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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1313099 
審判番号 不服2015-19255
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-10-26 
確定日 2016-04-11 
意匠に係る物品 自動車用タイヤ 
事件の表示 意願2015- 1085「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,平成27年(2015年)1月22日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。なお,拒絶理由通知書においては引例の意匠と記載している。)は,本願出願前,欧州共同体商標意匠庁が2015年1月15日に発行した欧州共同体意匠公報(2015/009)「タイヤ(登録番号002596015-0002)」の意匠(掲載URL https://oami.europa.eu/eSearch/#details/designs/002596015-00022)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠の意匠に係る物品は,「自動車用タイヤ」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,英語表記によると「Tyres for automobiles」(日本語訳:「自動車用タイヤ」)であるから,本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は共通する。

まず,共通点として,
(A)全体は,横向き略短円筒形状としたタイヤであって,このタイヤの左右両端部に断面視略円弧状のサイドウォール部を配設し,このタイヤの外周面にショルダー部及びトレッド部を正面視略横長台形状に突出した形状で形成し,このトレッド部に複数のブロックを規則正しく配してブロックパターンを形成したものであって,正面視において,
(B)トレッド部は,その中央部分に中央ブロック列を形成し,その両側に左ブロック列及び右ブロック列を配し,トレッド部の左右両端部に左ショルダーブロック列及び右ショルダーブロック列を配した5つのブロック列からなるものであって,
(B-1)中央ブロック列は,右上方に向かって漸次幅の狭まる略縦長台形状のブロック(以下,「中央右ブロック部」という。)と,それと左右対称形のブロック(以下,「中央左ブロック部」という。)を,互い違いにジグザグ状の配置で縦一列になるよう上下方向に連続して配設した構成としている点,
(B-2)右ブロック列は,中央ブロック列を構成する中央右ブロック部右辺及び中央左ブロック部右辺下方部の右隣やや斜め上方の位置に,上下2つのブロックからなる,2つのブロックを合わせた形態が上方に向かって右に傾斜した平行四辺形状のブロック群(以下,「右ブロック群部」という。)を,各ブロック群が鋸歯状の配置態様になるように上下方向に連続して形成した構成としている点,
(B-3)左ブロック列は,右ブロック群部と左右対称形のブロック群部(以下,「左ブロック群部」という。)を,右ブロック列と同様の配置態様で形成した構成としている点,
(B-4)右ショルダーブロック列は,右ブロック群部右辺と相対するわずかに斜め上方の位置に,大きさの異なる上下2つの略直角台形状のブロックからなる,2つのブロックの右辺同士を揃えて上下に配設したブロック群(以下,「右ショルダーブロック群部」という。)を,各ブロック群の右辺を縦一列に揃えた配置態様で上下方向に連続して形成した構成としている点,
(B-5)左ショルダーブロック列は,右ショルダーブロック群部と左右対称形のブロック群部(以下,「左ショルダーブロック群部」という。)を,右ショルダーブロック列と同様の配置態様で形成した構成としている点,
(C)中央右ブロック部及び中央左ブロック部(以下,「中央左右ブロック部」という。)の外側の辺中央部分に,略小台形状の短い切り込み部を斜め下向きに形成している点,
が認められる。
(D)右ショルダーブロック群部及び左ショルダーブロック群部(以下,「左右ショルダーブロック群部」という。)を構成する正面視略直角台形状の大小ブロックのトレッド部側の上辺部分及び下辺部分を略鋸歯状の形状となるよう形成し,これら大小ブロックのショルダー部側の下辺部分に略直角台形状の切り欠き部を形成している点,
(E)各ブロックは,その大きさを微妙に変えて形成し,その表面部に,略波線状の水平サイピングを,ブロックの大きさに合わせて略等間隔に複数形成したものであって,その中の幾つかのブロックには,アトランダムに小円孔を設け,その小円孔の周囲には水平サイピングを形成していない点,

