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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H7
管理番号 1317042 
審判番号 不服2016-1307
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-01-29 
確定日 2016-07-08 
意匠に係る物品 情報端末機 
事件の表示 意願2015- 5473「情報端末機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成27年(2015年)3月13日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「情報端末機」とし,その物品の機能を果たすために必要な表示を行う画像であり,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたもので,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,以下のとおりである。

この意匠登録出願前から,棒グラフは広く知られている。また,円形状の吹き出しも広く知られている。(例えば,引用画像1ないし2)
さらに,種々のものに吹き出しを付け,その中に関連した情報を記載することはありふれている。(例えば,引用画像3ないし5)
そうすると,この意匠登録出願の意匠は,広く知られた棒グラフと広く知られた円形状の吹き出しをありふれた手法によって組み合わせて,情報端末機に係る交通機関の情報を表示するための画像として表した程度に過ぎないから,当業者が容易に創作することができたものと認められる。

引用画像1(別紙第2)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1409721号の意匠
に表示された画像

引用画像2(別紙第3)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2013年12月3日に受け入れたCAR GRAPHIC 2014年1月1日1号 第20頁所載
カーナビゲーションの意匠に表示された画像
(特許庁意匠課公知資料番号第HA25008162号)

引用画像3(別紙第4)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1495828号の意匠
に表示された画像

引用画像4(別紙第5)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1508088号の意匠
に表示された画像

引用画像5(別紙第6)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1513437号の意匠

3.請求人の主張の要旨
本願意匠は,略正円形の枠部と枠部の水平方向中央下端に設けられた略正三角形の頂点部からなる吹き出し部と,縦横比が約7:1の縦長の細棒形の矩形部から構成されるものであって,吹き出し部の枠部の直径と矩形部の幅の比を約3:1,吹き出し部の高さ(枠部上端から頂点部下端までの高さ)と矩形部の高さの比を約1:2とすると共に,それらを表示部の垂直方向中央やや下方かつ水平方向中央に上下に整列することにより,あたかも玩具の「こけし」のような可愛らしい均整のとれた形態にしたものである。
一方,引用画像1,2,4および5に略正円形や略楕円形の吹き出しが表されている。
しかしながら,引用画像1は吹き出し部を行列に複数配置した点に創作の特徴があり,そもそも矩形部と共に表示することを想定していない。
また,引用画像2は,ルートに吹き出し部を表示するものであることから,表示部内にランダムに複数表示されることが予想される。よって,本願意匠のように,矩形部と共に表示することはもちろん,表示部の特定の位置に表示することを想定していない。
また,引用画像4は,願書の記載から,吹き出し部が二重であって,それを略正円形から略横長楕円形に変化させることが特徴である。また,意匠登録を受けようとする意匠ではない画像と左右に並べて表示するものであり,本願意匠のように,上下に配置することを意図していない。よって,当然に吹き出し部の頂点部も本願意匠とは相違する。
また,引用画像5は,残高表示部と吹き出し部が配置されているものの,その上下が本願意匠と逆である。また,残高表示部の直径と吹き出し部の横幅を同一にするものであり,本願意匠のように,あえて変化を付けるものではない。
また,引用画像3には,上下に配置された略隅丸矩形の吹き出し部と細長棒状の矩形部が表されている。よって,引用画像3に引用画像1,2,4および5を組み合わせれば創作容易であるとの指摘があるかもしれない。
しかしながら,引用画像3の略隅丸矩形の吹き出し部と引用画像1,2,4および5のいずれかの吹き出し部を組み合わせたとしても,本願意匠のように,可愛く均整のとれた「こけし」形状にはならない。いずれの引用画像の吹き出し部を引用画像3の矩形部に組み合わせることを試みるも,頭と胴体がアンバランス,頭でっかち,首が長い等々の不恰好な「こけし」形状にしかならない。酷いものでは「こけし」形状ですらない。
なお,拒絶査定の理由において「情報端末機に係る交通機関の情報を表示するための画像とした点は,矩形部を用いて量を,吹き出し部によって関連情報を表示することがありふれているため,特段の創意を要することとはいえない」旨が指摘されている。
しかしながら,引用画像1?5は,いずれも交通機関の混雑情報を表示するためのものではない。量と情報を示す引用画像3は消費電力量を示すものなので,ここから一足飛びに交通機関の混雑情報を表示するとの発想は出ないと思う。仮に出たとしても,本願意匠の形態にする必然はない。
拒絶査定における理由を読む限りにおいて,本願意匠の各態様が総じて特段の創意を要するものではないと判断されたと推測する。
しかしながら,態様(ア)に関して引用画像は引用画像2および同3のみが根拠として挙げられただけであり,他の態様に関しては「特段の創意を要することとはいえず」とするに留まることからすると,他の引用画像との対比を行っていないようにも思えるため,当該判断はやや尽くされていない印象を受けざるをえない。
けだし,吹き出し部と矩形部個々の具体的な形状,大きさ,縦横比および位置が一様でないことは無論,それらからなるプロポーション等々の意匠全体の態様は千差万別であることに容易に想到することができるためである。この点は,各引用画像として挙げられた吹き出し部の形状が様々であることからも容易にご理解頂けるものと考える。
以上のことから,単純かつ抽象的にそれらを組み合わせたとしても,一概に本願意匠が創作できるはずがない。

