• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1320260 
審判番号 不服2016-9943
総通号数 203 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-01 
確定日 2016-10-11 
意匠に係る物品 スピーカーボックス 
事件の表示 意願2015- 24926「スピーカーボックス」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成27年(2015年)11月9日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は「スピーカーボックス」であり,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は願書に添付した図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似する意匠)に該当するため,同条同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて「両意匠」という。)は,下記のとおりのものである。

【引用意匠】(別紙第2参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が
平成20年(2008年) 9月 4日に受け入れた
特選街 2008年10月 1日10号
第27頁所載
スピーカーボックスの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HA20007795号)
(写真中,右側の「スピーカーボックス」の意匠)

第3 当審の判断
1 両意匠の対比
(1)両意匠の意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,いずれも「スピーカーボックス」であり,一致する。

(2)両意匠の形態
両意匠の形態を対比すると,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。(なお,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。)

<共通点>
基本的構成態様として,主に,
(A)本体部を縦長略直方体状とし,本体部の正面中央に,ツィーター部とウーハー部を上下に近接して設けた点,
において共通し,
具体的構成態様として,主に,
(B)ツィーター部は,中央に設けられた略円すい状のキャップ部と,キャップ部の周縁に形成された略おわん状の振動板と,振動板の周縁に形成された中空円板状の周縁領域とからなる点,
(C)ウーハー部は,中央に設けられた略円すい状のキャップ部と,キャップ部の周縁に形成された略円すい台すり鉢状のコーン部と,コーン部の周縁に形成され,四辺に外側に膨出する丸みを帯びた略正方形状の外縁を有する周縁領域とからなる点,
において共通する。

<相違点>
具体的構成態様として,主に,
(ア)本願意匠では,本体部の縦長直方体の各辺がR状に面取りされ,全体として角部がなく丸みを帯びた形状であり,正面中央の平らな面の縦横比が約11:5と縦長であるのに対し,引用意匠では,本体部の各辺がほぼ直交し,全体として角張った形状であり,正面中央の平らな面の縦横比が約5:3と幅広である点,
(イ)本願意匠では,正面から左右両側面にかけて,他の辺と比較して広い範囲にわたって大きな曲面(他の曲面の約3倍の半径の曲面)が形成され,正面視において本体部正面左右両側の各1/8がR状に面取りされた曲面となっており,中央の平らな面の横幅が本体部全体の横幅の約3/4であるのに対し,引用意匠では,本体部正面のほぼ全面が平らな面である点。
(ウ)本願意匠では,ツィーター部及びウーハー部が本体部正面の上方寄りに設けられており,ツィーター部及びウーハー部の下方に大きな余地部が設けられているのに対し,引用意匠では,ツィーター部及びウーハー部が本体部正面のほぼ中央に設けられており,ツィーター部及びウーハー部の下方に設けられた余地部が小さい点,
において相違する。

2 両意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

(1)共通点について
共通点(A)ないし(C)について検討する。共通点(A)ないし(C)はいずれも目に付きやすい部位に係るものではあるが,下記参考意匠1及び2に見られるように,当該物品分野においてありふれた態様であって,需要者に対して新規な印象を与えるものではないから,これら共通点全体としてあいまった効果を勘案しても,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度にとどまるものといえる。

【参考意匠1】(別紙第3参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が平成17年(2005年)12月27日に受け入れた
株式会社音楽之友社が発行した内国雑誌
stereo 1号 44巻
第48頁所載
「スピーカーボックス」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HA17018034号)

【参考意匠2】(別紙第4参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が平成17年(2005年)10月25日に受け入れた
株式会社音楽之友社が発行した内国雑誌
stereo 11号 43巻
第127頁所載
「スピーカーボックス」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HA17014371号)

(2)相違点について
a 相違点(ア)について
本体部の各辺がR状に面取りされ,全体として角部がなく丸みを帯びた形状であり,本体部正面の平らな面が縦長であるものは,下記参考意匠3及び4に見られるように,当該物品分野においてありふれたものである。
そうすると,相違点(ア)が単独で類否判断に及ぼす影響は,小さいといえる。

