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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 D7
管理番号 1320255 
審判番号 不服2016-7453
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-20 
確定日 2016-09-29 
意匠に係る物品 ベッド用ヘッドボード 
事件の表示 意願2015- 2853「ベッド用ヘッドボード」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成27年(2015年)2月13日に出願された,本意匠を意願2015-2854とする関連意匠の意匠登録出願であって,本願の意匠(以下「本願意匠」という。)の意匠に係る物品は本願の願書の記載によれば「ベッド用ヘッドボード」であり,本願意匠の形態は願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりであって,願書の【意匠の説明】には「薄墨を付した部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注:以下「本願部分」という。)である。」と記載されている(別紙第1参照)。

第2 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,願書に記載した本意匠(「【整理番号】CQA-29」と記載され,平成27年(2015年)2月13日付けの出願番号特定通知書により意願2015-2854と通知された意匠登録出願の意匠。)に類似する意匠と認められないので,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとの理由であって,具体的には以下のとおりである。
「本願意匠と願書に記載した本意匠には,当該ヘッドボード上部に位置することは共通するものの,壁面側設置ボードの有無による,意匠登録を受けようとする部分との位置に差異が認められ,またその範囲も,意匠登録を受けようとする部分につき,平面視中央右部分二つの矩形の態様に差異が認められ,これらは類否判断に大きく影響するものですので,本願の意匠は,願書の記載の本意匠番号の意匠に類似するものとは認められません。」

第3 当審の判断
以下,本願意匠が第10条第1項の規定に該当するか否かについて検討する。

1 本意匠
本意匠に係る出願は,本願と同日の平成27年(2015年)2月13日に意匠登録出願がなされ,同年12月4日に意匠権の設定の登録がなされて,平成28年(2016年)1月12日に意匠公報が発行されている。
本意匠の意匠に係る物品は同公報の記載によれば「ベッド用ヘッドボード」であり,本意匠の形態は同公報の【図面】に記載されたとおりであって,同公報の【意匠の説明】には「薄墨を付した部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注:以下「本意匠部分」という。)である。」と記載されている(別紙第2参照)。

2 本願意匠と本意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「ベッド用ヘッドボード」であり,本意匠の意匠に係る物品も「ベッド用ヘッドボード」である。
(2)両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
本願部分の位置,大きさ及び範囲は,平面視右側に表れて,斜視図において階段状に表れる,天板の右半部,右端方向に張り出した水平板部,及び両部分を繋ぐ垂直板部から成る部分であって(以下,それぞれを単に「天板右半部」,「水平板部」及び「垂直板部」という。),ベッド用ヘッドボードの右上を占める部分であり,本願の願書の【意匠に係る物品の説明】の記載及び願書に添付した図面中の【使用状態を示す参考図】の記載によれば,スマートホンを天板右半部に置き,水平板部にティッシュペーパーの箱を置くなど,高さの違う物を好適に配置できるという用途及び機能を有している。
また,本意匠部分の位置,大きさ及び範囲は,平面視右側に表れて,斜視図において階段状に表れる,「天板右半部」,「水平板部」及び「垂直板部」から成る部分であって,ベッド用ヘッドボードの右上を占める部分であり,上記公報の【意匠に係る物品の説明】及び【使用状態を示す参考図】の記載によれば,スマートホンを天板右半部に置き,水平板部にティッシュペーパーの箱を置くなど,高さの違う物を好適に配置できるという用途及び機能を有している。
なお,本願の願書の【使用状態を示す参考図】の記載によれば枕が1つ表されていることから,本願意匠の用途及び機能は,シングルベッド用であると推認されるが,上記公報の【使用状態を示す参考図】の記載によれば枕が2つ表されていることから,本意匠の用途及び機能は,ダブルベッド用であると推認され,この点において相違している。
(3)両部分の形態
本願部分と本意匠部分(以下「両部分」という。)の形態を対比すると,主として,以下の共通点と差異点が認められる。
ア 共通点
両部分の形態には,以下の共通点が認められる。
(A)全体が,ほぼ同じ厚みで平板状の「天板右半部」,「水平板部」及び「垂直板部」から成り,「天板右半部」の右端面と面一致状になるように「垂直板部」が配されて,その「垂直板部」の下端部右端面から「水平板部」が右方に突設されている。
なお,本願の願書の【平面図中央縦断面図】の記載によれば各部の断面が全て薄墨を付した部分以外の部分であるから,本願部分の「天板右半部」及び「水平板部」の底面部並びに「垂直板部」の左側面部も本願部分に含まれていると認められる。同様に,上記公報の【背面図】の記載によれば各部の背面部が全て薄墨を付した部分以外の部分であるから,本意匠部分の「天板右半部」及び「水平板部」の底面部並びに「垂直板部」の左側面部も本意匠部分に含まれていると認められ,この点において共通している。
(B)「天板右半部」と「水平板部」の態様についての共通点
(B-1)平面から見た態様
平面から見た「天板右半部」と「水平板部」は,横長長方形状に表れている。
(B-2)右側面から見た態様
右側面から見た「天板右半部」の右端面の横幅は,「水平板部」の右端面の横幅よりも若干小さい。
(C)段差の高さと「水平板部」の長さの比についての共通点
「水平板部」の上面から「天板右半部」の上面までの段差の高さと,「水平板部」の長さの比は,約1:2.7である。
(D)「垂直板部」の態様についての共通点
右側面から見た「垂直板部」の右端は鉛直状に表されて,左端はやや右側に傾いて表されており,それぞれ「天板右半部」及び「水平板部」の右端又は左端と面一致状になっている。
(E)正面及び左側面から見た態様についての共通点
正面には,縦幅の異なる4つの板(本願部分又は本意匠部分を構成しない。以下,単に「正面板」という。)が縦に並んで配されており,それによって「天板右半部」,「水平板部」及び「垂直板部」が正面から見て隠れている。
また,左側面側からは,「天板右半部」,「水平板部」及び「垂直板部」は表れない。
イ 差異点
一方,両部分の形態には,以下の差異点が認められる。
(a)背面から見た態様についての差異点
本願部分の「天板右半部」,「水平板部」及び「垂直板部」は,背面から見ると背板(本願部分を構成しない。)によって隠れているが,本意匠部分では,背板がないのでそれらの背面部が表れている。
(b)「天板右半部」と「水平板部」の態様についての差異点
平面から見て,本願部分の「天板右半部」と「水平板部」の横幅の比は約1:1であるが,本意匠部分のその比は約2.2:1である。
(c)角棒状部の有無による「天板右半部」の態様についての差異点
本意匠部分には,「天板右半部」の上面の背面寄りの部分に角棒状部(本願部分を構成しない。)が突設されており,それによって同部分が隠されているが,本願部分では,そのような角棒状部は設けられておらず,上面に隠された部分はない。

