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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 L3
管理番号 1320250 
審判番号 不服2016-8166
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-02 
確定日 2016-10-03 
意匠に係る物品 組立家屋 
事件の表示 意願2015-20240「組立家屋」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「組立家屋」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で表した部分が意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。「参考斜視図」において,意匠登録を受けようとする部分に網掛けを付している。なお,重量物につき底面図は省略する(ただし,「下から見上げた斜視図」は,底面が見える図となっている)。」としたものである。
なお,出願当初の願書には,本意匠を意願2015-20238号(意匠登録第1542933号)とする旨の「本意匠の表示」欄が記載されていた。

2.手続の経緯
本願は,平成27年(2015年)9月11日に出願され,同年12月10日付けで拒絶の理由が通知され,その指定期間内である平成28年(2016年)1月21日に意見書が提出されたが,同年3月4日付けで拒絶査定された。そして,当該拒絶査定の取消しを求めて,同年6月2日に審判請求がなされ,同日にした手続補正により,本願の願書の「本意匠の表示」欄が削除された。

(1)平成27年12月10日付けの拒絶の理由
平成27年12月10日付けの拒絶の理由は,本願意匠が,出願当初の願書に記載された本意匠に類似する意匠と認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものであり,具体的には,以下のとおりである。
「本願意匠の意匠登録を受けようとする部分と,本願の本意匠の表示の欄に記載された意匠(以下,本意匠)の当該部分とは,主に(1)外壁面の略中間部が直方体状に突出している点,(2)当該部分両端の天井部分を支持するように2本の柱を設置した点,(3)軒下天井部分が水平面である点において共通している一方,主に(ア)外壁面の突出した部分の幅の大きさ,(イ)2本の柱の太さにおいて相違しています。
上記共通点(1)乃至(3)は,本願出願前からごく一般的に見受けられる態様であって(例えば,意匠登録第01379429号の意匠),両部分の特徴を表すものではないところ,類否判断を直ちに決定付ける程に及ぼす影響が大きいとはいえません。一方,上記相違点(ア)は,本願意匠の突出部分が仕切り板を設置したような印象であるのに対して,本意匠のそれは壁面の一部が隆起したような印象であるところ,見る者に異なる美感を起こさせるものであり,上記相違点(イ)については,一方の柱を細く形成することは,この種物品の先行意匠に照らして,本意匠のみの特徴を表すものであり,見る者の注意を強くひくものです。
したがって,相違点の印象が,共通点の印象を凌駕しているといえるため,両部分は類似していません。」

(2)平成28年3月4日付けの拒絶査定
平成28年3月4日付けの拒絶査定における説示は,以下のとおりである。
「意見書を提出され,「外壁面の直方体状突出部と左右の柱とを有しながら,かつ,軒下天井部分が全体で連続した一枚の水平面になっている点は,本願意匠及び本意匠にしか見られない態様で,両意匠で初めて創作された斬新な点である。しかも,この態様は,本意匠及び本願意匠の骨格ともいえる基本的構成態様であるため,需要者の視覚的印象に与える影響が大きい。さらに,その前端の突出程度は,軒下天井部の奥行き長さに対して概ね3割の長さと,決して小さくないことから,需要者の注意を強く引くものとなっている。したがって,両意匠は,軒下天井部分の連続態様が共通しているだけで,互いに類似するものといえる」と述べられていますが,「外壁面の直方体状突出部と左右の柱とを有しながら,かつ,軒下天井部分が全体で連続した一枚の水平面になっている」かつ「前端の突出程度は,軒下天井部の奥行き長さに対して概ね3割の長さ」のような態様は,例えば,下記の参考意匠の2階部分のように,本願出願前より見受けられるものであることから,両意匠の意匠登録を受けようとする部分の類否判断を直ちに決定付ける程に大きいものとはいえず,「両意匠は,軒下天井部分の連続態様が共通しているだけで,互いに類似するものといえる」という主張も採用できません。また,「両意匠に特有な4)の柱の形状及び左の柱の幅長さにおいても共通する」と記載されていますが,両意匠(部分)に見られる柱は,断面形状が略正方形の角柱で,ごく一般的な態様のものであり,「左の柱の幅長さ」についても,「2本の柱の左右両端間長さに対し約3%の長さである」とのことですが,この種物品分野において通常使用される柱の太さ・幅の範疇に収まるものであり,両意匠(部分)に特有のものとはいえませんので,この共通点が類否判断に及ぼす影響は,微弱なものです。
これに対して,両部分は,主に(ア)外壁面の突出した部分の幅の大きさ,(イ)2本の柱の太さにおいて相違しています。上記相違点(ア)は,本願意匠の突出部分が仕切り板を設置したような印象であるのに対して,本意匠のそれは壁面の一部が隆起したような印象であるところ,見る者に異なる美感を起こさせるものであり,上記相違点(イ)については,一方の柱を細く形成することは,この種物品の先行意匠に照らして,本意匠のみの特徴を表すものであり,見る者の注意を強くひくものです。
よって総合すると,上記共通点は,いずれも類否判断に及ぼす影響が微弱なものであるのに対して,上記相違点は,類否判断に支配的な影響を及ぼしており,相違点の印象が,共通点の印象を凌駕していますので,両部分は類似していません。
参考意匠:意匠登録第1501441号 」

3.当審の判断
上記2.で認定したとおり,平成28年6月2日にした手続補正により,本願の願書の「本意匠の表示」欄は削除された。この結果,本願意匠は,意匠法第10条第1項の規定により意匠登録を受けようとするものではなくなり,意匠法第10条第1項の規定に該当しない,という原審の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決日 2016-09-20 
出願番号 意願2015-20240(D2015-20240) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (L3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 安藤 美奈子 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 渡邉 久美
刈間 宏信
登録日 2016-10-14 
登録番号 意匠登録第1563051号(D1563051) 
代理人 山田 強 
代理人 廣田 美穂 

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