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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B1
管理番号 1313097 
審判番号 不服2015-18639
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-15 
確定日 2016-04-01 
意匠に係る物品 パンツ 
事件の表示 意願2014- 27877「パンツ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,部分意匠として意匠登録を受けようとする,平成26年(2014年)12月15日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「パンツ」とし,その形態は,願書の記載及び願書添付の図面に記載されたとおりのもので,「ピンク色を付した部分以外の部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁意匠課が2002年6月14日に受け入れた株式会社千趣会発行のカタログ「MONTHLY CLUB 2002 夏号」の第69頁所載の「パンツ」の意匠(以下,「引用意匠」という。)(特許庁意匠課公知資料番号第HC14025256号)の当該部(以下,この部分を「引用部分」という。)であって,その形態は,同カタログに掲載された写真に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
いずれも,「パンツ」であるから,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,一致する。
(2)本願部分と引用部分(以下,「両部分」という。)の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
まず,本願部分は,パンツの左右の足が入る部位である足繰り部(以下,「足繰り部」という。)の縁部分に沿って設けられたレースの付け根部分の略全周であり,引用部分は,本願部分に相当する同様の部分であるから,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。
(3)形態
また,両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
(3-1)共通点
(A)部分全体を,内側のラインが外側よりやや膨出した略木の葉形状の極細の帯状部分とし,足繰り部の上端部と下端部を結んだ縦の軸線(以下,「縦の軸線」という。)の長さとそれと直交する線の最大幅の長さの比を約2:1としている点,
(B)足繰り部をその縦の軸線が逆ハの字状になるように配置している点,において主に共通する。
(3-2)差異点
(ア)足繰り部の上下端部の形状及び位置について,本願部分は,上下端部が尖っていて,上端部の位置が,前身頃と後身頃の縫合線よりも外側寄りであるのに対して,引用部分は,上下端部が丸く形成され,上端部の位置が,前身頃と後身頃の縫合線より僅かに内側寄りである点,
(イ)足繰り部の内側及び外側のラインの態様について,本願部分は,内側のラインが外側のラインより大きく膨出しており,それによって左右の足繰り部間の幅が狭くなっているのに対して,引用部分は,内側のラインが外側のラインより僅かに膨出しており,それによって左右の足繰り部間の幅が広くなっている点,
(ウ)レース部の態様について,本願部分は,糸の間隔が広いのに対して,引用部分は,糸の間隔が狭い点,において主な差異が認められる。

4.類否判断
両意匠の意匠に係る物品は,一致し,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲はほぼ共通している。
以下,両部分の形態について検討する。
共通点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両部分の形態の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両部分の形態の類否判断を決定付けるものである。
(1)共通点
まず,共通点(A)については,部分全体を,内側のラインが外側よりやや膨出した略木の葉形状の極細の帯状部分とし,足繰り部の縦の軸線の長さとそれと直交する線の最大幅の長さの比を約2:1としている態様は,この種の物品分野においては,ありふれた態様といえるもので,格別目立つ態様とはいえず,この点が両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
次に,共通点(B)については,足繰り部をその縦の軸線が逆ハの字状になるように配置している態様についても,従来から普通に見られる態様といえるもので,両部分のみに見られる特徴とはいえないものであるから,この点が両部分の類否判断に及ぼす影響は微弱なものである。
(2)差異点
差異点(ア)の足繰り部の上下端部の形状及び位置については,上下端部が尖っていて,上端部の位置が,前身頃と後身頃の縫合線よりも外側寄りである本願部分の形状は,他に見られない特徴的な部分といえ,上下端部が丸く形成され,上端部の位置が,前身頃と後身頃の縫合線より僅かに内側寄りである引用部分とは,明らかに需要者に与える印象を異ならせるものであり,その差異は,両部分の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)の足繰り部の内側及び外側のラインの態様について,内側のラインが外側のラインより大きく膨出しており,それによって左右の足繰り部間の幅が狭くなっている本願部分の態様は,身頃や股布の面積と相対的に足繰り部が広く,ゆったりした印象を与えており,それは他には見られない特徴的な態様であり,内側のラインが外側のラインより僅かに膨出し,足繰り部間の幅が広くなって足繰り部が狭く窮屈な印象を与えている引用部分とは,その視覚的印象が明らかに異なるもので,その差異は無視することができず,両部分の類否判断に影響を与えるものといえる。
そして,(ウ)のレース部の態様については,糸の間隔が広い本願部分の態様も,糸の間隔が狭い引用部分の態様も,この種の物品分野においてはありふれた態様といえるものであるから,目立つものとはいえず,この点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。
(3)小括
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が共通するものであるが,両部分の形態における差異点が看者に与える意匠的効果が共通点のそれを凌駕し,両部分全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-03-18 
出願番号 意願2014-27877(D2014-27877) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 木本 直美 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 斉藤 孝恵
久保田 大輔
登録日 2016-04-28 
登録番号 意匠登録第1551098号(D1551098) 
代理人 渡辺 容子 
代理人 鈴江 正二 
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