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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H6
管理番号 1315705 
審判番号 不服2016-866
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-20 
確定日 2016-05-24 
意匠に係る物品 カードリーダー 
事件の表示 意願2014-25525「カードリーダー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2014年(平成26年)5月16日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,物品の部分について意匠登録を受けようとする平成26年(2014年)11月14日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「カードリーダー」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2013年9月6日に受け入れた,「 はじめまして。 スクエアのことを紹介します。」 の第2ページ所載のカードリーダーの意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて「両意匠」という。)のイヤホンジャック端子金属部及びデータ読み込み部を除いた部分(特許庁意匠課公知資料番号第HC25015842号)であって,その形態は,当該ページ所載の写真版に現されたとおりのものである(以下,引用意匠において,本願実線部分に相当する部分を「引用相当部分」といい,本願実線部分と合わせて「両意匠部分」という。)。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)両意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「カードリーダー」であり,引用意匠の意匠に係る物品も「カードリーダー」であるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

(2)両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
両意匠部分は,スマートフォン等のイヤホンジャックに接続して用いられて,クレジットカード等の情報を読み取る機能を有するから,両意匠部分の用途及び機能は一致する。
また,両意匠部分は,カードリーダーの端子金属部と,データ読み込み部,すなわちクレジットカード等の磁気カードをスライドさせたり,ICカードを挿入させるためのスリットの部分を除く,カードリーダーのほぼ全体であるから,両意匠部分の位置,大きさ及び範囲も一致する。

(3)両意匠部分の形態
両意匠部分の形態を対比すると,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

<共通点>
基本的態様として,
(A)全体は,正面視略正方形の本体の四隅にアールを設け,本体の中央下端に短い円筒状のイヤホン端子基部を設けた点,
具体的態様として,
(B)正面側の本体表面中央に,隅丸正方形枠状の凹部を設けた点,
で両意匠部分は共通する。

<相違点>
具体的態様として,
(ア)本願実線部分は,本体の側面視中央に,本体の厚みの略1/3の厚みで,本体上端から本体の略2/3の高さの範囲のスリットが設けられているのに対して,引用相当部分は,スリットの有無や位置を含めて不明である点,
(イ)本願実線部分は,本体の高さに対して略40%の厚みを有しているのに対して,引用相当部分は,どの程度の厚みを有しているのか不明な点,
(ウ)本願実線部分は,背面側の本体表面が平たんであるのに対して,引用相当部分は,背面側の本体表面の形態が不明な点,
(エ)本願実線部分は,本体周面から本体正面にかけて角張っているのに対して,引用相当部分は,本体周面から本体正面にかけて丸みを帯びている点,
で,両意匠部分は相違する。

2.両意匠の類否判断
以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響を評価及び総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。
両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲が一致するが,形態については,以下のとおりである。

(1)両意匠部分の形態についての共通点の評価
共通点(A)は,スマートフォン等のイヤホンジャックに接続して使用されるカードリーダー(以下「この種物品」という。)の分野では,他にも見られる形態であるから,共通点(A)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きいといえない。
また,従来のカードリーダーによる決済業務では,高額の設備投資が必要であったところ,この種物品による決済業務では,低額の費用でその業務が可能となることから,この種物品の需要者は,コストパフォーマンスの高い機能に大きな関心を示すといえる。共通点(B)は,両意匠部分のみに見られる形態ではあるが,カードリーダーとしての機能に直接関わる形態ではないから,需要者の関心がそれ程高いということはできず,共通点(B)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,一定程度にとどまるものというべきである。
そして,共通点全体を総合しても,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

(2)両意匠部分の形態についての相違点の評価
これに対して,相違点(ア)は,本体の側面視中央に,本体の厚みの略1/3の厚みで,本体上端から本体の略2/3の高さの範囲のスリットが設けられているのに対して,引用相当部分は,スリットの有無や位置を含めて不明であるというものであるところ,この種物品分野において,カードリーダー本体の側面視中央にスリットを設けることは,本願実線部分のみに見られる形態であるし,本体の厚みの略1/3ほどもある大きなスリットは,あまり見られる形態ではない。そして,相違点(ア)は,カードをスライドさせたり,挿入させるためのスリットの位置に関連する形態,すなわちカードリーダーとしての機能に直接関わる形態の相違であるから,需要者の大きな関心を引くものであり,相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きいといえる。
他方,相違点(イ),(ウ)及び(エ)は,この種物品においては,他にも見られる形態であって,本願実線部分のみに見られる形態とまではいえないから,両意匠部分の類否判断与える影響はそれ程大きいものではない。
そして,相違点(ア)から(エ)までがあいまった視覚的効果を考慮すると,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕して,両意匠部分は,両意匠部分全体として視覚的印象を異にするというべきである。

(3)小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲が一致するが,形態においては,共通点が未だ両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,相違点があいまった視覚的効果を考慮すると,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕し,両意匠部分は,両意匠部分全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-05-11 
出願番号 意願2014-25525(D2014-25525) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H6)
最終処分 成立 
前審関与審査官 藤原 宗久良 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 刈間 宏信
渡邉 久美
登録日 2016-06-24 
登録番号 意匠登録第1554745号(D1554745) 
代理人 平木 祐輔 
代理人 安田 徹夫 
代理人 平木 康男 
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