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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1319240 |
審判番号 | 不服2016-3251 |
総通号数 | 202 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-03-02 |
確定日 | 2016-09-07 |
意匠に係る物品 | 携帯情報端末 |
事件の表示 | 意願2014- 26881「携帯情報端末」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,大韓民国への2014年(平成26年)8月25日の出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成26年(2014年)12月2日に出願された意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)を,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は「携帯情報端末」とし,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものであって,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて「両意匠」という。)は,本願出願前,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2014年6月3日に受け入れた,「週刊アスキー 2014年5月27日981号」の第111頁に所載の,携帯情報端末機の意匠における,本願部分に相当する本体正面部及び正面部を取り囲む枠部の部分(特許庁意匠課公知資料番号第HA26002601号)であって,その形態は,当該雑誌に所載された写真版に現されたとおりのものである(以下,本願部分に相当する部分を「引用相当部分」といい,本願部分と合わせて「両意匠部分」という。)。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.両意匠の対比 (1)両意匠の意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「携帯情報端末」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「携帯情報端末機」であるが,いずれも,手首に装着して用いられる腕時計型の情報端末機器であるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。 (2)両意匠部分の部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲 両意匠部分は,共に手首に装着する腕時計型の携帯情報端末の本体の正面に位置する枠部を含むディスプレイ部のほぼ全体を占めるものであるから,両意匠部分は部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が共通する。 (3)両意匠部分の形態 両意匠部分の形態については,主として,以下の通りの共通点及び相違点がある。 (3-1)共通点 基本的構成態様として,ディスプレイ部及びその周囲を囲む枠部を正面視隅丸長方形状の外形とし,ディスプレイ部及び枠部を正面方向に側面視凸弧状とした態様が共通している。 (3-2)相違点 具体的構成態様として, (ア)本願部分のディスプレイ部及び枠部は,引用相当部分のそれと比べ,縦横の比率は概略で,本願部分が10:7であるのに対し,引用相当部分は10:4である点, (イ)本願部分のディスプレイ部及び枠部の側面視における湾曲は,引用相当部分のそれと比べ,やや大きく湾曲している点, (ウ)本願部分のディスプレイ枠の端部周縁が平坦であるのに対し,引用相当部分のディスプレイ枠部の端部周縁は丸みを帯びている点, において主な相違が認められる。 2.両意匠の類否判断 以上の一致点,共通点及び相違点が,両意匠部分の類否判断に及ぼす影響を評価及び総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 (1)両意匠の意匠に係る物品,部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の評価 両意匠は,意匠に係る物品,部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が共通する。 (2)両意匠部分の形態についての共通点の評価 共通点については,部分全体としてみた場合には,ディスプレイ部及びその周囲を囲む枠部を正面視隅丸長方形状の外形とし,ディスプレイ部及び枠部を正面方向に側面視凸弧状とした態様は,この種の物品分野においては,ありふれた態様といえるもので,格別目立つ態様とはいえず,この点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。 (3)両意匠部分の形態についての相違点の評価 一方,相違点(ア)のディスプレイ部及び枠部全体の縦横の比率が大きく異なることについては,ディスプレイ部に表示する情報量に違いが生じることから,情報を表示させる面の縦横の比率の違いは,明らかに需要者に与える印象を異ならせるものであり,相違点(ア)は両意匠部分の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。 次に,相違点(イ)のディスプレイ部及び枠部の側面視における湾曲の程度の違いは,際だったものではないが,この種の物品を手首に装着して使用する際に,相違点(ア)と相俟って,ディスプレイに表示した情報の見やすさに影響することから,需要者が注目する部分であり,相違点(イ)は両意匠部分の類否にある程度の影響を与えるものといえる。 次に相違点(ウ)のディスプレイ枠の端部の態様について,この種の物品の通常の使用状態として,使用者が間近で見ることを考慮すると,ディスプレイ枠の端部の周縁を平坦とした本願部分の態様と,ディスプレイ枠の端部の周縁に丸みを持たせた引用相当部分の態様とでは,正面視及び斜め方向から見た場合の印象に影響を与えるものであるから,その相違は軽視することができず,相違点(ウ)は両意匠部分の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。 そうすると,特に相違点(ア)及び(イ)が相俟って,更に,相違点(ウ)も加わり,これらの相違点は,両意匠部分の形態についての需要者の類否判断に大きな影響を与えるものであるといえる。 (4)小括 以上の通り,両意匠は,意匠に係る物品,両意匠部分の部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が共通するものであるが,両意匠部分の形態において,相違点が共通点を凌駕し,それらが両意匠部分の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 第4.むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によっては,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとはいえないので,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-08-22 |
出願番号 | 意願2014-26881(D2014-26881) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 智加 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
山田 繁和 正田 毅 |
登録日 | 2016-09-30 |
登録番号 | 意匠登録第1562048号(D1562048) |
代理人 | 小暮 理恵子 |
代理人 | 阿部 達彦 |
代理人 | 久保 怜子 |
代理人 | 行田 朋弘 |