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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5 |
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管理番号 | 1311912 |
審判番号 | 不服2015-17413 |
総通号数 | 196 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-09-25 |
確定日 | 2016-03-09 |
意匠に係る物品 | 食品用容器 |
事件の表示 | 意願2014-14834「食品用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成26年(2014年)7月7日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「食品用容器」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面代用の写真に現されたとおりとするものである(別紙第1参照)。 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,本願の出願前に特許庁から発行された意匠公報に記載の意匠登録第1449450号(意匠に係る物品,食品用容器)の意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.当審の判断 (1)意匠に係る物品について 両意匠を対比すると,意匠に係る物品は,共に「食品用容器」で,一致している。 (2)形態について 両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (2-1)共通点 シート材をプレス成形することにより形成した,基本的構成態様を,底面部と周側面部から成る上方開口部に向かって広がるカップ状のもので,底面部を略扇形状としたものであって,具体的構成態様は,周側面の,大きな曲線部分には規則的なひだを設け,2か所の直線部分を平らな面にし,3か所の角部に3つの折ひだを形成した態様が共通している。 (2-2)相違点 それに対して,基本的構成態様において,(a)平面視の全体形状につき,本願意匠は,円の約1/3の扇形(中心角が約120度の扇形)であるのに対して,引用意匠は,斜辺を円弧状とする直角台形状である点,具体的構成態様において,(b)直線部分の平らな面につき,本願意匠は,2か所の平らな面が共に内側にへこんだ位置にあるのに対して,引用意匠は,3か所の平らな面が全て外側に出た位置にある点,(c)大きな曲線部分に規則的に設けたひだの形状につき,本願意匠は,極小曲線の山と,大きな曲線と略直線部とでへんぺいな台形状を催した谷から成っているのに対して,引用意匠は,大きな曲線の山と,小さな曲線の谷から成っている点,で相違する。 (3)類否判断 この種物品分野においては,シート材をプレス成形することにより形成した上方開口部に向かって広がるカップ状のもので,底面部を円形,長円形や角丸長方形などの周知形状状とし,周側面に規則的なひだを設けることも,周側面の直線部分を平面にすることも,角部に3つの折ひだを形成することも,ありふれた態様であるから,上記の共通性のみをもって両意匠の類否判断を決することはできない。 そして,相違点(b)については,両意匠を並べ,指摘され,意識して観察して初めて気付くほどの余り目立たないものであり,需要者が,このことを意識して使用したり,購入したりすることはないと考えられるから,両意匠の類否判断に与える影響は限定的といえるほどのものである。 それに対して,相違点(a)及び(c)によって,引用意匠は,弁当箱等のコーナーにぴったりと隙間なく配置可能な納まりのよさが印象付けられる形状で,かつ,この種物品分野においては,以前から極普通にありふれた,一般的な,特徴の無いひだにしたものであるのに対して,本願意匠は,開いて用いるときに中心角が120度前後となるものが主流である扇子を想起させ,なおかつ,へんぺい台形状の谷と,その谷によって間隔の空いた極小曲線の山によって,開いたときの扇面と扇子の骨を,ひいては扇子を想起させるものであるから,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものと認められる。 よって,相違点(a)及び(c)がもたらす印象で,共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものであり,両意匠の形態は類似しないといえる。 したがって,両意匠の意匠に係る物品は一致しているが,形態は類似しないから,両意匠は,類似しているとはいえない。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-02-18 |
出願番号 | 意願2014-14834(D2014-14834) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 内藤 弘樹 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
刈間 宏信 橘 崇生 |
登録日 | 2016-03-25 |
登録番号 | 意匠登録第1548350号(D1548350) |
代理人 | 葛西 さやか |
代理人 | 葛西 泰二 |