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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B3
管理番号 1319231 
審判番号 不服2016-3919
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-15 
確定日 2016-08-24 
意匠に係る物品 指輪 
事件の表示 意願2015- 1728「指輪」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,世界知的所有権機関への2014年8月20日の出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成27年(2015年)1月30日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「指輪」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由および引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由として引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,以下のとおりであって,その形態は,同頁に掲載された写真に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

引用意匠
ホームページの著作者:米国NPOインターネットアーカイブ
(該当ページの著作者はカルティエ)
表題:エングレーヴド ウェディング リング
掲載箇所:添付のイメージ中,3ページ及び4ページ
電気通信回線の種類:インターネット
掲載年月日(公知日):2014年8月11日
検索日:2015年5月22日
掲載ページのアドレス:http://web.archive.org/web/20140811211608/http://www.cartier.jp/%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%AB/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0-%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%83%89-%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0-%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0/b4098200-%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A8-%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%89-%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0-%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0
に表された指輪の意匠

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,両意匠は,いずれも,装身具である「指輪」に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品が一致する。
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
(1)共通点
(A)全体を,帯状のやや厚みのある板状体を短円筒形状のリング状としたもので,外周面の上下中央に円形状の小型凹状部(以下,「小型凹状部」という。)を1個設け,その小型凹状部に小型の宝石を埋め込んだ点,
(B)表面の小型の宝石の横に余地部を設けて筆記体の英文字様のロゴタイプ(以下,単に「ロゴ」という。)を刻んで並列に配した点,
(C)小型の宝石は,その外形が小型凹状部より一回り小さい円形状である点,
において主に共通する。
(2)差異点
(ア)板状体の断面形状について,本願意匠は,外周面側中央部が膨出した略蒲鉾形状であるのに対して,引用意匠は,外周面側が平坦状な長方形状である点,
(イ)板状体を正面視した高さとリング状の外周面の直径との縦横比について,本願意匠は,約1:3.1であるのに対して,引用意匠は,約1:5.7である点,
(ウ)全体の高さに対する小型凹状部の直径の割合について,本願意匠は,約1/3であるのに対して,引用意匠は,約1/2である点,
(エ)ロゴを正面視した態様について,本願意匠は,判読できない程模様化されたもので,正面全体の約3/4の左右の幅を占めるものであるのに対して,引用意匠は,ごく普通の筆記体で表されたもので,正面全体の約2/5の左右の幅を占めるものである点,
(オ)ロゴと小型凹状部の配置について,本願意匠は,ロゴの右側に小型凹状部を設けているのに対して,引用意匠は,ロゴの左側に小型凹状部を設けている点,
において主な差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成ではあるが,全体を,帯状のやや厚みのある板状体を短円筒形状のリング状としたもので,外周面の上下中央に円形状の小型凹状部を1個設け,その小型凹状部に小型の宝石を埋め込んだ態様は,全体の構成が共通するものではあるが,この種の物品分野においては両意匠以外にも既に普通に見られるもので,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,また,両意匠の各部位には差異点が多数見受けられ,全体の基本構成が共通している点のみでは両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
次に,共通点(B)についても,外周面の小型の宝石の横に余地部を設けて暗色のロゴを刻んで並列に配した態様が共通しているが,両意匠と同様に,表面の小型の宝石の横に余地部を設けて筆記体の英文字によるロゴを刻んで配したものは,ロゴ部分の具体的態様を大雑把に捉えれば,他にも見られる,さほど特徴のない態様といえるものであり,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
また,共通点(C)についても,小型の宝石の外形が,小型凹状部より一回り小さい円形状である態様が共通しているが,この種の物品分野においては,既に見られるありふれた態様といえるものであって,さほど特徴のないものといえ,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そして,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。

これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる視覚的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,まず,差異点(ア)の板状体の断面形状について,表面側中央部が膨出した略蒲鉾形状であるか,表面が平坦状の長方形状であるかについては,いずれもありふれた態様といえるものであるので,類否判断にさほど大きな影響を与えるものとはいえないが,全体形状に係る差異点であり,中央部が膨出した略蒲鉾形状の本願意匠の態様は,引用意匠とは,視覚的な印象を異ならせるものといえ,その差異は,需要者の注意を強く惹く部分であるから,両意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)の板状体の正面視した高さとリング状の外周面の直径との縦横比については,部分的な差異ではあるが,縦の長さがやや長い本願意匠は,ややどっしりした印象を与えるもので,縦の長さが短い,高さのない引用意匠は,華奢な印象を与えるもので,見た目の印象が明確に異なるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
また,差異点(ウ)の小型凹状部の直径の割合,つまり,小型の宝石の相対的な大きさについても,部分的な特徴ではあるが,需要者の注意を惹く部分であるから,本願意匠は,全体の高さに対して,小型の宝石が小さい印象を与えるもので,全体の高さに対して,小型の宝石が大きい印象を与える引用意匠とは,前記差異点(イ)と相俟って,需要者に与える印象が異なるもので,その差異は,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。
そして,差異点(エ)のロゴを正面視した態様について,本願意匠のロゴは,判読できない程模様化されたもので特徴的なものであり,正面において大きな割合を占めるものであるから,目立つものといえ,ごく普通の筆記体のロゴで表されたもので目立たないものであり,小さめの割合を占めるものとした引用意匠とは,明らかに需要者に与える見た目の印象が異なり,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
さらに,差異点(オ)のロゴと小型凹状部の配置について,指輪の表面にロゴを配したものは,他にも見られるもので,さほど特徴のない態様といえるものであるが,小型凹状部との配置の関係は,差異点(エ)のロゴを正面視した態様の差異とも相俟って,異なる印象を醸し出すもので,細部に係る態様ではあるが,その差異を全く無視することができず,その差異は,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。

以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-08-02 
出願番号 意願2015-1728(D2015-1728) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 山永 滋 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 須藤 竜也
斉藤 孝恵
登録日 2016-09-30 
登録番号 意匠登録第1561992号(D1561992) 
代理人 吉村 仁 
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