• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 E3
管理番号 1317045 
審判番号 不服2015-22027
総通号数 200 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-11 
確定日 2016-07-19 
意匠に係る物品 ゴルフクラブヘッド 
事件の表示 意願2014- 22668「ゴルフクラブヘッド」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成26年(2014年)5月29日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成26年(2014年)10月9日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「ゴルフクラブヘッド」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」ともいう。)は願書の記載および願書に添付した図面に記載されたとおりのものであって,各図において実線で表した部分が意匠登録を受けようとする部分であるとしたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本願意匠部分」という。)。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。また「本願意匠」と併せて「両意匠」といい,本願意匠部分に相当する部分の意匠を,「引用意匠部分」といい,本願意匠部分と併せて「両意匠部分」という。)は,平成19年(2007年)12月10日特許庁発行の意匠公報記載の意匠登録第1316692号(意匠に係る物品,アイアンゴルフクラブヘッド)の意匠(本願の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分)としたものであって,その形態は,同公報に記載の写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「ゴルフクラブヘッド」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「アイアンゴルフクラブヘッド」であって,一部表記は異なるが,本願意匠の願書及び願書に添付した図面の記載並びに引用意匠に係る意匠公報の記載等を総合的に判断すれば,両物品間に実質的な相違はなく,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。
(2)位置・大きさ・範囲および用途・機能
本願意匠部分は,ゴルフクラブヘッドのフェース面の横線状溝部(スコアライン部),シャフト接続部(ホーゼル部)の口部内壁及びシャフト部根元の凹部を除いた,ゴルフクラブヘッド部分であり,引用意匠部分(本願意匠部分と相当する部分)においてもゴルフクラブヘッドのフェース面の横線状溝部(スコアライン部),シャフト接続部(ホーゼル部)の口部内壁を除いた,ゴルフクラブヘッド部分であり,本願意匠部分と引用意匠部分(以下,「両意匠部分」という。)は,形態全体の中での位置・大きさ・範囲および用途・機能がほぼ共通する。
(3)形態
本願意匠部分と引用意匠部分の形態を対比すると,主として,以下の共通点と相違点が認められる。
(ア)共通点
基本的構成態様として,
(A)全体は,略板状の本体部と略円筒状のシャフト接続部とからなり,本体部は,正面視,略倒水滴状で,球打面を概ね平坦なフェース面として,やや上方に向けて斜状に形成し,それにしたがい,裏側のバックフェース面は下方に向き,そのバックフェース面の略中央横方向には,ほぼ横幅いっぱいの溝(ポケット)部を設けて,上方のキャビティ部(凹み部)と下方の壁面部とに2分し,壁面部は上方に対して溝部を境に屈曲して成っており,下端でソール部(底部)と一体となっている構成態様が共通する。
具体的構成態様として,
(B)バックフェース面上方のキャビティ部の態様について
周縁部を枠状に残して平坦面状にわずかに一段落ち込んだ態様となっている点。
(イ)相違点
具体的構成態様として,
(a)シャフト接続部に対する本体部フェース面の傾き程度について,
本願意匠部分はシャフト接続部に対する本体部フェース面の傾きが,鉛直方向から約60度(ロフト角が約60度)であって,大きく傾いているのに対して,引用意匠部分は,鉛直方向から約30度(ロフト角が約30度)であって,多少倒した程度の小さな傾斜に留まるものである点。
(b)ソール部の態様について,
本願意匠部分のソール部は,壁面部から連なる側面視浅めの円弧状でソール面もわずかに湾曲し,幅のある態様としているのに対して,引用意匠部分は壁面部から連なる側面視略台形状で幅はやや狭めでソール面が平坦な態様となっている点
(c)フェース面について,
本願意匠部分はやや縦幅のあるフェース面の上辺部(トップライン)も曲線的な丸みのあるフェース面であるのに対し,引用意匠部分は縦幅も狭めでフェース面の上辺部は丸みのほとんどない直線状なものである点
(d)バックフェース面について
バックフェース面を,略中央横方向にほぼ2分する溝(ポケット)部について本願意匠部分の壁面部はほぼ平坦で溝部開口辺部もほぼ直線状であるのに対し,引用意匠部分の壁面部はわずかに下方に湾曲した態様で開口辺部もわずかに湾曲したものである点。

2.類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠部分の意匠全体としての類否を検討し,判断する。
両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,両意匠部分の形態については,以下のとおりである。