4.当審の判断
本願意匠が,当業者であれば,容易にその意匠の創作をすることができたものか否かについて,以下検討する。
(1)本願意匠
本願意匠は,意匠に係る物品を「情報端末機」とし,略扁平直方体状の筺体の正面表示部内に表された,その物品の機能を果たすために必要な表示を行う画像であり,本願実線部分の形態は,下方寄り中央に設けられた細長棒状部分(以下,この部分を「棒状部分」という。)と,その上方に設けられた略円形状の吹き出し部(以下,この部分を「吹き出し部」という。)とであって,棒状部分の縦横比を約8:1とし,吹き出し部分は,棒状部分の縦が約1/4で,横幅が約1.3倍で,全体が頭部が大きい略こけし状を呈しているものである。
(2)原査定の拒絶の理由の引用意匠
(ア)引用画像1
引用画像1は,意匠に係る物品を「携帯用電子計算機」とし,下方寄りの表示画面内に横長楕円形状の吹き出し部を横に6個,縦に3段に並べたものである。その吹き出し部の形状は,横長楕円形の下方中央に略三角形状の突出部を設け,内部に「・・・」を描いたものである。
(イ)引用画像2
引用画像2は,カーナビゲーションの意匠に表示された画像で,ドライブカメラが撮影した映像とともに地図が表され,左側の地図に円形状の吹き出し部を1個設けたものである。その吹き出し部の形状は,円形の下方中央に略三角形状の突出部を設け,内部にビデオカメラのイラストを描いたものである。
(ウ)引用画像3
引用画像3は,意匠に係る物品を「家電状態管理用液晶表示器」とし,その表示部に表された,事前に設定した節電目標値及び実際の電力使用実績の推移を表したグラフの画像であり,下方寄りに月毎の縦長長方形状の棒グラフとその実績推移を表した折れ線グラフを重ねたもので,右端の棒グラフの上部に隅丸横長四角形状の吹き出し部を配したものである。その吹き出し部の形状は,1本の棒グラフの横幅の約4倍の横幅であって,高さが横幅の約1/2であって,隅丸横長四角形状の下方中央に略三角形状の突出部を設け,内部に文字及び数字を描いたものである。
(エ)引用画像4
引用画像4は,意匠に係る物品を「携帯情報端末」とし,扁平な縦長直方体状の正面に表示部を設け,その表示部に表された画像で,画像上部の各アプリケーションのアイコンの右上に吹き出し部付の二重枠のバッジ状のアイコンの中にイベント数が表示されるものである。バッジの形状は,イベントの数に応じて変化し,一桁であればほぼ円形であり,桁数が増えるに従い,横長に変化していくものである。表示部の上方の一点鎖線の横長長方形の枠の内側に,破線でアプリケーションの図を横に4つ並べ,それぞれの右上に吹き出し部を設けたものである。その吹き出し部の形状は,一番左側を円形とし,右に行くにしたがって,徐々に横幅の広い横長楕円形状としたもので,それぞれの吹き出し部の円形や横長楕円形状の左側上下中央に略三角形状の突出部を設け,内部にイベントの数が表示されるものである。
(オ)引用画像5
引用画像5は,意匠に係る物品を「携帯電話機」とし,扁平な縦長直方体状の正面に設けた表示部に表示された画像で,表示部の略中央に一点鎖線で囲まれた画面の左右一杯に縦長長方形状の枠を設け,その内側中央に,やや大きめの円を設け,電子マネーの残高が大きく数字で示され,数字の下に横長楕円形状のボタン(チャージ(入金))を表し,円の外側下方に横長楕円形状の吹き出し部を設け,獲得ポイント数が表示されるものである。その吹き出し部の形状は,画面の横幅の約2/3程度の横幅で高さは幅の約1/4の大きさの横長楕円形状で,その横長楕円形状の上部左右中央に略三角形状の突出部を設け,内部に獲得ポイント数が表示されるものである。
(3)創作容易性の判断
