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審決分類 審判 査定不服  意9条先願 取り消して登録 B7
審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 B7
管理番号 1320241 
審判番号 不服2016-7448
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-20 
確定日 2016-09-12 
意匠に係る物品 化粧用ブラシ 
事件の表示 意願2015- 7210「化粧用ブラシ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2015年2月12日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権主張を伴う,物品の部分について意匠登録を受けようとする,本意匠を意願2014-14791号(意匠登録第1521255号)とする関連意匠の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は「化粧用ブラシ」であり,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものであって,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下,本願において意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。)。(別紙第1参照)
すなわち,本願意匠部分は,持ち手上面に円形状に植設された毛束状のブラシ部であって,当該ブラシ部は上方に向かって外側に広がる略逆円すい台形状をなし,当該ブラシ部の上面周縁部分には,中央部よりも一段高い環状凸状ブラシ部が形成されるとともに,中央部には偏平ドーム状の凸状ブラシ部が形成されたものである。

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないため,意匠法第9条第1項の規定により意匠登録を受けることができないというものである。そして,拒絶の理由に引用した意匠は,意匠登録第1521255号(意願2014-014791号(以下「引用先願」という。))の意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて「両意匠」という。)であって,引用先願の願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は「化粧用ブラシ」であり,その形態は,引用先願の願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものであって,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下,引用先願において意匠登録を受けようとする部分を「引用相当部分」といい,本願意匠部分と合わせて「両意匠部分」という。)。(別紙第2参照)

第3 請求人の主張及び手続の経緯
これに対し,請求人は,拒絶査定不服審判を請求し,以下のとおり主張した。

「本件意匠は平成27年3月31日に出願された意匠であり,出願人はベアー エッセンチュアル ビューティー,インク.である。
引用文献は平成26年7月4日に出願された意匠であり,出願人はベアー エッセンチュアル ビューティー,インク.である。
引用文献は平成27年4月13日に意匠公報が発行されているため,本件意匠出願は引用文献である意匠公報発行前に出願されている。
以上のことから出願人適格,時期的要件を満たすため本件意匠と引用文献の意匠は関連意匠出願とすることが可能である。
そこで今般の意匠法第9条第1項の拒絶理由を解消するため審判請求人は本件意匠出願を関連意匠に変更する補正を行う予定であり,その補正により拒絶理由は解消すると思料する。」

そして,請求人は,平成28年5月26日に手続補正書を提出し,引用意匠を本意匠とし,本願意匠を上記本意匠に係る関連意匠とする補正を行った。

第4 当審の判断
意匠法第10条第1項は,所定の要件を満たす場合に限り,同法第9条第1項又は第2項の規定にかかわらず,関連意匠として意匠登録を受けることができる旨を規定している。そして,本願は,引用意匠を本意匠とし,本願意匠を上記本意匠に係る関連意匠とするものであるから,本願が意匠法第10条第1項に規定する要件を満たす場合には,原査定の拒絶の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
そこで,本願が意匠法第10条第1項に規定する要件を満たすか否かについて,以下に検討する。

(1)出願人について
意匠法第10条第1項の規定によれば,関連意匠の意匠登録出願人は,本意匠の意匠登録出願人又は本意匠に係る登録意匠の意匠権者と同一でなければならない。
これを本件についてみると,本願の出願人は「ベアー エッセンチュアル ビューティー,インク.」であるのに対し,本意匠に係る登録意匠の意匠権者は「ベア? エッセンチュアル ビューティー,インク.」であり,長音の表記において相違するものの,同一の者と認められる。したがって,本願は,意匠法第10条第1項に規定する,出願人に係る要件を満たすものである。

(2)出願日について
意匠法第10条第1項は,関連意匠の意匠登録出願の日(優先権の主張を伴う場合には,最初の出願の日)が,本意匠の意匠登録出願の日(優先権の主張を伴う場合には,最初の出願の日)以後であって,本意匠の意匠公報(秘密とされていた登録意匠が秘密でなくなった場合に掲載されるものを除く)の発行の日前である場合に限り,第9条第1項又は第2項の規定にかかわらず,意匠登録を受けられる旨を規定している。
これを本件についてみると,本願の優先権主張の基礎となる出願の日は平成27年2月12日であり,本意匠に係る意匠登録出願の優先権主張の基礎となる出願の日である平成26年3月21日以後であるとともに,本意匠の意匠公報の発行の日である平成27年4月13日よりも前である。したがって,本願は,意匠法第10条第1項に規定する,出願日に係る要件を満たすものである。

