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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 B1
管理番号 1311898 
審判番号 不服2015-16053
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-31 
確定日 2016-03-04 
意匠に係る物品 アンダーシャツ 
事件の表示 意願2014- 19310「アンダーシャツ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,平成26年(2014年)9月2日に出願された意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付された図面代用写真によれば,意匠に係る物品を「アンダーシャツ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書及び願書に添付された図面代用写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)


第2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には以下のとおりである。

アンダーシャツの分野においては,身幅と着丈の寸法や首回りと袖口の形状などを着用者の体型や嗜好に合わせて適宜の態様としたものが,例えば,意匠1,意匠2,意匠3,意匠5に見られるように,本願出願前から公然知られている。また,裁断箇所がほつれない生地を使用して,首回りや袖口や裾の端縁に加工を施さずに薄手に仕上げることも,例えば,意匠1,意匠6に見られるように,本願出願前から公然行われている。さらに,意匠1や意匠4の意匠に見られるように,両脇に各1本ずつ,縦方向に接合部を設けることも本願出願前から公然知られている。
本願意匠は,全体の基本形状をありふれたタンクトップ形のものとし,端縁に特段の加工を施さずに前身頃と後ろ身頃の接合部を左右両脇に形成したにすぎないので,当業者であれば容易に創作出来たものと認められる。

意匠1(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1294803号の意匠
(意匠に係る物品:タンクトップ)

意匠2ないし4(別紙第3参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2005-226175
【図2】に表された実施形態(D)のタンクトップの意匠(意匠2)
同(E)のタンクトップの意匠(意匠3)
同(F)のタンクトップの意匠(意匠4)

意匠5(別紙第4参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2007年 5月 8日
受入日 特許庁意匠課受入2007年 5月11日
掲載者 グンゼ株式会社
表題 グンゼCFA100
掲載ページのアドレス http://www.gunze.co.jp/cfa100/iceecool/item_03.html
に掲載された「インナー」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ19009851号)

意匠6(別紙第5参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2007年 3月18日
受入日 特許庁意匠課受入2007年 4月13日
掲載者 グンゼ株式会社
表題 SEEK
掲載ページのアドレス http://www.gunze.co.jp/seek/products/tech/ee3115.html
に掲載された「アンダーシャツ」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ18030894号)


第3 請求人の主張の要旨

請求人は,要旨以下のとおり理由を述べ,本願意匠は登録すべきものである旨主張している。

1 本願意匠の創作性について
本願意匠のようなタンクトップ形のアンダーシャツについては,薄着となる夏場等に着用されることが多い実情にある。また,この種のアンダーシャツは,形状や袖口,前後身頃の接合部分等の縫製具合によって,上衣越しの透け具合,アンダーシャツのラインの浮かび上がり等が大きく左右されるだけでなく,着心地等が大きく左右されることになるため,需要者,特に女性には,着用時の着心地や体型等を考慮して,接合部の態様,袖口等の処理方法や着用時のシルエット等を仔細に観察・評価して選定購入する実情にもある。係る実情に鑑みて,本願意匠の創作者は,需要者(購入者)が一見して,すっきりとしたボディラインでフィット感に優れて着心地が良く,上衣にラインが浮かび上がらないと把握可能なアンダーシャツを提供することをコンセプトとして本願意匠をデザイン創作したのであり,本願意匠の創作性は高く評価されるべきものである。

2 意匠法第3条第2項の適用について
意匠法第3条第2項の適用において,出願意匠が寄せ集めの意匠,又は寄せ集めた意匠であると判断するためには,寄せ集める複数の公然知られた意匠の一部分同士を組み合わせたもの,又は置換する公然知られた意匠の独立した構成要素同士を置き換えて構成したものが出願意匠とほぼ同一であることが必須要件であるだけでなく,本願意匠が当業者にとってありふれた手法によって創作された事実を要すると共に,出願意匠の属する分野をふまえた上で検討する必要がある。

