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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L3
管理番号 1314362 
審判番号 不服2015-13164
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-10 
確定日 2016-04-11 
意匠に係る物品 バルコニー 
事件の表示 意願2014- 14231「バルコニー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成26年(2014年)6月30日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「バルコニー」とし,形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,特許庁意匠課が2002年6月14日に受け入れた,YKKアーキテクチュラルプロダクツ株式会社から発行された内国カタログ「バルコニー アネーロ(日本工業新聞 H14.4.17 P18 写真有)」の第2頁に記載の「バルコニー」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC14026898号)(以下,「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)であって,その形態は,同カタログに記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠との対比
(1)意匠に係る物品
両意匠を対比すると,意匠に係る物品は,共に「バルコニー」で,一致している。
(2)両意匠の形態
両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
(2-1)共通点
平面視略横長長方形板状の床板材と,その下面を支持する桁材により,厚みのある略横長長方形板状の床材部を構成し,その床材部の正面及び左右両側面を平面視略コの字状に囲むように手摺部を立設し,手摺部全体に鉛直方向に細長い板材(以下,「細長板材」という。)を若干の隙間を空けて等間隔に配置し,細長板材の上端に,略平板状の笠木材を設けて,正面視及び左右側面視において,細長板材間の隙間から,床材部の厚みが視認される態様とした点。

(2-2)相違点
(ア)引用意匠は,手摺部の多数の細長板材の下端部を底面視略コの字状に覆うように細幅の横枠が設けられているのに対し,本願意匠はこれに相当する横枠は設けられておらず,多数の細長板材の下端部が露出した態様である点。
(イ)引用意匠は,手摺部正面の内側中間部に柱材が3か所設けられているのに対し,本願意匠は,これに相当する柱材は設けられていない点。
(ウ)笠木の形態について,本願意匠は,平面視略額縁コ字状になるように接合され,「B-B,D-D部分A-A線拡大断面図」のとおり,垂直面を成す笠木外側側面の下端部において,下方に鍔(つば)状に突出し,さらにその突出した下面がバルコニー内側に向かって傾斜した態様であるのに対し,引用意匠は,平面視の態様が不明であり,笠木外側側面において,上方の垂直面と下方の内側に傾斜した傾斜面とから成る,略くの字状断面形状の面を形成した態様であると認められ,下面が下方に突出しているかなどの具体的態様は不明である点。
(エ)正面視又は左右側面視において,手摺部の細長板材間の隙間から視認される床材部の厚みについて,本願意匠は,全高の約7分の1の厚みとしているのに対して,引用意匠は,全高の約4分の1の厚みとしている点。

2.両意匠の類否判断
以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価及び総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,形態については,以下のとおりである。
(1)共通点の評価
共通点は,意匠の概括的な構成態様にすぎず,また,バルコニーの物品分野において従来から見られる一般的な態様であり両意匠のみの特徴とはいえないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

(2)相違点の評価
相違点(ア)の,手摺部の多数の細長板材の下端部を略コの字状に覆うように細幅の横枠が設けられているか,横枠は設けられず多数の細長板材の下端部が露出しているかの違いは,バルコニーの外観の印象を大きく左右するものといえる。すなわち,バルコニーは,家屋等の外観の一部を構成するものであるから,これを購入しようとする需要者は,その外観の形態に高い関心を持つものといえ,また,その使用状態において建物の2階以上に設置され,下から見上げて観察する場合も多い物品であることを勘案すれば,手摺部の多数の細長板材の下端部が細幅の横枠によって直線的に覆われた態様と,多数の細長板材の下端部が,くし歯状に露出した態様とでは,両意匠を観察する場合においてそのシルエットの相違として明瞭に表れる。さらに,本願意匠の手摺部の多数の細長板材の下端部が露出した態様は,本願出願前に例を見ない本願独自の態様であって,需要者の注意を惹くものである。
したがって,相違点(ア)が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

次に,相違点(イ)の内側の柱材の有無の違いについては,それぞれの態様が特徴的とはいい難いが,バルコニーの内側を観察する場合において,その中間部に間隔をおいて3本の柱材が,多数の細長板材の手前に表れる態様と,中間部に柱材がなく,多数の細長板材のみが面一状に表れる態様とでは,需要者に明らかな相違として視認されるから,相違点(イ)が両意匠の類否判断に与える影響は一定程度認められる。

そして,相違点(ウ)の笠木の形態については,本願意匠は,笠木外側側面の下端部において,下方に鍔状に突出した態様であるが,当該部分は他の手摺部材に半ば覆われて見えにくい位置にあり,したがって,本願意匠の笠木の基本的形態は,通常の観察方法においては,概ね平板状であって,外側側面下方に内側へ折れ曲がる傾斜面を形成したものと認識できる程度のものであって,それは,引用意匠の笠木の形態との比較において顕著な相違は認められない。したがって,相違点(ウ)が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

さらに,相違点(エ)の床材部の厚みについては,両意匠とも,正面及び左右両側面から見た場合に,手摺部に配置した細長板材の若干の隙間越しにその厚みの程度を僅かに視認できるのみであって目立つものではない。したがって,相違点(エ)が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

そして,相違点(ア)から(エ)までを総合した視覚的効果を考慮すると,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕して,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきである。

(3)小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致するものの,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕し,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-03-30 
出願番号 意願2014-14231(D2014-14231) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (L3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 住 康平 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 清野 貴雄
渡邉 久美
登録日 2016-05-13 
登録番号 意匠登録第1551501号(D1551501) 
代理人 梅澤 修 
代理人 山本 哲也 
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