他方,相違点として,
(ア)中央左右ブロック部の態様について,本願意匠は,略縦長台形状ブロックの内側斜辺中央に,水平な段差部を設けた構成の略変形七角形状となるように形成しているのに対して,引用意匠は,縦長三角形の先端部を落としたような構成の略縦長台形状となるように形成している点,
(イ)右ブロック群部及び左ブロック群部(以下,「左右ブロック群部」という。)の態様について,本願意匠は,略直角台形状のブロック同士を点対称の配置で組み合わせて上下に配設し,左右ブロック群部の上辺部分及び下辺部分を略鋸歯状の形状となるように形成しているのに対して,引用意匠は,略平行四辺形状のブロック同士を単に上下に配設し,左右ブロック群部の上辺部分及び下辺部分を略直線状の形状となるように形成している点,
(ウ)トレッド部に表れる横溝部の態様について,本願意匠は,左右ブロック群部上辺部分から左右ショルダーブロック群部上辺部分にかけて表れる,タイヤ外側に向かって僅かに上に傾いた上に凸の略円弧状の左右の横溝部を,略半ピッチずらして形成しているのに対して,引用意匠は,中央右ブロック部左辺部分から右ブロック群部上辺部分を経て右ショルダーブロック群部上辺部分まで連なる,タイヤ外側に向かって僅かに上に傾いた上に凸の略円弧状の右側横溝部と,中央左ブロック部右辺部分から左ブロック群部上辺部分を経て左ショルダーブロック群部上辺部分まで連なる右側横溝部と左右対称形の左側横溝部を,互い違いになるように組み合わせ,トレッド中央部分にジグザグ状の縦溝部が表れるように形成し,これらの左右横溝部上下間には,左右ブロック群部中央部から左右ショルダーブロック群部中央部にかけて上に凸の略円弧状の短い横溝部を形成している点
(エ)左右ショルダーブロック群部のショルダー部の態様について,本願意匠は,右側面視において,ショルダー部のタイヤ内周側に略直線状の線模様若しくはサイピングを一本施し,その外周側の部分に略折れ線状の線模様若しくはサイピングを縦3列施し,左側面側は右側面側と左右対称形としているのに対して,引用意匠は,右側面視において,下部付近に略直線状で横向きの細線模様若しくはサイピングを2つ左右にずらして施し,その上方に略折れ線状で横向きの太線模様若しくは細溝を一本施し,左側面側は右側面側と左右対称形としている点,
が認められる。

2.両意匠の形態の評価
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。

まず,共通点(A)の全体の態様は,自動車用タイヤの意匠の骨格的な構成態様にあたるものであり,また,共通点(B)のトレッド部の態様は,自動車用タイヤの物品分野において,本願意匠の出願前に既に見られるもの(参考意匠:日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成23年(2011年)2月21日)に掲載された,意匠登録第1407922号(意匠に係る物品,自動車用タイヤ)の意匠,別紙第3参照)であるから,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるといわざるを得ない。
次に,共通点(C)及び共通点(D)の態様は,中央左右ブロック部における短い切り込み部や,左右ショルダーブロック群部を構成するブロックにおけるトレッド側上辺及び下辺部分の略鋸歯状の形態並びにショルダー側下辺部分の略直角台形状の切り欠き部も,目立たない微細なものにすぎないものであるから,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響も微弱なものである。
また,共通点(E)の態様は,この種タイヤの分野では,ブロックの大きさを微妙に変えることは,パターンノイズ低減の目的で既に行われているものであり,ブロック表面に小円孔を施し,その周囲にサイピングを形成しないことも,既に見られるものであるから,この共通点(E)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も微弱なものである。
そして,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対し,相違点(ア)中央左右ブロック部の態様,相違点(イ)左右ブロック群部の態様,及び相違点(ウ)トレッド部に表れる横溝部の態様については,まず,中央左右ブロック部及び左右ブロック群部の各ブロックの態様は,トレッド部中央付近にある大きな部位に係るものであって,特に目立つものであるから,これらの各ブロックの形態の相違点は両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼす上に,これらのブロックの組み合わせによって,引用意匠には本願意匠にはないブロックパターン,つまり,中央右ブロック部,右ブロック群部及び右ショルダーブロック群部からなる右上がりの略円弧状帯状のブロックパターンと,中央左ブロック部,左ブロック群部及び左ショルダーブロック群部からなる左上がりの略円弧状帯状のブロックパターンとが互い違いになるように組み合わされたような態様が上下方向に連続して表れるため,各ブロックの形態の相違に加えて,このブロックパターンの態様の相違も相まって看者に別異な印象を強く与えるものであるから,これらの相違点(ア)ないし(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きい。
また,相違点(エ)左右ショルダーブロック群部のショルダー部の態様については,その相違は僅かな程度のものではあるが,タイヤ側面部から見た場合には,目に付く部分であるから,この相違点(エ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度ある。
そして,これらの相違点(ア)ないし(エ)によって生じる視覚的効果はいずれも大きく,それらが相まって生じる視覚的効果は,両意匠の類否判断を左右するものであるといえる。

3.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については,共通するものの,形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響はそれぞれ大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配しているものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

第4 むすび

以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

別掲
審決日 2016-03-25 
出願番号 意願2015-1085(D2015-1085) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 加藤 真珠 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
橘 崇生
登録日 2016-04-28 
登録番号 意匠登録第1550877号(D1550877) 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 
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