本件において上記の判断手法をとるとするのであれば,意匠1乃至意匠6,意匠2乃至4が記載された文献の図2に表されたキャミソール(1,2)の意匠,(拒絶査定において言及された)意匠登録第1262944号の意匠等の一部分同士を組み合わせたもの,独立した構成要素同士を置き換えて構成したものが本願意匠とほぼ同一である必要がある。
確かに,裁断箇所がほつれない生地を使用して,首回りや袖口や裾の端縁に加工を施さずに薄手に仕上げること(意匠1及び意匠6),前身頃に形成された襟ぐり形状をU字状とすること,袖口下端から裾に掛けての形状が緩やかな凹曲線状とすることは本願出願前から行われている。
しかし,両脇下の接合部について,本願意匠は,前身頃が内側で後身頃が外側に重なった状態であり,後身頃の生地端部が外側から視認できるのに対し,意匠1や登録第1262944号の意匠は,両脇下の接合部が縫製されてなるもので,前後身頃の生地端部は視認できず,意匠4は,前後身頃の突き合わせた上から熱融着テープを当接した態様で,前後身頃とは別体のテープが視認できるものであるため,本願意匠と意匠1,登録第1262944号の意匠及び意匠4とでは,両脇下の接合態様を明らかに相違するものである。なお,その他の例示意匠には,両脇下の接合態様が開示されていない。
また,肩部の接合部について,本願意匠は,背面側寄りの位置で前身頃が内側で後身頃が外側に重なった状態で形成されており,後身頃の生地端部が外側から視認できるのに対し,審査官が例示した意匠や登録第1262944号の意匠等には同様の構成(接合態様)は一切開示がない。
しからば,本願意匠の両脇下の接合部及び肩部の接合部の態様とまったく形状や態様が異なる若しくは開示がない意匠の一部同士を組み合わせても,独立した構成要素同士を置き換えて構成しても本願意匠とほぼ同一になることはあり得ず,本願意匠の創作性が否定されるものでないことは明らかである。

さらに,本願意匠が創作容易な意匠であるかの判断は,アンダーシャツの意匠の属する分野をふまえた上で,本願意匠を創作することが当業者にとってありふれた手法によって創作されたものであるか検討する必要がある。
この種アンダーシャツの分野においては,身幅と着丈の寸法や首回りと袖口の形状などを着用者の体型や嗜好に合わせて適宜の態様にデザインする実情にあるが,単純に複数の公知意匠から部分的にデザインを抽出して創作するものではなく,需要者(購買者)が関心を寄せる着用時のシルエットや接合部の態様,袖口等の処理方法を考慮して,全体のバランス等に注意を払ってデザインされてなる実情にある。また,この種アンダーシャツの接合部は,需要者(購買者)が大きな関心を持つ着用時の着心地等に影響する部位であり,特に,接合部の強さや肌触りには強い関心を寄せているため,着心地等に大きく影響する接合部の態様やシルエットには細心の注意を払ってデザインされてなる実情にもある。
しからば,上記実情にあるアンダーシャツの意匠の属する分野をふまえれば,両脇下及び肩部における接合部の態様について具体的に表れていない意匠1等に基づいて,本願意匠のように,両脇下及び肩部において生地端部が視認できる従来には見られない態様で,かつ,両脇下のシルエットが袖口下端から裾に掛けて,曲率が大きな凹曲線形状を呈するデザインに創作することが当業者にとってありふれた手法とするには到底無理があり,当業者が容易に本願意匠を創作することができるはずはなく,本願意匠の創作性が否定されるものでないことは明らかである。特に,本願意匠は,前身頃が内側で後身頃側が外側に重ねた態様であるため,接合部が2重構造となり,着用していない状態では両脇下が立体的に起立した状態となることで,より一層,接合部が接着された態様であることと,凹曲線形状からなるシルエットが際立つものであり,係る態様についても一切表れていない意匠1等に基づいて,本願意匠の創作性を否定する判断はあまりにも強引である。
仮に意匠1等から本願意匠を創作するにしても,両脇下及び肩部の接合位置や両脇下のシルエットのくびれ具合等は千差万別で多種多様に選択できるため,当業者が意匠1等を知ったとして,多様なデザイン選択が可能な中から本願意匠のようにデザイン創作することは一意に決まるものではなく,本願意匠が当業者にとってありふれた手法によって創作された意匠であるとは到底考えられない。また,当業者にとってありふれた手法であると認められる顕著な事実もない以上,本願意匠が寄せ集めの意匠である,置換の意匠である等として,当業者であれば容易に創作出来たものであるとすることはあまりにも強引な判断であり,本願意匠の創作性が否定されるものでないことに疑う余地はない。

3 拒絶査定に対する反論
審査官は,「肩部と両脇下が前身頃が内側で後ろ身頃が外側に重なった状態であり,後ろ身頃の生地端部が一定幅の面状をなしているとする態様は,出願当初の願書及び添付図面の記載を仔細に観察しても具体的に認識することができない」と認定したが,願書に添付したA-B部拡大図から後身頃の生地端部は看取できるため,前身頃が内側で後ろ身頃が外側に重なった状態である態様は仔細に観察せずとも認識できることは明らかであり,背面図等から肩部においても,後身頃の生地端部は看取できるため,前身頃が内側で後ろ身頃が外側に重なった状態であることは認識できる。
また,A-B部拡大図だけでなく,斜視図,平底面図及び左右側面図から,前後身頃の接合部が2重構造で,両脇下が立体的に起立した状態であることも看取できるため,「本願意匠においては両脇下の外側にのみ各1本の縦筋が形成されていると認定するほかないものである」との認定はあまりにも強引である。
従って,本願意匠についての,審査官の認定には到底無理があり,本願意匠の創作性を否定する理由になり得ないことは明らかである。

