• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B6
管理番号 1319233 
審判番号 不服2016-5675
総通号数 202 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-18 
確定日 2016-08-23 
意匠に係る物品 電子たばこ 
事件の表示 意願2014- 18491「電子たばこ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,平成26年(2014年)8月25日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「電子たばこ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,中華人民共和国国家知識産権局が2014年6月25日に発行した中華人民共和国意匠公報に記載された登録番号CN302859216Sの「電子たばこ」の意匠であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも「電子たばこ」であるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。

次に,両意匠の形態を対比する(なお,対比のため,引用意匠も本願意匠の図面の向きに合わせることとする。)と,その形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

まず,共通点として,
(A)全体は,正面視下から上に向かって,断面視略紡錘形状の細長柱状部分(以下,「本体部」という。)の上部に,断面視略紡錘形状の細長切頭錐体部分(以下,「カートリッジ部」という。)を段差なく一体的に形成した縦長の略棒状体としたものであって,
(B)本体部の下端部分,及び本体部とカートリッジ部の接合部分に,細幅な二重線で表れる部分を設けている点,
(C)本体部は,全長の1/2弱の長さを占め,その正面側上端部中央部分に円形状の厚みのない操作ボタン(以下,「円形ボタン」という。)を一つ配設している点,
(C-1)円形ボタン下方部分に,細幅な二重線で表れる部分を設けている点,
(D)カートリッジ部は,全長の1/2強の長さであって,その上端部に吸い口部分(以下,「吸い口部」という。)を設けている点,
(D-1)吸い口部下端部分に,細幅な二重線で表れる部分を設けている点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)操作ボタンの態様について,本願意匠は,小型の円形ボタンの上下に,正面視略倒「【」(始めすみ付き括弧)状ボタンと略倒「】」(終わりすみ付き括弧)状ボタンを「【○】」の配置態様で配設しているのに対して,引用意匠は,大型の円形ボタンのみを1つ形成している点,
(イ)本体部とカートリッジ部の接合部の細幅な二重線が表れる部分と操作ボタン下方部分の細幅な二重線が表れる部分との間の部分(以下,「操作部」という。)が全長に対して占める割合について,本願意匠は,全長の約1/9の長さであるのに対して,引用意匠は,全長の約1/12の長さである点,
(ウ)左右側面部の態様について,本願意匠は,何も表れていないのに対して,引用意匠は,細幅の二重線状として表れる部分を形成している点,
が認められる。

2.両意匠の形態の評価
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。

まず,共通点(A)の全体の態様,共通点(B)の細幅な二重線で表れる部分を設けている態様,共通点(C)の円形ボタンを一つ配設した態様,及び共通点(D)の吸い口部を設けたカートリッジ部の態様は,電子たばこの物品分野において,本願意匠の出願前に既に見られるもの(参考意匠1:2014年7月9日発行の中華人民共和国意匠公報に記載された,「電子たばこ(登録番号CN302876551S)」の意匠,別紙第3参照)であるから,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものである。
一方,共通点(C-1)及び共通点(D-1)の二重線の態様は,本体部とカートリッジ部の接合部分に二重線で表された部分をもつものは既に存在し(上記参考意匠1参照),二重線自体の態様も特段特徴のあるものではないが,目に付く部分に表されているものであるから,この共通点(C-1)及び共通点(D-1)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められるものである。
そして,これらの共通点(A)ないし(D-1)は,意匠を全体として見た場合,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対し,相違点(ア)操作ボタン部の態様,及び相違点(イ)操作部の全長に占める割合の相違については,操作ボタンが「【○】」として表れるまとまりのある特徴的な本願意匠の態様と,円形ボタンのみを1つ形成した特段特徴のない引用意匠の態様とは,その操作ボタンが施された操作部の全長に占める割合の相違と相まって需要者に全く別な印象を与えるものであるから,これら相違点(ア)及び相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
次に,相違点(ウ)左右側面部の態様については,その相違は僅かな程度のものではあるが,両側面部全体に表れる目に付く部分であるから,この相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められるものである。
そして,これらの相違点(ア)ないし(ウ)は,意匠全体として見た場合,両意匠の類否判断を決定付けるほど大きいものである。

3.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については,一致するものの,形態においては,共通点が類否判断に及ぼす影響は両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配しているものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

第4 むすび

以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。



別掲
審決日 2016-08-08 
出願番号 意願2014-18491(D2014-18491) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B6)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山永 滋並木 文子鶴田 愛 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 橘 崇生
江塚 尚弘
登録日 2016-09-23 
登録番号 意匠登録第1561415号(D1561415) 
代理人 森田 順之 
代理人 轟木 哲 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