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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 C1
管理番号 1309597 
審判番号 不服2015-11486
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-17 
確定日 2015-12-22 
意匠に係る物品 一組の自動車用フロアマットセット 
事件の表示 意願2014-9925「一組の自動車用フロアマットセット」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成26年(2014年)5月8日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「一組の自動車用フロアマットセット」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,本願意匠に係るこの種物品(自動車用フロアマット)の分野においては,運転席と助手席の床面の形状により,各フロアマット片を種々組み合わせて敷設することは一般に行われているものであるところ,この意匠登録出願の意匠は,本願の出願前から公然知られた自動車用フロアマット(公知意匠1)をほとんどそのまま表し運転席側床上に配置し,これまた本願の出願前から公然知られた自動車用フロアマット(公知意匠2)をほとんどそのまま表し助手席側床上に配置して,一組の自動車用フロアマットセットとしたまでに過ぎないので,容易に意匠の創作ができたものと認められる,というものである。

公知意匠1
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1272492号の意匠
上段右側の自動車用フロアマットの意匠

公知意匠2
特許庁意匠課が2000年10月19日に受け入れた
Original Accessories Origin
第3頁所載
一組の自動車用フロアマットの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC12008140号)
左側下方の自動車用フロアマットの意匠

3.当審の判断
以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

(1)本願意匠の形態
本願意匠は,「第1 本願意匠」で述べたとおりのものであって,右側に運転席用マット,左側に助手席用マットを配置した,平板なシート状部材から成る左右2つのマットで構成した,一組のセットである。

ア.運転席用マット
平面視によると,運転席用マットは,(ア)本体部形状を略四角形状として,その本体部における上辺の中央やや左に略正方形状の突出部を一つ設けたものであり,具体的な構成態様としては,(イ)右辺は,下端角部を残して略下半分に略長方形状の短くて深い切欠き部を設け,その上側にへこみ円弧と膨らみ円弧から成る緩やかでごく細長いS字状の,角度が大きい上すぼまりの傾斜部を設けており,(ウ)左辺は,上端から約5分の3の位置まで略垂直に下り,そこから扁平(へんぺい)な倒台形状に突出させ,(エ)下辺は,略中央に右肩上がりの傾斜部を形成し,(オ)円形の取付け部を,下辺の左右角部近傍に2つ設けている。

イ.助手席用マット
平面視によると,(ア)本体形状を略縦長長方形状としたものであり,具体的な構成態様としては,(イ)上辺は,右端約4分の1の部分を薄く斜めに切欠いた切欠き部を設け,(ウ)右辺は,大部分で,4本のまっすぐな辺をもって,大きな弓なりの凹部を形成し,その一番上の辺部と上辺切欠き部の辺にて本体右上角を傾斜した直角に形成したもので,下端が,上端よりそれほど突出しない構成とし,(エ)左辺は,上半部を内側に若干湾曲させた態様として,(オ)縁部の態様は,縁部と本体上面との間に段差が無い構成にし,(カ)本体表面の態様については,何ら設けないものとしている。

(2)公知意匠1の形態
平面視によると,(ア)本体部形状を略四角形状として,その本体部における上辺の中央やや左に略正方形状の突出部を一つ設けたものであり,具体的な構成態様としては,(イ)右辺は,下端角部を残して下半分強に略長方形状の長くて浅い切欠き部を設け,その上側に略中央で本の僅か屈曲させて垂下した,ほとんど垂直に近い角度の傾斜部を設け,(ウ)左辺は,正確には下側が僅かに張り出しているが,おおむね全体が垂直辺で,その中央に3分の1弱の斜め台形状に扁平切欠き部を設けており,(エ)下辺は,やや右寄りに小さな切欠き部を設け,(オ)円形の取付け部を,下辺のやや中央寄りに2つ設けている。

