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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 D4 |
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管理番号 | 1319241 |
審判番号 | 不服2016-5710 |
総通号数 | 202 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-04-18 |
確定日 | 2016-09-13 |
意匠に係る物品 | エアーコンディショナー |
事件の表示 | 意願2015- 1435「エアーコンディショナー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,本意匠の出願番号を意願2015-1436号(意匠登録第1537712号)とする,平成27年(2015年)1月27日に出願された関連意匠の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「エアーコンディショナー」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,願書に記載された本意匠(本願と同日の平成27年1月27日に出願され,同年10月16日に意匠権の設定の登録がなされ,同年11月16日に意匠公報が発行された,出願番号を意願2015-1436号とする,意匠登録第1537712号(意匠に係る物品,「エアーコンディショナー」)の意匠(以下,「本意匠」という。別紙第2参照))に類似する意匠と認められないので,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。 第3 手続きの経緯 原査定の上記拒絶の理由に対して,出願人は,平成27年10月13日に意見書を提出し,本願意匠と願書に記載した本意匠は互いに類似するものであるため,意匠法第10条第1項の規定に該当すると主張したが,平成28年1月13日付けで拒絶査定がなされたため,請求人は,審判請求書と同日の同年4月18日に手続補正書を提出し,願書に記載の「本意匠の表示」を削除し,本願を関連意匠の意匠登録出願ではないものに変更すると共に,審判請求書において,原査定の拒絶の理由は解消したため,原査定を取消して本願意匠は登録をすべきものであるとの審決を求めた。 その後,請求人は,平成28年7月14日に手続補正書を提出し,願書に「本意匠の表示」を追加し,本願を意匠登録第1537712号の意匠を本意匠とする関連意匠の意匠登録出願に再度変更している。 第4 当審の判断 以下,本願意匠が本意匠とは類似し,意匠法第10条第1項の規定に該当するものか否かについて検討する。 1.本願意匠と本意匠の対比 本願意匠と本意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも「エアーコンディショナー」であるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。 次に,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 まず,共通点として, (A)全体は,設置時に天井面に表れる正面側のパネル部(以下,「正面パネル部」という。)と,背面側に突出した天井埋込部(以下,「背面埋設部」という。)からなる構成であって, (B)正面パネル部は,その中央部に空気吸入用のグリル部(以下,「グリル部」という。)を配し,その周囲に全周に亘る空気吹き出し用の隙間(以下,「吹き出し口部」という。)を設け,その外側に枠体部(以下,「正面パネル枠体部」という。)を配設し,吹き出し口部の上下左右の各部中央部分に,フラップ(以下,「フラップ部」という。)を形成している点, (B-1)グリル部は,その中央に,略隅丸正方形状で横方向に形成された43枚のフィンと3条の縦桟からなる格子の空気吸入口(以下,「吸入口部」という。)を設け,その周囲に,略隅丸正方形状の幅広な枠状部分及びその四隅から突出して形成された帯状の突出部(以下,「帯状突出部」という。)からなる枠体部(以下,「グリル枠体部」という。)を形成し,グリル部全体を正面視略変形X字状となるように形成している点, (B-2)正面パネル枠体部は,正面視において,枠外側を略正方形状とし,枠内側を略隅丸正方形状とし,その四隅部分には枠内側の形状を略円弧状とした略L字状の形態が表れ,正面パネル枠体部の内側から外側に向かってなだらかに傾斜した形態としている点, (B-3)吹き出し口部は,グリル枠体部と正面パネル枠体部との間の略隅丸正方形枠状の隙間部分であって,四隅部分を略円弧状で幅の狭い開口部とし,上下左右の各部中央部分を内側に向かって拡がる幅の広い開口部としている点, (B-4)フラップ部は,断面形状を略円弧状に湾曲した板体とし,正面パネル枠体部の傾斜面に合わせて斜めに配設している点, (C)背面埋設部は,立方体の四隅を斜めに切り欠いた略八角柱状に形成している点, が認められる。 他方,相違点として, (ア)フラップ部の態様について,本願意匠は,フラップの四隅を略円弧状に切り欠いた略横長八角形状としているのに対して,本意匠は,正面視略紡錘形状としている点, (イ)帯状突出部の態様について,本願意匠は,左右端部が略円弧状の正面視略三日月状としているのに対して,本意匠は,左右端部が斜めに切り欠かれた正面視略円弧状の帯状としている点, (ウ)吹き出し口部の幅の広い開口部の態様について,本願意匠は,グリル部側に向かって略扁平台形状状に拡がる形態としているのに対して,本意匠は,グリル部側に向かって略扁平D字状に拡がる形態としている点, が認められる。 2.両意匠の形態の評価 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と本意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。 まず,共通点(A)の全体の態様をベースにした共通点(B)及び共通点(C)の各部の態様は,両意匠の基調を形成し,需要者に共通の印象を与えるものであり,特に共通点(B-3)の吹き出し口部の形態は,本願意匠並びに本意匠及びその関連意匠にのみ見られる特徴的なものであるが,これらは天井設置型のエアーコンディショナーにおいて既に見られる形態から大きく逸脱するものではないため,上記の共通点(A)ないし(C)は,共通点全体として両意匠の類否判断に一定程度影響を及ぼすものであるとは認められるものの,両意匠の類否判断をただちに決定付けるとまでは至らないものである。 これに対し,相違点(ア)フラップ部の態様については,その正面視の形態において相違するとしても,両意匠とも左右端部が窄まった形態の湾曲した板体である点が共通している上に,該部位はエアーコンディショナー使用時には斜めに立ち上がることにより,フラップ部の正面側は観察されにくい部位となり,看者がその相違を常に強く意識する部分であるとはいえないものであるから,この相違点(ア)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものである。 次に,相違点(イ)グリル枠体部の帯状突出部の態様,及び相違点(ウ)吹き出し口部の幅の広い開口部の態様については,特に目に付く部位に係る相違ではない上に,グリル部全体を正面視略変形X字状となるように形成している両意匠の共通点に埋没する程度の微細な相違にすぎないため,この相違点(イ)及び相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も小さいものである。 したがって,上記相違点(ア)ないし(ウ)は,相違点全体として見た場合でも,需要者に別異の印象を与えるほどのものではなく,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は軽微なものである。 3.両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品について一致し,形態については,共通点が両意匠の類否判断に一定程度影響を与えているのに対して,相違点の類否判断に及ぼす影響はそれ以上に軽微なものであり,相違点の与える印象は共通点のそれに埋没し,共通点が与える共通の印象を覆すには至らず,意匠全体として見た場合には,共通点は両意匠に共通する美感を起こさせるものであるから,本願意匠は本意匠に類似するものと認められる。 4.小括 まず,本意匠の意匠権について専用実施権が設定されていないから,意匠法第10条第1項の条件規定である,同法同条第2項の要件を充足し,また,本意匠の意匠権者と本願意匠の出願人とは同一の者であるから,本意匠については,出願人の自己の登録意匠と認められ,本願意匠の出願日がその本意匠の意匠登録出願の日以後であって,その本意匠の意匠公報の発行の日前であるので,意匠法第10条第1項の要件を充足し,なおかつ,上記のとおり本願意匠は,本意匠に類似するものであるから,これを本意匠とする関連意匠として意匠登録を受けることができる。 第5 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,本意匠に類似し,意匠法第10条第1項の規定に該当するものであるから,原査定の拒絶理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-09-01 |
出願番号 | 意願2015-1435(D2015-1435) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(D4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 北代 真一 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 橘 崇生 |
登録日 | 2016-09-23 |
登録番号 | 意匠登録第1561649号(D1561649) |