3 類否判断
(1)意匠に係る物品
前記認定したとおり,本願意匠と本意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は同一である。
(2)両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
前記認定したとおり,本願部分と本意匠部分は,共にベッド用ヘッドボードの右上を占める部分であり,スマートホンを天板右半部に置き,水平板部にティッシュペーパーの箱を置くなど,高さの違う物を好適に配置できるので,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。なお,両意匠の用途及び機能がシングルベッド用であるか,ダブルベッド用であるかの相違は,その相違によって両部分の意匠全体に占める位置などは大きく変化せず,スマートホンやティッシュペーパーの使用が妨げられはしないので,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲が共通するとの判断に影響しない。
(3)ベッド用ヘッドボードの意匠の類否判断
ベッド用ヘッドボードは,室内において,主としてベッドと壁の間に設置されるものであり,設置後,すなわち通常の使用時には,ベッド用ヘッドボードの背面部は壁によって隠されることが多いということができる。そうすると,通常の使用状態において看者がベッド用ヘッドボードを観察するに当たっては,背面側や底面側ではなく,それ以外の方向からベッド用ヘッドボードを眺めることとなり,両部分が正面板によって隠れており,左側面側からも表れないことも踏まえると,平面方向及び右側面方向から見た両部分の構成態様について特に注意を払うことになる。したがって,ベッド用ヘッドボードの意匠の類否判断においては,上記の項目を特に評価する。
(4)両部分の形態の共通点の評価
全体がほぼ同じ厚みで平板状の「天板右半部」,「水平板部」及び「垂直板部」から成り,「天板右半部」と「水平板部」が平面から見て横長長方形状に表れて,両者の段差の高さと「水平板部」の長さの比が約1:2.7である共通点,すなわち,(A),(B-1)及び(C)の共通点については,これらの共通点があいまって,看者に一定の視覚的印象を与えるというべきであるので,両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。特に,「水平板部」の底面部も両部分に含まれている点で共通しており,そうすると水平板部の下方には空間が形成されることとなり,「天板右半部」と階段状に連なり,下方には空間が形成される両部分の「水平板部」の構成態様に対して看者は確たる美感を抱くこととなるので,看者が平面方向及び右側面方向から見た両部分の構成態様について特に注意を払うことを踏まえると,両部分の「水平板部」の構成態様が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいというほかない。
他方,「垂直板部」の態様についての共通点(D)は,右側面から見た「垂直板部」の左端の傾きの程度は小さく,看者に共通の視覚的印象を強く与えるほどのものではなく,また,右側面から見た「天板右半部」と「水平板部」の態様についての共通点(B-2)も,右側面から見た「天板右半部」の右端面の横幅が「水平板部」の右端面の横幅よりも若干小さい程度にとどまっており,看者に共通の視覚的印象を与えるものではない。そして,正面及び左側面から見て両部分が表れていない共通点(E)は両部分の類否判断において評価されるべきではないから,上記共通点(B-2),(D)及び(E)が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。
したがって,上記(A)ないし(E)の共通点を総合すると,(B-2),(D)及び(E)の共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さいものの,(A),(B-1)及び(C)の共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響が大きいことから,形態の共通点は,総じて両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められる。
(5)両部分の形態の差異点の評価
これに対して,前記認定した差異点(a)ないし(c)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,以下のとおり評価される。
まず,差異点(a)は,部分を構成しない背板の有無によって,「天板右半部」,「水平板部」及び「垂直板部」が背面から見て隠れているか否かの差異であり,この差異が顕現するのは両部分を背面方向から観察するときに限られること,及びこの差異は上述した両部分の共通点を何ら損ねるものではないことから,看者がベッド用ヘッドボードを背面側から観察することが少ないこと,及び両部分の共通点(A),(B-1)及び(C)が看者に一定の視覚的印象を与えていることを踏まえると,差異点(a)が両部分の類否判断を左右するほどのものであるとはいい難い。
