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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1308363 |
審判番号 | 不服2015-12136 |
総通号数 | 193 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-01-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-06-26 |
確定日 | 2015-12-03 |
意匠に係る物品 | エアーコンディショナー用リモートコントローラー |
事件の表示 | 意願2014- 15282「エアーコンディショナー用リモートコントローラー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成26年(2014年)7月14日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「エアーコンディショナー用リモートコントローラー」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付された図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁普及支援課が平成24年(2012年)5月29日に受け入れた,2012年5月29日発行の米国特許商標公報に掲載された燃焼器具用リモートコントローラー(登録番号D-660809)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH24310860号)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「エアーコンディショナー用リモートコントローラー」で,引用意匠は,「燃焼器具用リモートコントローラー」であるが,両意匠は,いずれも空調機器に用いられるリモートコントローラーであり,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。 なお,両意匠を同じ方向から対比するため,引用意匠を本願意匠の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定・対比する。 (1)共通点 (A)全体を,正面視隅丸縦長長方形状とする偏平な略直方体形状とし,正面パネル全体を平坦面の透光部から成るタッチパネル等の操作部とした点, (B)周側面を等幅の帯状の平坦面とし,正面側及び背面側の縁部には概略面取り状の傾斜部を設けている点, (2)差異点 (ア)本願意匠は,背面側の形状を,正面側と同様の細幅で僅かな面取りを縁部に均一に施した略平坦面としているため,側面視形状が上下左右対称であるのに対して,引用意匠は,背面側にのみ面取りを施し,その上面側の面取りの幅を,他の面取りの幅の約3倍程度とした僅かな曲面状とし,側面視形状が上下左右ともに非対称である点, (イ)正面視した縦横比が,本願意匠は,約3:1であるのに対して,引用意匠は,約2:1である点, (ウ)背面パネルの下方寄りの左右中央において,本願意匠は,底面部に接するように縦長長方形状の蓋部を設けているのに対して,引用意匠は,何も設けていない点, において主な差異が認められる。 4.類否判断 そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成であるが,全体を,正面視隅丸縦長長方形状とする偏平な略直方体形状とし,正面パネル全体を平坦面の透光部から成るタッチパネル等の操作部とした態様は,この種の物品分野においては両意匠以外にも既に見られるもので,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。 次に,共通点(B)についても,周側面を等幅の帯状の平坦面とし,正面側及び背面側の縁部には概略面取り状の傾斜部を設けた態様が共通している点については,この種の物品分野においては両意匠以外にも普通に見られるもので,ありふれた態様といえるもので,さほど特徴のない態様といえるものであり,両意匠のみに共通する態様とはいえず,また,概略面取り状の傾斜部を設けた点も大雑把に捉えたものであって,後述するとおり,詳細には相違があるものであるから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 そして,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる視覚的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。 すなわち,まず,差異点(ア)の態様については,正面側と背面側の縁部に細幅の面取りを施して側面視形状を上下左右対称とした本願意匠と,背面側にのみ面取りを施して上下左右非対称とした引用意匠とでは,全体の立体形状が異なり,別異の印象を起こさせるものであり,また,背面側の態様は,正面側の態様と比べると目に触れにくい部分の態様ではあるが,使用者が手にとって操作するリモートコントローラーという物品の性質上,背面側は手に触れる部分であり,背面側の形状を略平坦面とした本願意匠と上面側の面取りの幅を他の面取りの幅の約3倍程度とした僅かな曲面状として面取り状を目立たせた引用意匠とでは,使用者が受ける印象が明らかに異なり,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。 次に,差異点(イ)の縦横比については,リモートコントローラーの縦横比には様々なものがあるが,縦長である本願意匠は,スリムな印象を与え,幅広の引用意匠は,看者にどっしりとした印象を与えているから,その印象は明確に異なるもので,その差異は無視することができず,前記差異点(ア)の差異と相俟って,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。 そして,差異点(ウ)の蓋部の有無については,いずれもこの種のリモートコントローラーの分野においては,部分的でありふれた態様といえるものであり,その差異が両意匠の類否判断に影響を与えるものとはいえない。 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2015-11-20 |
出願番号 | 意願2014-15282(D2014-15282) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 智加、鐸木 芳実 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
斉藤 孝恵 久保田 大輔 |
登録日 | 2015-12-18 |
登録番号 | 意匠登録第1542141号(D1542141) |
代理人 | 松原 美代子 |
代理人 | 原田 雅美 |
代理人 | 川越 弘 |
代理人 | 渡邉 知子 |