示画面の下端略全幅に,複数の操作ボタンを,相互にごく細い余地部を置き,全てを同高とする横一列の帯状に配列した構成が見られ,引例意匠2(サ)において,横長長方形の表示画面の下端全幅に,複数の選択ボタンを,相互にごく細い余地部を置き,全てを同高とする横一列の帯状に配列した構成が見られることから,横長長方形の表示画面の下端全幅に,複数の操作区画(ボタン)を,相互にごく細い余地部を置き,全てを同高とした横一列の帯状に配列した構成とすること自体は容易であり,その複数の区画にコンテンツを象徴するアイコンを表示することも,この種物品の表示画面に表される操作用の画像としては普通に見られるありふれたことであり,また,この種物品の表示画面に表される操作区画(ボタン)を多寡様々に表し,その数を増減することも,ごく普通に行われていることに鑑みれば,コンテンツアイコンの個数を9個としたこともごく普通の範疇であるから,本願意匠(A)の構成において,横長長方形の表示画面の下端全幅に,9個のコンテンツアイコンを相互にごく細い余地部を置き,全てを同高とした横一列の帯状に配列した構成は,容易に想起しうると言える。
しかしながら,本願意匠の9個のコンテンツアイコン全てが,直ちに操作するものではない待機中のものであり,横長長方形の表示画面にはそのコンテンツアイコンの上方のみを表示しているという態様については,引例画像1及び引例意匠1ないし同5のいずれにも表されていない。
すなわち,各引例のうち,画面下端に操作区画(ボタン)が表されているのは引例画像1及び引例意匠1,同2であるところ,引例画像1については,その操作区画に,本願意匠と同様に各コンテンツの画像等の表示対象の上方のみを表すものかどうかは不明であり,引例意匠1及び引例意匠2については,その中央に表れている文字や図形によれば,表示対象の全体が表されているものであると認められるから,いずれの引例にも,待機中のコンテンツアイコンの上方部のみを横長長方形の表示画面の下端に表した構成態様は認められない。
本願意匠の(A)の態様のうちの,コンテンツアイコン全てが,待機中のものであり,横長長方形の表示画面にはそのコンテンツアイコンの上方のみを表示しているという態様は,本願意匠の特徴的な着想によるものと言うべきであり,引例画像1及び引例意匠1ないし同5に基づき容易に想起しうるものとは言えない。

本願意匠の(B)の態様,すなわち,コンテンツアイコンは,左右両端以外のものは,横の長さが縦の長さの約1.3倍の横長長方形として,左端の1個は横の長さが縦の長さの約1.1倍の横長長方形として,右端の1個は正方形として,それぞれ表示画面に表れている態様については,複数の操作区画を表示画面の横幅全幅に表示する際に,画面端部に位置する区画の横幅のみ,他の区画の横幅より狭く表すことは,引例意匠3(チ),引例意匠4(ニ)及び引例意匠5(ヒ)において右端の操作区画のみ,他の区画の横幅より幅狭に表している態様が公然知られているように,この種物品分野の操作画像においてはごく普通であり,また,この種操作画像の創作においては,同形同大のコンテンツアイコンを一列に帯状に並べて配置することや,こうして一列に並べたアイコンが表示画面に収まらないときに,画面の左右端のアイコンをそれぞれ左側及び右側の一部が欠けたように表し,全部が表示されていないアイコンが存在することを示すことはごく普通に行われていることに鑑みると,本願意匠のコンテンツアイコンの左右両端に位置するものが共に他より横幅が狭く表されていることについて格別の創意は要しないと言える。また,本願意匠の表示画面に表れた各コンテンツアイコンの縦横比についても,常套的な比率変更等を行えば足りるから,格別の創意は要しないと言える。したがって,本願意匠の(B)の態様は,格別の創意を要することなく容易に想起しうるものであると言える。

すると,本願意匠は,その態様(B)については,容易に想起しうると言えるものの,態様(A)は,本願意匠の特徴的な着想によるものと言うべきであり,引例画像1及び引例意匠1ないし同5の存在を前提として,容易に導き出せるものとまではいえない。
本願意匠の態様は,存在する公知の態様に多少の改変を加えた程度のものではなく,当業者であれば容易に創作することができたということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができた意匠に該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2015-10-20 
出願番号 意願2014-3168(D2014-3168) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H6)
最終処分 成立 
前審関与審査官 木村 智加 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 清野 貴雄
本多 誠一
登録日 2015-11-20 
登録番号 意匠登録第1540574号(D1540574) 
代理人 弟子丸 健 
代理人 辻居 幸一 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 鈴木 博子 
代理人 井野 砂里 
代理人 倉澤 伊知郎 
代理人 松下 満 
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