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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 L6
管理番号 1319221 
審判番号 不服2016-5413
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-12 
確定日 2016-08-02 
意匠に係る物品 壁板 
事件の表示 意願2015-10914「壁板」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成27年(2015年)5月19日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「壁板」とし,形態を願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたもので,「この意匠は正面図において上下にのみ連続する。」としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠に係る壁板の分野においては,断面部の形態をそのままに長尺材として構成することは,(例えば下記の意匠1のように)本願出願前よりごく一般的に行われています。また,この種物品において表面の凹凸模様の数を増減させてバリエーションとすることは例を挙げるまでもなく一般的に行われる手法です。
そうすると,本願出願前より公然知られた下記の意匠2の断面部の形態に基づいてほとんどそのまま長尺材として構成し,表面の凹凸模様の数を単に増やしたに過ぎない本願の意匠は,当業者であれば容易に創作することができたものです。」

また,拒絶の理由で引用された意匠は,以下のとおりである。
意匠1(別紙第2参照)
特許庁発行の公開特許公報記載 特開2011-179274
図1,図2に示される長尺材の態様

意匠2(別紙第3参照)
特許庁発行の公開特許公報記載 特開2013-044149
図1に示される断面

第3 当審の判断
本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,すなわち,本願意匠が容易に創作することができたか否かについて検討し,判断する。

1.本願意匠の形態
本願意匠の形態について,主に以下の点を認めることができる。

(A)全体は,正面視縦長長方形の板状であり,正面側の表面に,縦方向に延びた凸条部と凹溝部が左右方向に交互に表れている点。
(B)凸条部と凹溝部は,略同大の断面視略台形状又は略倒立台形状で,それぞれ14本表れている点。
(C)正面視右端部には,右端面を中心方向にくり抜くような嵌合溝部があり,左端部には,凸条部の高さの約1/3の位置から外方に延出した上面を有する嵌合突出部と,底面が極薄い板状で外方に延出した底面延長部がある点。
(D)嵌合溝部の深さは,凸条部の横幅とほぼ同じであり,嵌合溝部の深さの約半分の位置に段差があり,上半分の深さと下半分の深さが異なる点。
(E)嵌合突出部の横幅は,嵌合溝部の深さよりもやや短く,中央やや左側に段差があり,左下が外方に更に突出して形成されている点。
(F)底面延長部は,嵌合突出部の略1.3倍の幅であって,端部が折り返されており,端部からやや内側に正面視縦方向に延びる突条がある点。

2.創作非容易性の判断
「壁板」の物品分野において,上記(D)点に示す形態は,意匠1及び意匠2においては見られない本願意匠独自の創作であり,当業者が容易に創作することができたということはできない。
具体的には,上記(D)点に相当する意匠1の形態は,嵌合溝部の深さが凸条部の横幅の約半分であるというものである。また,上記(D)点に相当する意匠2の形態は,嵌合溝部の深さが凸条部の横幅の約半分であり,溝部の奥端の近傍に段差があるというものである。したがって,嵌合溝部の深さが凸条部の横幅とほぼ同じであり,嵌合溝部の深さの約半分の位置に段差があり,上半分の深さと下半分の深さが異なるという,上記(D)点に示す形態は,いずれにも示されておらず,意匠1及び意匠2から容易に導き出せるものではない。
そうすると,本願意匠について,意匠2の断面部の形態に基づいてほとんどそのまま長尺材として構成し,表面の凹凸模様の数を単に増やしたに過ぎないものということはできないから,原査定における拒絶の理由の説示を首肯することはできない。

第4.むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-07-20 
出願番号 意願2015-10914(D2015-10914) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (L6)
最終処分 成立  
前審関与審査官 富永 亘 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 渡邉 久美
刈間 宏信
登録日 2016-09-09 
登録番号 意匠登録第1560484号(D1560484) 
代理人 田中 康継 
代理人 木村 豊 
代理人 西川 惠清 

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