(3)本願意匠と本意匠の類否について
意匠法第10条第1項の規定によれば,本意匠と関連意匠とは類似するものでなければならない。そこで,関連意匠である本願意匠が,本意匠である引用意匠と類似するものであるか否かについて,以下に検討する。

ア 両意匠の意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,いずれも「化粧用ブラシ」であり,一致する。

イ 両意匠部分の用途及び機能
両意匠部分は,いずれもブラシ部であり,用途及び機能は一致する。

ウ 両意匠部分の位置,大きさ及び範囲
両意匠部分は,いずれも持ち手上面に植設されており,その位置は一致する。また,両意匠部分の大きさ及び範囲もおおむね一致する。

エ 両意匠部分の形態
両意匠部分の形態を対比すると,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。

<共通点>
(A)上方に向かって外側に広がる略逆円すい台形状をなし,その上面周縁部分には,中央部よりも一段高い環状凸状ブラシ部が形成された点。
(B)上記環状凸状ブラシ部と中央部との間に形成された段差は,一定程度の深さがあり,ブラシ部全体の高さの約1/4である点。
<相違点>
(ア)本願意匠部分は,ブラシ部の先端部の径,ブラシ部の付け根部の径,及びブラシ部の高さの比が約3:2:2であるのに対し,引用意匠部分は約5:4:3であって,本願意匠部分は引用相当部分と比較して,やや上方に向かって外側に広がった形状としている点。
(イ)本願意匠部分は,上面の中央部を偏平ドーム状の凸状ブラシ部としているのに対し,引用相当部分は,上面の中央部を平坦なブラシ部としている点。
(ウ)本願意匠部分は,引用相当部分と比較して,上面の周縁部に形成された環状凸状ブラシ部の幅が広い点。

オ 両意匠部分の類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠部分の意匠全体としての類否を検討し,判断する。
上記共通点(A)及び(B)について検討する。共通点(A)及び(B)の態様は,他には見られない特徴的なものであって,看者に共通の印象を強く与えるものであるから,当該共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
次に,上記相違点(ア)について検討する。当該物品分野においては,上方に向かって外側に広がった形状のブラシ部としたものが広く知られており,その広がり方の程度についても,多様なものが知られている。そうすると,上記相違点(ア)は,当該物品分野においては常識的な範囲内の形状の相違にすぎないといえるから,当該相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,一定程度にとどまる。
次に,上記相違点(イ)及び(ウ)について検討する。上記相違点(イ)及び(ウ)は,いずれも細部における僅かな形状の相違にすぎないから,両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
上記のとおり,共通点(A)及び(B)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きいのに対し,相違点(ア)ないし(ウ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,いずれも小さいか,あるいは一定程度にとどまるものであり,相違点全体があいまった視覚的効果を考慮しても,共通点の印象を凌駕(りょうが)するほどのものとはいえないから,両意匠部分は,全体として看者に共通の美感を起こさせるものである。

カ 類否についてのむすび
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品,両意匠部分の用途及び機能,並びに両意匠部分の位置が一致し,両意匠部分の大きさ及び範囲もおおむね一致する。そして,両意匠部分の形態においても,共通点が相違点を凌駕(りょうが)し,美感が共通し類似するものであるから,両意匠は類似するものと認められる。

(4)専用実施権について
意匠法第10条第2項は,本意匠の意匠権について専用実施権が設定されているときは,その本意匠に係る関連意匠については,同条第1項の規定にかかわらず,意匠登録を受けることが出来ない旨を規定している。
これを本件についてみると,本意匠の意匠権について専用実施権は設定されていないから,意匠法第10条第2項の規定が適用されることはない。

(5)小括
上記(1)ないし(4)のとおり,本願は意匠法第10条第1項に規定する要件を満たすものであり,また,同条第2項の規定の適用を受けるものではないから,意匠法第9条第1項の規定にかかわらず,意匠登録を受けることができるものである。
そうすると,原査定の拒絶の理由によっては,もはや,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

第5 むすび
上記のとおり,原査定の理由をもって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-08-30 
出願番号 意願2015-7210(D2015-7210) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (B7)
D 1 8・ 4- WY (B7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 木本 直美 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 江塚 尚弘
須藤 竜也
登録日 2016-10-14 
登録番号 意匠登録第1563301号(D1563301) 
代理人 清原 義博 
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