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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 C3 |
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管理番号 | 1321282 |
審判番号 | 不服2016-5040 |
総通号数 | 204 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2016-12-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-04-05 |
確定日 | 2016-09-28 |
意匠に係る物品 | 洗浄用ブラシ |
事件の表示 | 意願2014-29603「洗浄用ブラシ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする,平成26年(2014年)12月29日の意匠登録出願であり,その意匠(以下「本願意匠」という)は,意匠に係る物品を「洗浄用ブラシ」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に現したとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第2 原審の拒絶の理由 原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,この種洗浄用ブラシにおいて,ブラシ部と柄から成り,柄は,ブラシと反対側の端部に給水ホース接続部を形成すると共に,握り部分(当審注;「把持部」のこと。以下,同じ。)の腹側に指掛かりの凹凸形状を形成し,同握り部分はブラシ台部分(当審注;「植毛部」のこと。以下,同じ。)に対してやや斜め上方に立ち上がる態様としたものが,本願意匠の出願前に公然知られている(意匠1)。 同様に,柄は,握り部分からブラシ台部分にかけての全体を中空状とし,ブラシ部を,下方に向かって裾広がり状に形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られている(意匠2)。 本願意匠は,その出願前公然知られた「意匠1」の意匠に基づき,当業者にとってありふれた手法を用いて,「意匠2」の意匠の様に柄全体を中空状とし,裾広がり状のブラシ部を形成したまでのものにすぎないから,容易に意匠の創作をすることができたものと認められる。 意匠1(別紙第2参照) 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2006-089007 【図1】に表された従来のブラシの意匠 意匠2(別紙第3参照) 特許庁発行の意匠公報所載 意匠登録第0170843号の意匠 (意匠に係る物品:自動車用水洗刷子) 第3 当審の判断 以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。 1.本願意匠の形態 本願意匠は,(1)ブラシ部と中空状の柄から成るものであって,ブラシ台部分と握り部分から成る柄は全体に横幅が細く長いもので,該握り部分はブラシ台部分に対して角度を設けてやや斜め上がりにし,柄の手元端部に給水ホース接続部を形成し,握り部分の腹側には指掛かりの凹凸形状を形成したものである。 そして,詳細には,(2)ブラシ部は,正面視でも側面視でも等脚台形状に表れる,四角錐台状のものであり,(3)全長に対するブラシ部の長さが約5分の3であり,(4)握り部分の断面形状が,略正円形で,(5)ブラシ台部分の横幅が,握り部分の横幅とほぼ同じで,(6)ブラシ台部分の断面形状が,上面が膨出した略倒D字状で,(7)柄の先端部分の形状が,平面視で直線状となっているものである。 2.本願意匠の創作の容易性について この種物品分野において,(1)ブラシ部と中空状の柄から成るものであって,柄はブラシ台部分と握り部分から成り,該握り部分はブラシ台部分に対して角度を設けてやや斜め上がりにし,柄の手元端部に給水ホース接続部を形成し,握り部分の腹側には指掛かりの凹凸形状を形成したものは,意匠1に,(2)ブラシ部を四角錐台状とし,柄は全体に横幅が細く長いもので,握り部分の断面形状を略正円形とし,ブラシ台部分の横幅が握り部分の横幅とほぼ同じとしたものが,意匠2に,表れており,これらの態様については,本願出願前より公知であるから,これらの態様に基づくものについては,創作が容易でなかった理由は認められないが,(3)全長に対するブラシ部の長さが約5分の3であり,ブラシ台部分の横幅を握り部分の横幅とほぼ同じにして,かつ,その断面形状を略倒D字状にしたもので,柄の先端部分の形状を平面視で直線状とした態様が,本願出願前に見られないものであり,この点については,当業者であれば容易にできる変形,あるいは,本願意匠の属する分野において常套的な変更によるものといえないから,本願意匠は,出願前公知の形態に基づいて容易に創作ができたものということはできない。 3.結び したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-09-16 |
出願番号 | 意願2014-29603(D2014-29603) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(C3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 内藤 弘樹 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
刈間 宏信 橘 崇生 |
登録日 | 2016-11-04 |
登録番号 | 意匠登録第1564540号(D1564540) |
代理人 | 富永 浩司 |