【参考意匠3】(別紙第5参照)
特許庁意匠課が昭和63年(1988年)10月4日に受け入れた
テクニカ販売(株)が発行した内国カタログ
seem
第1頁所載
「スピーカーボックス」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第SC63058300号)

【参考意匠4】(別紙第6参照)
特許庁総合情報館が平成元年(1989年)11月14日に受け入れた
chariosasが発行した外国カタログ
charioHiper
第10頁所載
「スピーカーボックス」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HD01030898号)

b 相違点(イ)について
本体部正面の左右両側をR状に面取りした曲面とした態様は,上記参考意匠3,4に見られるように,当該物品分野において知られたものであるといえる。しかしながら,正面から左右両側面にかけて,他の辺と比較して広い範囲にわたって大きな曲面(他の曲面の約3倍の半径の曲面)を形成し,中央の平らな面の横幅を本体部全体の横幅の約3/4にまで幅狭としたものは知られていないから,相違点(イ)に係る本願意匠の態様は,特有のものであるといえる。
そうすると,相違点(イ)が類否判断に及ぼす影響は,大きいといえる。

c 相違点(ウ)について
ツィーター部及びウーハー部が本体部正面の上方寄りに設けられ,ツィーター部及びウーハー部の下方に大きな余地部が設けられた態様は,下記参考意匠5及び6に見られるように,当該物品分野においてありふれたものであるといえる。
そうすると,相違点(ウ)が単独で類否判断に及ぼす影響は,小さいといえる。

d 相違点(ア)ないし(ウ)があいまって生じさせる美感について
相違点(ア)ないし(ウ)があいまって生じさせる美感を考慮した場合,本願意匠では,ツィーター部及びウーハー部が,幅狭で縦長である平らな面の上方寄りに設けられており,その両側が曲面となっているため,需要者に対してソフトで重心が高く軽快な印象を与えるものであるのに対し,引用意匠では,ツィーター部及びウーハー部が,幅広である平らな面のほぼ中央に設けられており,その両側が直交した角部となっているため,需用者に対してシャープで重心が低く重厚な印象を与えるものであるといえるから,相違点(ア)ないし(ウ)があいまって両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きいといえる。

【参考意匠5】(別紙第7参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が平成20年(2008年)7月23日に受け入れた
株式会社音楽之友社が発行した内国雑誌
stereo 8号 46巻
第26頁所載
「スピーカーボックス」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HA20007025号)

【参考意匠6】(別紙第8参照)
【電気通信回線の種類】インターネット
【掲載確認日(公知日)】平成18年(2006年)4月27日
【受入日】特許庁意匠課受入平成18年(2006年)5月12日
【掲載者】株式会社エレクトリ
【表題】SCM20sl
【掲載ページのアドレス】http://www.electori.co.jp/atc/atc_scm20sl.html
に掲載された 「スピーカーボックス」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ18001086号)

(3)小括
以上のとおり,共通点(A)ないし(C)が類否判断に及ぼす影響は,共通点全体としてあいまった効果を勘案しても,一定程度にとどまるものであり,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至っていないのに対し,相違点(イ)が類否判断に与える影響は大きく,また,相違点(ア)ないし(ウ)があいまって類否判断に与える影響も大きいものといえるから,相違点の印象は共通点の印象を凌駕(りょうが)しており,両意匠が意匠全体として需要者に与える視覚的印象は,異なるというべきである。
したがって,本願意匠は引用意匠に類似するものとはいえないから,引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできない

第4 むすび
上記第3(3)のとおり,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,原査定の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審においてさらに審理した結果,本願について,他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-09-27 
出願番号 意願2015-24926(D2015-24926) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 石坂 陽子 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 須藤 竜也
江塚 尚弘
登録日 2016-10-21 
登録番号 意匠登録第1563483号(D1563483) 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