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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 C4
審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 C4
管理番号 1320251 
審判番号 不服2015-22841
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-12-25 
確定日 2016-09-28 
意匠に係る物品 テーピングテープ 
事件の表示 意願2014-29355「テーピングテープ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成26年(2014年)12月26日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面の記載内容によれば,意匠に係る物品を「テーピングテープ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
なお,本願は,出願時には,意願2014-29357(審判番号;不服2015-22839)の意匠を本意匠とする関連意匠に係る出願であった。

2.手続の経緯
本願意匠及び本意匠の出願日 平成26年12月26日
本願意匠及び本意匠の拒絶査定日 平成27年 9月30日
本願意匠及び本意匠の審判請求日 平成27年12月25日
本意匠の審決日 平成28年 5月20日
本意匠の審決確定日 平成28年 6月20日
本願意匠の拒絶理由通知 平成28年 7月20日
本願意匠の手続補正 平成28年 8月23日

3.原査定の拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,次のとおりである。

「この意匠登録出願の意匠は,下記に示すように,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められますので,意匠法第3条第2項の規定に該当します。



全体が,細幅の帯状体を等角交差状に重ね合わせて配置したかの様に,複数本のテープ片を放射状に一体として形成し,各テープ片の先端角部を弧状に形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠1】。
同様に,テープ片を六方向に放射状に形成し,対向するテープ片の一組を他のテープ片より短く形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠2】。
本願意匠は,その出願前公然知られた【意匠1】の意匠に基づき,テープ片を,当業者にとってありふれた手法を用いて,【意匠2】の意匠の様に六方向に放射状に形成したまでのものにすぎませんから,容易に意匠の創作をすることができたものと認められます。

【意匠1】(当審注;別紙第2参照)
欧州共同体商標意匠庁が発行した
欧州共同体意匠公報 2010年 3月 5日
創傷ドレッシング(登録番号001654419-0001)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH22201839号)

【意匠2】(当審注;別紙第3参照)
特許庁普及支援課が2013年 1月 8日に受け入れた
米国特許商標公報 2013年 1月 8日
粘着性ボディーサポート(登録番号US D674099S)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH25300963号)」

4.当審の判断
(1)原査定の拒絶の理由に対する判断
以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。
なお,検討及び判断に際しては,意匠2に関して,別紙第3の右図を右に90°回転させた状態で観察し,認定する。

ア.本願意匠の形態
(ア)3本の幾分幅広の帯状体を,中心角を60度の等角交差状にして重ね合わせたようにして,6片のテープ片を放射状に一体形成したものであり,
(イ)全体を,縦長のアスタリスク(asterisk;アステリスク。星印。「*」のこと。)状としたもので,中央の垂直線の2辺を斜線部にあたる4片の2倍強長くしたもので,
(ウ)6片のテープ片の,それぞれの先端両角部を丸型形状としたものである。

イ.本願意匠の創作の容易性について
この種物品において,
(ア)全体を,2本の幅広の帯状体を等角交差状に重ね合わせて配置したかの様にして,同じ長さの4片のテープ片を放射状に一体として形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られた意匠1に表れている。
(イ)3本の略帯状体を,交差状にして重ね合わせたようにした,6片のテープ片を六方向に放射状に一体形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られた意匠2に表れている。
(ウ)各テープ片の,それぞれの先端両角部を丸型形状としたものは,本願意匠の出願前に公然知られた意匠1に表れている。
そうすると,それらの態様をほとんどそのまま組み合わせたに過ぎない意匠の創作は容易といえる。
しかし,中央の垂直線の2辺を斜線部にあたる4片の2倍強長くし,全体を縦長のアスタリスク状としたものは,本願意匠の出願前には見当たらない。
よって,本願意匠は,引例意匠1及び2をほとんどそのまま組み合わせたものとは認めることができず,公知の形態に基づいて容易に創作ができたものということはできない。

ウ.結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

(2)当審における拒絶の理由について
ア.当審は,平成28年7月20日に,「本願は,意願2014-29357の意匠を本意匠とする,関連意匠の意匠登録出願であるが,本意匠に係る出願は,平成28年6月20日に拒絶の査定が確定したので,本願意匠は,願書に記載の意願2014-29357の意匠を本意匠として,意匠法第10条第1項の規定を適用する意匠登録を受けることができない」旨の拒絶の理由を通知した。

イ.それに対して,本件請求人は,平成28年8月23日に,願書面の記載中,本意匠の表示を削除する補正をした。

ウ.この手続補正により,当審における拒絶の理由は解消されたと認められる。

5.結び
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできず,また,意匠法第10条第1項の規定に該当しないという当審の拒絶の理由によっても,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-09-16 
出願番号 意願2014-29355(D2014-29355) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (C4)
D 1 8・ 3- WY (C4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 内藤 弘樹 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 橘 崇生
刈間 宏信
登録日 2016-10-14 
登録番号 意匠登録第1563211号(D1563211) 
代理人 草間 攻 

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