(3)公知意匠2の形態
(ア)本体形状を略縦長長方形状としたものであり,具体的な構成態様としては,(イ)右辺は,上下端部を除いて,大部分を緩やかで浅い曲線によって凹部を形成し,上端は垂直辺であるため,水平の上辺とで本体右上角を直角に形成したものであって,下端が,上端より突出した構成とし,(ウ)左辺は,上半部を内側に若干湾曲させた態様として,(エ)縁部の態様は,毛足が長い本体を縁かがりして,縁部に段差を設けている態様とし,(オ)本体表面の態様については,太幅の縦じま模様が表れ,下側中央に横長長方形状の凹部及び下辺左右角部に極小円形部を設けている。

(4)本願の運転席用マットと公知意匠1の形態の相違点
具体的構成態様において,
(ア)左辺の態様につき,本願意匠は,上端から約5分の3の位置まで略垂直に下り,そこから扁平な倒台形状に突出しているのに対して,引用意匠は,正確には下側が僅かに張り出しているが,おおむね全体が垂直辺で,その中央に3分の1弱の斜め台形状に扁平切欠き部を設けている点,
(イ)右辺の態様につき,(イ-1)本願意匠は,上側の傾斜部が約2分の1の位置まであるのに対して,引用意匠は,2分の1の位置まで至らない点,(イ-2)上側の傾斜部につき,本願意匠は,へこみ円弧と膨らみ円弧から成る緩やかでごく細長いS字状の傾斜角度が大きいものであるのに対して,引用意匠は,略中央で本の僅か屈曲させて垂下した,ほとんど垂直に近い傾斜角度である点,(イ-3)切欠き部につき,本願意匠は,短く深いのに対して,引用意匠は,長く浅い点,(ウ)下辺につき,本願意匠は,略中央に右肩上がりの傾斜部を形成しているのに対して,引用意匠は,やや右寄りに小さな切欠き部を設けている点,(エ)円形の取付け部の配置につき,本願意匠は,左右角部近傍であるのに対して,引用意匠は,やや中央寄りである点,
で主な相違が認められる。

(5)本願の助手席用マットと公知意匠2の形態の相違点
具体的構成態様において,
(ア)上辺につき,本願意匠は,右端約4分の1の部分を薄く斜めに切欠いた切欠き部を設けているのに対して,引用意匠は,そのような切欠き部を設けていない点,(イ)上辺右側の角部の位置につき,前記(ア)により,本願意匠は,上辺よりもやや下方であるのに対して,引用意匠は,上辺と同じ高さである点,(ウ)右辺につき,本願意匠は,4本のまっすぐな辺をもって,大きな弓なりの凹部を形成し,その一番上の辺部と上辺切欠き部の辺にて本体右上角を傾斜した直角に形成したものであって,下端が,上端よりそれほど突出していないのに対して,引用意匠は,上下端部を除いて,大部分を緩やかで浅い曲線によって凹部を形成し,上端は垂直辺であるため,水平の上辺とで本体右上角を直角に形成したものであって,下端が,上端より突出したものである点,(エ)縁部の態様につき,本願意匠は,縁部と本体上面との間に段差が無いのに対して,引用意匠は,毛足が長い本体を縁かがりしているために,縁部に段差が見受けられる点,(オ)本体表面の態様につき,本願意匠は,何ら設けていないのに対して,引用意匠は,太幅の縦じま模様が表れ,下側中央に横長長方形状の凹部及び下辺左右角部に極小円形部を設けている点,
で主な相違が認められる。

(6)本願意匠の創作の容易性について
この種物品において,公知の運転席用マットと,公知の助手席用マットを,単に組み合わせて一組の自動車用フロアマットセットとしたものであれば,その意匠の創作は容易であると認められるが,本願の運転席用マットと公知意匠1には,上記(4)に記載の相違点が有り,本願の助手席用マットと公知意匠2には,上記(5)の相違点が有って,それらの相違が僅かなものとは言えない。
よって,本願意匠は,公知意匠1及び同2をほとんどそのまま組み合わせたものとは認めることができず,公知の形態に基づいて容易に創作ができたものということはできない。

(7)結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-12-07 
出願番号 意願2014-9925(D2014-9925) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (C1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 内藤 弘樹 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 橘 崇生
刈間 宏信
登録日 2016-01-08 
登録番号 意匠登録第1543280号(D1543280) 
代理人 牛木 護 
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