また,身体の背中や腹等に比して肌が敏感である脇腹付近と接する左右の両脇下部分の接合部を前後身頃の縫製でなく接着とすることは,左右の両脇下部分が2重構造となることで,接合部が接着されてなることが強調されてなると共に,着用時に体にフィットして着心地の良いアンダーシャツであると印象付けられ,上衣にラインが浮かび上がらない,すっきりとしたボディラインを得ることが実現でき,折り畳んだ状態,ハンガーに吊下げた状態等であっても,立体的に起立して左右の両脇下部分のシルエットが維持されることにも鑑みれば,単なる接合目的で衣類を重ねはぎするものではなく,着心地やシルエットを維持すること等を考慮して創作された接合部の創作性は高く評価されるべきであり,審査官の認定には到底納得できるものではない。


第4 当審の判断

1 意匠の認定
意匠1ないし意匠6の認定にあたっては,本願意匠の図面の向きとあわせて記載する。

(1)本願意匠
1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「アンダーシャツ」である。

2)形態
ア 基本的構成態様
全体が,前身頃の襟ぐりを深くした袖の無い,いわゆるタンクトップタイプのものである。

イ 具体的態様
(ア)袖口下端から裾に掛けての形状を緩やかな凹曲線状として,ウエスト部分を括れさせたものとし,
(イ)前身頃の襟ぐりを,横に広い正面視略U字状とし,
(ウ)襟ぐり,袖口及び裾の端縁を端始末不要の切断端とし,
(エ)両脇下の前身頃と後身頃の接合部については,前身頃を内側,後身頃を外側に重ねて接着し,後身頃の生地端部が,やや正面側の位置にまで表れており,
(オ)全体の色彩を,暗調子の単一色としている
ものである。

なお,請求人は,審判請求書において,「肩部の接合部について,本願意匠は,背面側寄りの位置で前身頃が内側で後身頃が外側に重なった状態で形成されており,後身頃の生地端部が外側から視認できる」と主張しているが,願書に添付された図面代用写真においては,肩部の接合部の位置及び形態が不鮮明で具体的でなく,また,脇下の接合部を表したA-B部拡大図のような肩部の接合部を表した拡大図等がないため,肩部の接合部の具体的な位置及び形態を認めることはできない。

(2)意匠1
意匠1の意匠に係る物品は,「タンクトップ」であって,その基本的構成態様は,全体が,前身頃の襟ぐりを深くした袖の無い,いわゆるタンクトップタイプのものとし,具体的態様を,袖口下端から裾に掛けての形状を略直線状とし,前身頃の襟ぐりを,正面視略二次曲線状とし,襟ぐり,袖口及び裾の端縁を端始末不要の切断端とし,両脇下の前身頃と後身頃の接合部については,側面の前後方向略中央の位置に表れており,全体の色彩を明調子の単一色としているものである。

(3)意匠2
意匠2の意匠に係る物品は,「シャツ」であって,その基本的構成態様は,全体が,前身頃の襟ぐりを深くした袖の無い,いわゆるタンクトップタイプのものとし,具体的態様を,袖口下端から裾に掛けての形状を緩やかな凹曲線状として,ウエスト部分を括れさせたものとし,前身頃の襟ぐりを,正面視略二次曲線状とし,肩の前身頃と後ろ身頃の接合部の表側に略帯状の熱融着テープが設けられたものであり,全体の色彩を特定していないものである。なお,襟ぐり,袖口及び裾の端縁が端始末不要の切断端としているか否か,並びに両脇下の前身頃と後身頃の接合部の位置及び形態は不明である。

(4)意匠3
意匠3の意匠に係る物品は,「シャツ」であって,その基本的構成態様は,全体が,前身頃の襟ぐりを深くした袖の無い,いわゆるタンクトップタイプのものとし,具体的態様を,袖口下端から裾に掛けての形状を緩やかな凹曲線状として,ウエスト部分を括れさせたものとし,前身頃の襟ぐりを,正面視略二次曲線状とし,肩の前身頃と後ろ身頃の接合部の裏側に略帯状の熱融着テープが設けられたものであり,全体の色彩を特定していないものである。なお,襟ぐり,袖口及び裾の端縁が端始末不要の切断端としているか否か,並びに両脇下の前身頃と後身頃の接合部の位置及び形態は不明である。

