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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J3
管理番号 1317043 
審判番号 不服2016-2281
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-16 
確定日 2016-07-05 
意匠に係る物品 ドライブレコーダー 
事件の表示 意願2015- 7598「ドライブレコーダー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,平成27年3月4日の特許出願(出願番号:特願2015-042212号)を原出願として,平成27年4月3日に意匠法第13条第1項の規定による出願の変更がなされた,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であって,その意匠(以下,本願意匠という。)は,願書及び願書に添付された図面の記載によれば,意匠に係る物品を「ドライブレコーダー」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書及び願書に添付された図面に表されたとおりとしたものであって,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分であり,破線部位は部分意匠として意匠登録を受けようとする部位ではない部位を表すものである。」としたものである(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)。(別紙第1参照)


第2 本願,及び特願2015-042212号の手続経緯

本願,及び特願2015-042212号の手続経緯は,以下のとおりである。

(1)平成20年10月30日 特願2008-279555号(以下,「原特許出願1」という。)を出願
(2)平成23年2月10日 原特許出願1を原出願として,特願2011-027291号(以下,「原特許出願2」という。)を分割出願
(3)平成26年2月28日 原特許出願2を原出願として,特願2014-038059号(以下,「原特許出願3」という。)を分割出願
(4)平成27年3月4日 原特許出願3を原出願として,特願2015-042212号(以下,「原特許出願4」という。)を分割出願
(5)平成27年4月3日 原特許出願4を,本願(意願2015-007598号)に出願変更


第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由の要旨は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,特許庁が平成22年5月13に発行した公開特許公報に記載された特開2010-105530号(当審注:原特許出願1の公開特許公報)【図1】ないし【図13】及び関連する記載により表された「車載機器」の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,本願意匠及び本願部分に相当する部分(以下,「引用部分」という。)の形態は,同公報に掲載されたとおりとしたものである。(別紙第2参照)

なお,原審は,本願意匠は,レコーダー本体中,リング部及び貫通孔を除いたナット部について,意匠登録を受けようとする部分として実線で,それ以外の部分を,意匠登録を受けようとする部分以外の部分として破線で表したものであるところ,原出願である特許出願の【図1】ないし【図13】に記載された意匠は,いずれも意匠全体が実線で表されており,本願意匠と原出願に記載の意匠は,同一の意匠とは認められないから,本願は,特願2008-279555号までの出願日の遡及は認められない旨を,上記拒絶の理由とともに,通知した。


第4 当審の判断

本願は,本願意匠が意匠法第3条第1項3号に規定された意匠に該当するものであるとして,拒絶の査定がなされたものであるが,この判断は,本願が原特許出願1の出願の日にしたものとみなすことができないことを前提としたものである。したがって,当審においては,まず,本願が原特許出願1の出願の日にしたものとみなすことができないものであるか否かについて検討する。

1 本願が原特許出願1の出願の日にしたものとみなすことができないものであるか否かについて

(1)本願意匠
本願意匠の意匠に係る物品は,車両のフロントガラスに設置する「ドライブレコーダー」であり,正面にカメラ部を有するドライブレコーダー本体部(以下,「本体部」という。)が回動して撮影する角度を調整することができるものである。そして,本願部分は,本体部の正面視右側に設けられた本体部を支持する部材のうち,フロントガラスに接着するための取付板及びブラケット部(以下,取付板とブラケット部をまとめて「取付部」という。)を除いた側面視円形状を形成する部分(以下,「本体支持部」という。),及びその右側の,正面視右端に設けられた側面視円環状のナット部である。

(2)本願が原特許出願4から適法に出願変更されたものであるか否か
本願が出願変更された平成27年4月3日時点においては,原特許出願4(特願2015-042212号)は,特許庁に係属中であり,また,本願の意匠登録出願人も,出願を変更する直前の原特許出願4の特許出願人も,ともに株式会社ユピテルであるから,本願が原特許出願4から適法に出願変更されたものであるというためには,本願意匠の形態が原特許出願4の最初の明細書及び図面中に明確に認識しうるように具体的に記載されており,かつ,本願意匠と同一の意匠が原特許出願4の最初の明細書及び図面に表されている,といえればよい。