次に,差異点(b)は,平面から見た「天板右半部」と「水平板部」の横幅の比が約1:1(本願部分)であるか,約2.2:1(本意匠部分)であるかの差異であって,両部分の「水平板部」の上にはティッシュペーパーの箱などを置く用途があることからその横幅がその箱分の幅であって一定であることを踏まえると,その比の差異は一定した「水平板部」の長さに対する「天板右半部」の長さの差に収斂される。この「天板右半部」の長さの差は,本願意匠の用途及び機能がシングルベッド用であり,本意匠のそれがダブルベッド用であることに起因しており,看者はサイズの異なるベッドに触れる機会が多いことからシングルベット用であることに起因する本願部分の「水平板部」が本意匠部分のそれに比べて短いことに殊更着目するとはいい難い。したがって,差異点(b)が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。
最後に,差異点(c)で指摘した,角棒状部の有無による「天板右半部」の態様の差異については,本意匠部分において角棒状部によって隠される「天板右半部」の上面の背面寄りの部分の面積はごく小さいことから,上面に隠された部分のない本願部分と比較した際に,隠された部分の有無の差異が看者に異なる視覚的印象を与えるほどのものというには及ばず,本願部分では角棒状部がなくむしろありふれた形状であることを踏まえると,「天板右半部」上面の隠された部分の有無の差異を本願部分の本意匠部分に対する差異として特段評価をすることはできない。
(6)総合判断
以上のとおり,両部分の形態の共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は総じて大きいのに対して,両部分の形態の差異点が両部分の類否判断に及ぼす影響はいずれも小さく,形態の差異点があいまった効果を勘案しても,形態の共通点を圧して,両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすほどのものとはいい難い。
(7)小括
したがって,両意匠の意匠に係る物品は同一であり,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲も共通しており,両部分の形態についても,共通点は差異点を圧して両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすので,本願意匠は本意匠に類似する。

4 本願意匠が第10条第1項の規定に該当するか否かについて
本意匠は,本願の意匠登録出願人の意匠登録出願に係る意匠であるから,意匠法第10条第1項に規定されている本意匠の要件を満たしている。
また,本願意匠の意匠登録出願の日は,本意匠の意匠登録出願の日以後であって本意匠の意匠公報の発行の日前であるから,意匠法第10条第1項に規定されている関連意匠の意匠登録出願の日の要件を満たしている。
そして,上述のとおり,本願意匠は本意匠に類似するものと認められるので,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定されている,本意匠に類似する意匠(関連意匠)の要件を満たしている。
したがって,本願意匠は,意匠法第10条第1項の規定に該当する。

第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第10条第1項の規定に該当し,本意匠の関連意匠として意匠登録を受けることができるものであるから,原審の拒絶の理由によっては本願について拒絶をすることができない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願について拒絶をすべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-09-14 
出願番号 意願2015-2853(D2015-2853) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (D7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 佐々木 朝康 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 渡邉 久美
小林 裕和
登録日 2016-10-14 
登録番号 意匠登録第1563274号(D1563274) 
代理人 三好 秀和 
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