(5)意匠4
意匠4の意匠に係る物品は,「シャツ」であって,その基本的構成態様は,全体が,前身頃の襟ぐりを深くした袖の無い,いわゆるタンクトップタイプのものとし,具体的態様を,両脇下の前後方向略中央に位置する前身頃と後身頃の接合部の表側に帯状の熱融着テープが設けられたものであり,全体の色彩を特定していないものである。なお,袖口下端から裾に掛けての正面視形状,前身頃の襟ぐりの正面視形状並びに襟ぐり,袖口及び裾の端縁が端始末不要の切断端としているか否かは不明である。

(6)意匠5
意匠5の意匠に係る物品は,「アンダーシャツ」(当審注:原査定の拒絶の理由においては「インナー」とされているが,当審においては,意匠5の意匠に係る物品は,本願意匠と同じ「アンダーシャツ」であると認める。)であって,その基本的構成態様は,全体が,前身頃の襟ぐりを深くした袖の無い,いわゆるノースリーブタイプのものとし,具体的態様を,袖口下端から裾に掛けての具体的な正面視形状は不明ではあるものの,少なくともスリムタイプのものとし,前身頃の襟ぐりを,横に広い正面視略U字状とし,襟ぐり,袖口及び裾の端縁を折り返して縫製したものとし,全体の色彩を肌色の単一色としているものである。なお,両脇下の前身頃と後身頃の接合部の位置及び形態は不明である。

(7)意匠6
意匠6の意匠に係る物品は,「アンダーシャツ」であって,その基本的構成態様は,全体が,前身頃の襟ぐりを深くした半袖タイプのものとし,具体的態様を,袖口下端から裾に掛けての具体的な正面視形状は不明ではあるものの,少なくともスリムタイプのものとし,前身頃の襟ぐりを,正面視略二次曲線状とし,襟ぐり,袖口及び裾の端縁を端始末不要の切断端とし,全体の色彩を肌色の単一色としているものである。なお,両脇下の前身頃と後身頃の接合部の位置及び形態は不明である。

2 創作非容易性の判断
以下,本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か,すなわち,本願意匠が,この意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に創作することができたものであるか否かについて検討する。

まず,前身頃の襟ぐりを深くした袖の無い,いわゆるタンクトップタイプのアンダーシャツは,例を示すまでもなく,本願出願前にすでに広く知られているものであるから,本願意匠の基本的構成態様には格別の意匠的特徴を見いだすことはできない。
そして,袖口下端から裾に掛けての形状を緩やかな凹曲線状としてウエスト部分を括れさせたものとすること,前身頃の襟ぐりを,横に広い正面視略U字状とすること,襟ぐり,袖口及び裾の端縁を端始末不要の切断端とすること,及び全体の色彩を,暗調子の単一色とすることは,いずれもアンダーシャツが属する物品分野においては,常套的な態様として広く知られたものであり,本願意匠のこれらの具体的形態にも,格別の意匠的特徴を見いだすことはできず,また,これらの具体的形態の組み合わせは過去にないものだとしても,ウエスト部分の括れの有無,襟ぐりの正面視形状,襟ぐり等の端縁を切断端とするか否か,色彩の調子はいずれも相互に機能的及び形態的関連性はなく,それらの形態を組み合わせた態様は,それらの態様があいまって生じる視覚的効果を意図したものということはできないから,その点についても意匠的特徴があると認めることはできない。

しかし,両脇下の前身頃と後身頃の接合部について,前身頃を内側,後身頃を外側に重ねて接着し,後身頃の生地端部が,やや正面側の位置にまで表れている形態は,本願出願前には見られない形態であり,また,アンダーシャツの接合部の位置は,着用時には可能な限り目立たなくするために,前後方向中央とすることが一般的であるから,後身頃の端縁部の位置を正面側にずらした程度がさほど大きいとはいえないとしても,それはありふれた改変を加えた程度のものとはいうことはできない。

よって,本願意匠は,全体の基本形状をありふれたタンクトップ形のものとし,端縁に特段の加工を施さずに前身頃と後ろ身頃の接合部を左右両脇に形成したにすぎないものであるとはいえないので,当業者であれば容易に創作出来たものと認めることはできない。


第5 むすび

以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-02-18 
出願番号 意願2014-19310(D2014-19310) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (B1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 木本 直美 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 渡邉 久美
久保田 大輔
登録日 2016-03-25 
登録番号 意匠登録第1548480号(D1548480) 
代理人 藤本 昇 
代理人 野村 慎一 
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