まず,この種の情報端末機の分野の画像においては,略円形状の様々な大きさの吹き出し部を設けることは,引用画像1及び引用画像2,並びに引用画像4及び引用画像5に見られるように,本願出願前より既に見られるありふれた態様といえるものである。また,その略三角形状の突出部が円形状の上下中央や左右中央に突出することは,引用画像2及び引用画像4に見られるように,本願出願前より既に見られるありふれた態様といえるものである。
そして,棒グラフと吹き出し部を組み合わせることもまた,引用画像3に見られるように,本願出願前より既に見られるありふれた態様といえるものである。
しかしながら,引用画像3に表された棒グラフは,その棒状部分が太幅で,その棒状部分の横幅がかなり細幅である本願実線部分とは大きく異なるものである。また,本願実線部分は,表示画面の中央やや下方に1本の棒状と円形状の吹き出し部を表したものであり,棒状部分が6本連続して隣接して設けられているごく普通のグラフを表した引用画像3とは異なるものであり,引用画像3に表された棒状部分に引用画像2及び引用画像4に見られるような円形の吹き出し部を組み合わせたとしても,それらの引用画像から,本願実線部分の態様を直ちに導き出すことはできないものである。なお,参考として表された,変化した態様において数本の棒状が表れる場合にも,その複数本が大きく間隔を空けて独立的に表れている。
棒状部分の高さについては,その情報に応じて画面の中で高さが適宜変化するものであることがうかがえる。しかしながら,変化した状態を示す拡大図を考慮して,棒状部分が短くなったとしても,棒状部分の幅が細く,吹き出し部の幅が棒状部分の幅よりもやや広いものである態様に変化はなく,引用画像3のようなごく一般的な棒グラフの例があるからといって,一見棒グラフと同様に見えるとしても,交通機関の情報を表示する用途と機能のための表示画像として見ると,当業者にとって,本願実線部分の独立的に棒状部分を表し,その棒状部分とともに所定の大きさの円形の吹き出し部を上端に表した態様が簡単に創出できるものともいえず,棒状部分と吹き出し部との関係が本願実線部分の態様と同様のものは,他には見当たらないのであるから,本願実線部分の態様が容易に創出し得るものということはできない。
そうすると,本願実線部分は,棒状部分の縦横比を約8:1とし,吹き出し部分は,棒状部分の縦が約1/4で,横幅が約1.3倍で,全体が頭部が大きい略こけし状を呈しているもので,特に棒状部分を細くした態様は,本願実線部分の独特の態様といえるもので,当業者であれば容易に創作することができたものとはいうことができないものである。
よって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠ということはできない。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないものであり,原査定の拒絶の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-06-28 
出願番号 意願2015-5473(D2015-5473) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 中田 博康 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 斉藤 孝恵
正田 毅
登録日 2016-07-22 
登録番号 意匠登録第1556873号(D1556873) 
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