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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1314356 
審判番号 不服2012-22009
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-11-06 
確定日 2013-05-01 
意匠に係る物品 断熱容器 
事件の表示 意願2011- 26808「断熱容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠

本件審判の請求に係る意匠登録出願の意匠(以下,「本願意匠」という。)は,平成23年(2011年)11月18日に,意匠法第14条第1項の規定により,3年間秘密にすることを請求して出願されたものであって,願書及び願書添付図面の記載によれば,意匠に係る物品を「断熱容器」とし,その形態を願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)。

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)としたものであり,拒絶の理由に引用した意匠は,特許庁意匠課が2003年 6月27日に受け入れた,MAKITECH物流・流通機器カタログ第8頁に所載の「保冷カバー付き運搬車(特許庁意匠課公知資料番号第HC15020035号)」の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同カタログに掲載された写真により現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3. 当審の判断

(1)本願意匠と引用意匠の対比

本願意匠の意匠に係る物品は,「断熱容器」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「保冷カバー付き運搬車」であって,その名称は異なるものの,引用意匠のものを運搬車付きの保冷カバーとしてみれば,両意匠の意匠に係る物品は,いずれも断熱容器に係るものであり,共通する。

次に,本願意匠と引用意匠の形態を対比する(なお,対比のため,両意匠とも断熱容器の筐体正面部の開口部のある側を正面とすることとする。)と,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

先ず,共通点として,断熱容器の全体は,六面が軟素材で構成された縦長直方体状の筐体であり,この筐体正面部に,懸垂幕状の開口部を設け(以下,「幕状開口部」という。),その幕状開口部は,筐体下部と幕状開口部とに設けた面ファスナーにて着脱自由に貼着可能とし,筐体の各辺には,帯状の補強部材を縫着した態様が認められる。

一方,相違点として,各構成面について,本願意匠は,透光性を有する素材を用いて構成しているのに対して,引用意匠は,不透明の金属光沢を持つ素材で構成している点,断熱容器を運搬車に取り付ける部位について,本願意匠は,細長帯状のバンドを,左右上部に各一つ,背面上部に二つ設け,運搬車のフレームに挿着しているのに対して,引用意匠は,そのようなものを設けず,ひもでフレームに繋着している点,全体の形状について,本願意匠は,断熱容器のみの態様であるのに対して,引用意匠は,保冷カバーに運搬車も加えた態様としている点,が認められる。

(2)本願意匠と引用意匠の類否判断

以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

先ず,両意匠は,いずれも運搬車用の断熱容器であり,意匠に係る物品が共通する。

次に,断熱容器の全体について共通しているとした態様は,引用意匠のほかにも多数見受けられ,このような運搬車に載置する断熱容器の構成態様としてありふれたものであり,本願意匠と引用意匠のみに共通する点とは言えず,両意匠の類似性についての判断に与える影響も軽微なものにとどまるから,これら共通点を総合したとしても,直ちに両意匠の類似性についての判断を左右するものとは言えない。

これに対して,前記の各相違点は,いずれも非常に目に付き易い部位に係るものであるから,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響はそれぞれあるという他ない。とりわけ,各面を構成している素材についての相違点は,本願意匠においては,透光性を有する素材を用いているため,表面全体にうっすらと小円模様が浮かび上がる態様であって,引用意匠における金属光沢の態様とは全く異なる印象を与えるものであるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きいものであり,この相違点のみによっても両意匠の類似性についての判断を左右する程のものと言える。

したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,共通するが,形態においては,本願意匠と引用意匠との間には,その基本的な形状を含めて共通点が存在するものの,相違点の印象が共通点の印象を凌駕し,意匠全体としては視覚的印象を異にするというべきであるから,両意匠は類似するものということはできない。

3 結び

以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論とおり審決する。
別掲
審決日 2013-04-18 
出願番号 意願2011-26808(D2011-26808) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 生亀 照恵 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
樫本 光司
登録日 2013-05-24 
登録番号 意匠登録第1473106号(D1473106) 
代理人 羽立 幸司 

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