そこで,原特許出願4の最初の図面を見てみると,本願の背面図,左側面図に実線及び破線で表された形態が,それぞれ原特許出願4の図9,図11に実線で記載されており,また,本願の正面図に実線及び破線で表された形態も,分解図ではあるが原特許出願4の図6に実線で具体的に記載されていたということができ,本願の平面図,底面図,右側面図に実線及び破線で表された形態も,原特許出願4の図1ないし図4の各斜視図に実線で具体的に記載されていたということができるから,本願部分の形態に加え,破線か実線かの相違はあるものの,本願意匠の本願部分以外の部分の形態についても,原特許出願4の最初の図面中に明確に認識しうるように具体的に記載されていたということができる。

つぎに,本願意匠と同一の意匠が原特許出願4の最初の明細書及び図面に表されているか否かについては,まず,前記のとおり,本願意匠の形態が原特許出願4の最初の図面中に明確に認識しうるように具体的に記載されていると認められることから,本願意匠と原特許出願4の最初の図面に表された意匠の形態は同一であるということができる。
そして,本願意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって,その意匠登録を受けようとする部分は,前記のとおり,本体部の正面視右側に設けられた本体部を支持する部材のうち,フロントガラスに接着するための取付部を除いた側面視円形状を構成する本体支持部,及びその右側の,正面視右端に設けられたナット部であり,原特許出願4の最初の明細書の記載の「発明が解決しようとする課題」の【0014】に,「固定部材(当審注:本願意匠の「ナット部」に相当)は本体(当審注:本願意匠の「本体部」に相当)との間でリング部(当審注:本願意匠の「本体支持部」に相当)を挟み込んでそのリング部を固定するものとすることができる。このようにすると,リング部の固定(回転停止による位置決め)と,解除(回転可能で角度調整できる状態)との切り替えが簡単に行えるので好ましい。とくに,挟み込みの力を調整できると,軽く締めた状態で仮留めを行うことができ,位置調整作業がより簡便に行えるのでよい。」とあるので,この記載は,本願部分と同一の範囲の部分である,フロントガラスに接着するための取付部を除いた側面視円形状を構成する本体支持部,及びその右側の,正面視右端に設けられたナット部について詳細に説明しているものであると認められる。

そうすると,原特許出願4の最初の図面には本願意匠と同一の意匠の形態が具体的に表れていて,かつ,原特許出願4の最初の明細書には本願部分と同一の範囲の部分についての記載が認められるから,本願意匠と同一の意匠が原特許出願4の最初の明細書及び図面に表されていなかったということはできない。

したがって,本願は,原特許出願4から適法に出願変更されたものであるということができる。

(3)本願意匠が原特許出願3,原特許出願2及び原特許出願1の各特許出願の明細書及び図面に開示されていたか否か

原特許出願3の図面には,14の図(図5は(a)(b)の2図あり)が記載されており,これらは原特許出願4の図面に記載された14の図と一致している。本願意匠の形態が原特許出願4の図面中に明確に認識しうるように具体的に記載されていたということができることは前記のとおりであるから,原特許出願3についても,本願意匠がその図面中に明確に認識しうるように具体的に記載されていたということができる。
また,原特許出願2の図面及び原特許出願1の図面にも,原特許出願3と同様に,原特許出願4の図面に記載された図と一致する14の図が記載されているから,原特許出願2及び原特許出願1についても,本願意匠がその図面中に明確に認識しうるように具体的に記載されていたということができる。

(4)小括

以上のとおり,本願は原特許出願4から適法に出願変更されたものであり,また,本願意匠と同一の意匠が,原特許出願3,原特許出願2及び原特許出願1の適法に分割された各特許出願の明細書及び図面にも表されていたと認められるから,本願は原特許出願1の出願の日になされたものとみなすことができる。

2 本願意匠が,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて

上記1のとおり,本願意匠は,原特許出願1の出願の日(平成20年10月30日)になされたものとみなすことができる。他方,原審が拒絶の理由として引用した引用意匠は,特許庁が平成22年5月13日に発行した公開特許公報に記載された特開2010-105530号に表された意匠である。
よって,この引用意匠は,本願出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似する意匠に該当しないから,原審が示した引用意匠を理由に,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するものであるということはできない。


第5 むすび

以上のとおりであるから,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとした原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

したがって,本願は登録すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-06-23 
出願番号 意願2015-7598(D2015-7598) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 神谷 由紀原川 宙 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 江塚 尚弘
久保田 大輔
登録日 2016-07-22 
登録番号 意匠登録第1556874号(D1556874) 
代理人 宗助 智左子 
代理人 松井 宏記 
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