ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 C4 |
---|---|
管理番号 | 1319219 |
審判番号 | 不服2016-2650 |
総通号数 | 202 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-02-03 |
確定日 | 2016-07-20 |
意匠に係る物品 | よだれ受けマスク |
事件の表示 | 意願2014-21582「よだれ受けマスク」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成26年9月9日付けの意匠登録出願であり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「よだれ受けマスク」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面代用写真に現したとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第2 原審の拒絶の理由 原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には, この種のよだれを受けるためのマスクにおいて,全体が顎部を覆う本体部と耳にかける2本の掛け紐部とから成り,本体部には,よだれを吸収する吸収体を形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られている(意匠1)。 同様に,正面視形状を,上方がやや拡開状に形成された略U字状とした本体部に,体液吸収体を設け,平面視上下辺部にギャザー部を形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られている(意匠2)。 本願意匠は,その出願前公然知られた「意匠1」の意匠に基づき,本体部を,当業者にとってありふれた手法を用いて,「意匠2」の意匠の様に上方がやや拡開状に形成された略U字状とし,体液吸収体を設け,平面視上下辺部にギャザー部を形成したまでのものにすぎないから,容易に意匠の創作をすることができたものと認められる,というものである。 意匠1(別紙第2参照) 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2002-180304 明細書及び【図2】に表された意匠 意匠2(別紙第3参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1180599号の意匠 (意匠に係る物品:尿吸収用パッド)の意匠 第3 当審の判断 以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。 1.本願意匠の形態 本願意匠の形態は,基本的構成態様は,よだれを受ける略横長長方形の本体部と耳に掛ける2本の掛けひもとから成り,本体部の,内側(上面側)には吸収体,外側(下面側)には保持シートを貼り付けたものであって,具体的構成態様は,本体部の上下辺は,中央約3分の1の部分を水平平行にし,その左右両側は,左右端に向かって上下幅が漸次広がるように斜辺としたもので,上下辺の中程略3分の2の部分をギャザーにしたものであって,本体部の左右辺は,突円弧状であり,本体部は,あごにフィットするように全体が略倒〔(亀甲括弧)状に折れ曲がったものであり,吸収体は,本体部外形状の略相似形で,本体部四周に余地を残して,中央に備えてあり,掛けひもは,丸ひもで,本体部の折れ曲がった部分の中程に環状にして設けたものであって,保持シートは,横長長方形である。 2.本願意匠の創作の容易性について この種物品分野において,略横長長方形状の本体部及び掛けひもから成るものは,本願出願前より見られる態様であり,かつ,本体部の上下辺を,中央部分を水平平行にし,その左右両側を左右端に向かって漸次拡幅させ,中程部分をギャザーにし,左右辺を突円弧状にした本体部に,その本体部の略相似形の吸収体を設けた態様は,本願出願前より見られる態様であるから,この本体部の態様においては,創作が容易でなかった理由は認められないが,掛けひもを,本体部左右辺に設けるのではなく,本体部の折れ曲がった部分の中程に設けた点,保持シートをパッド外側に設けた点が,本願出願前に見られないものであり,これらの点については,当業者であれば容易にできる変形,あるいは,本願意匠の属する分野において常套的な変更によるものといえず,当業者が容易にできた創作内容とはいえないから,本願意匠は,公知の形態に基づいて容易に創作ができたものということはできない。 3.結び したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2016-06-29 |
出願番号 | 意願2014-21582(D2014-21582) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(C4)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 内藤 弘樹 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 刈間 宏信 |
登録日 | 2016-09-02 |
登録番号 | 意匠登録第1559764号(D1559764) |