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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 D7
管理番号 1311910 
審判番号 不服2015-17209
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-18 
確定日 2016-03-10 
意匠に係る物品 椅子 
事件の表示 意願2014- 3685「椅子」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成26年(2014年)2月24日の意匠登録出願であり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「椅子」とし,形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」ともいう。)を,願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第2 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には以下のとおりである。なお,「(別紙○○参照)」は当審が付したものである。
「この意匠登録出願の意匠は,物品名「椅子」に係るものですが,当該物品分野において,横幅の構成比率を変更することで2人掛け,3人掛け等の複数掛け椅子やソファーにする手法は,本願出願前よりごく一般的に見受けられます(例えば,引用意匠1と引用意匠2)。加えて,左右脚部の中央に脚部1本を付け足して,前後脚を各3本ずつ設けた態様とすることも,本願出願前より普通に行われている,ありふれた手法と認められるところ(例えば,引用意匠3および引用意匠4),この意匠登録出願の意匠は,本願出願前に公然知られたものと認められるソファー(引用意匠1)の意匠にもとづき,ごく一般的な手法によって横幅の構成比率を変更し,さらに,前後脚を本願出願前からありふれた手法によって各3本とした程度に過ぎないので,当業者であれば容易に創作できたものと認められます。

引用意匠1(別紙第2参照)
独立行政法人工業所有権総合情報館が2003年 9月 8日に受け入れた
pen 2003年 9月15日17号
第56頁所載
ソファーの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HA15018636号)

引用意匠2(別紙第3参照)
独立行政法人工業所有権総合情報館が2001年11月13日に受け入れた
室内 2001年11月 1日672号
第84頁所載
いすの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HA13018733号)

引用意匠3(別紙第4参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2006年10月23日に受け入れた
ゼクシィインテリア 2006年12月23日18号
第29頁所載
複数掛け椅子の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HA18029504号)

引用意匠4(別紙第5参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2007年 6月27日に受け入れた
ID▲E▼E FURNITURE COLLECTION 2006
第39頁所載
複数掛け椅子の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC19019308号)」

第3 当審の判断
以下,本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か,すなわち,本願意匠が,この意匠の属する分野における通常の知識を有する者が容易に創作することができたものであるか否かについて検討する。

1 本願意匠
本願意匠の意匠に係る物品は「椅子」であり,本願意匠の形態は,次のとおりである。
(A)全体について
全体は,左右対称状であって,背もたれ,座及び背もたれまで延びた脚フレームから成り,脚部は座を支えるともに,背もたれを固定している。
(B)背もたれの形状について
(B-1)正面視略逆扁平台形状であって,角部がアール状に表されて,下側の角部の方が上側の角部よりもアールがなだらかに表されている。
(B-2)平面視略逆扁平U字形状であって,両側が下端にいくにつれて幅が狭くなっており,端部が弧状に表されている。
(B-3)右側面視略倒縦長台形状であって,角部が丸く表されている。(C)座の形状について
(C-1)正面視ごく扁平な略トラック形状に表されている。
(C-2)底面視略逆扁平台形状であって,角部がアール状に表されて,下側(後方)の角部の方が上側(前方)の角部よりもアールがなだらかに表されている。
(D)脚部の形状について
(D-1)正面側(前方側)の脚フレームは一体に成形され,側面から見て傾いた一本の棒状に表されており,正面視略扁平H字状でその中央下に柱状部が延びた態様を成し,H字状の両側の柱状部の略中央から上が外側に反るように表されている。その両側の柱状部は,上方にいくにつれて径が漸次細くなり,その上端は平面視略倒U字面状の平坦面として表されている。
(D-2)正面側脚フレームの横板は,両側の柱状部を上から約4:3に内分する位置に設けられている。また,横板と両側の柱状部との接合部,及び横板と中央下の柱状部との接合部に形成される内角は,いずれも弧状に表されている。
(D-3)背面側(後方側)の脚部は,左-中央-右の3つの柱状部から成り,それぞれが異なる支持フレームの端部から下に延びており,底面から見て,座の下に設けられている支持フレームは,中央の垂直状フレームと,両側に略H字状に配された傾いたフレームの3つから成る。
(D-4)右側面から見て,背面側の脚部は,右端の柱状部が中央の柱状部よりも右方(後方)になるように構成され,略「く」字状の柱状部が横に連なるように表されている。
(D-5)正面側の両側の柱状部と背面側の3つの柱状部は,いずれも背もたれの上から約1:2に内分する高さまで伸びており,すなわち,背もたれを高さ約2/3の範囲で固定している。

2 創作非容易性の判断
「椅子」の意匠の物品分野において,(A)の全体形状,すなわち,左右対称状であって,背もたれ,座及び背もたれまで延びた脚フレームから成り,脚部は座を支えるともに,背もたれを固定しているものは,引用意匠1ないし引用意匠4に見られるように,本願の出願前に公然知られている。
しかし,引用意匠1においては,背もたれの正面視上端形状左右端寄りが下方に緩やかに傾斜しているので,本願意匠のような正面視略逆扁平台形状ではなく,角部がアール状ではなく角張っている。また,正面側の脚フレームは一体成形ではなく,框状の横板が両側の柱状部を上から約7:8に内分する位置に接合されて,その位置から下方の両側柱状部が略ハ字状に広がっており,脚フレームの中央下には柱状部がない。さらに,引用意匠1には平面形状,側面形状及び底面形状が表されていないので,本願意匠の平面形状,側面形状及び底面形状と対比することは不可である。なお,本願意匠の顕著な特徴ともいうべき,右側面視後方柱状部が横に連なる略「く」字状を呈する構成態様は,引用意匠1の後方柱状部には中央がないので,引用意匠1には表れないことは明らかである。
そうすると,本願意匠の背もたれと脚部の形状については,引用意匠1に基づいて容易に創作できたものであると認めることはできず,引用意匠2ないし引用意匠3に見られる形状においても,本願意匠の背もたれと脚部に相当する形状は表されていない。そして,「椅子」の意匠の物品分野におけるありふれた手法を勘案したとしても,本願意匠の背もたれと脚部が組み合わされた形状,特に,右側面視後方柱状部が横に連なって略「く」字状を呈するという独自の構成態様が導き出されるということはできない。
したがって,原査定における拒絶の理由で引用された,引用意匠1ないし引用意匠4に基づいて,当業者が容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-02-18 
出願番号 意願2014-3685(D2014-3685) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (D7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 古賀 稔章北代 真一 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 正田 毅
小林 裕和
登録日 2016-04-01 
登録番号 意匠登録第1548671号(D1548671) 
代理人 三原 靖雄 
代理人 三原 靖雄 
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