(1)共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(A)は,両意匠部分の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであり,バックフェース面の略中央横方向に溝(ポケット)部を設けて,キャビティ部と平坦面部とに2分した態様のものも「ゴルフクラブヘッド」の分野においては,本願出願前によく見受けられることから,この点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。また,具体的構成態様としてあげた共通点(B)も,この種「ゴルフクラブヘッド」の分野においては,キャビティ部が縁部を残して平坦状に凹部となる態様は本願出願前によく見受けられ,凹部の落ち込み程度も浅く部分的なものであることから,この点が,看者の注意を惹くものとはいえない。よって,共通点(A)及び(B)の両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は共に小さく,共通点全体があいまって生ずる効果を考慮したとしても,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
(2)相違点の評価
これに対して,両意匠部分の具体的構成態様に係る各相違点は,(a)はフェース面の傾きの相違であり,本願意匠部分は,シャフト接続部に対する本体部フェース面の傾きが約60度で(ロフト角が約60度),大きく傾いているのに対して,引用意匠部分は,約30度(ロフト角が約30度)であって小さな傾きに留まる点であり,一見して看取できる相違であるものの,この種「ゴルフクラブヘッド」の分野において,本願意匠出願前に各種のフェース面の傾きを持ったものが存在する中,双方とも,飛距離に応じて使い分けるために,通常,使用者が用意するところのロフト角度のバリエーションの範囲内のものであるから,この相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は小さいものといえる。また,(b)のソール部の態様については,本願意匠部分が浅めの円弧状でソール面もわずかに湾曲し,幅のある態様としているのに対して,引用意匠部分は壁面部から連なる側面視略台形状で幅はやや狭めでソール面が平坦な態様となっている点は,「ゴルフクラブヘッド」の分野において,ソール部が幅においても各種のものが従来より存在するものの,側面視略浅い円弧状でソール面もわずかに湾曲し不安定な印象のあるものか,略台形状でソール面が平坦で安定感があるものであるかは,その幅のみならず,形状においても視覚的印象を大きく異にしており,この点について両意匠部分の類否判断に与える影響は大きいといえる。また,(c)のフェース面の形状は,本願意匠部分のような曲線的な丸みのあるフェース面も引用意匠部分のような直線状な上辺部のフェース面も「ゴルフクラブヘッド」のフェース面の形状として双方ともに極めて普通に見受けられる態様であるから,この点については,特に看者の注意を惹くものとはいえず,両意匠部分の類否判断に与える影響は小さい。そして(d)のバックフェース面を,略中央横方向にほぼ2分する溝(ポケット)部について本願意匠部分の壁面部はほぼ平らな面態様で溝部開口辺部もほぼ直線状であるのに対し,引用意匠部分の壁面部はわずかに下方に湾曲した面態様で開口辺部も湾曲したものである点は,バックフェース面において,キャビティ部や溝部の有無が,そのフェース面での重心及び,スイートスポットの範囲について,少なからず影響を与えるものであるから,バックフェース面を観察する際に,その中央を横切る溝部の態様に看者は注意を払うものといえ,この溝部周縁の態様の相違点については,類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
そうすると,相違点(a)及び(c)については類否判断に与える影響がさほどのものでないとしても, 相違点(b)及び(d)が類否判断に与える影響は大きく,それら相違点(a)ないし(d)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると,相違点は,共通点を凌駕して,両意匠部分を別異のものと印象づけるものであるから,本願意匠部分が引用意匠部分に類似するということはできない。
(3)小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,共通するが,形態においては,共通点が未だ両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,両意匠部分を,全体として別異のものと印象付けるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-07-05 
出願番号 意願2014-22668(D2014-22668) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (E3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 八重田 季江 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 正田 毅
渡邉 久美
登録日 2016-07-29 
登録番号 意匠登録第1557457号(D1557457) 
代理人 特許業務法人快友国際特許事務所 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